定年後は、現役時代よりもお金の管理や使い方をしっかりしておきたいもの。家事アドバイザーの山粼美津江さんは、多くの方の自宅を見てきた経験から、お金をしっかり守る暮らしを実現しました。今回、そんな山崎さんのご自宅を見せてもらいました。

お金にゆとりある暮らしに大切なのは「ものの管理」

「仕事柄、いろいろな方のお宅を拝見したり、相談を受けることもよくあります。ライフスタイルは人それぞれだから、他人がとやかく言うことじゃありません。でもね。将来が不安だったり、“こんなはずでは…”って後悔したりする人を見ていると、いかに頭の切り替えが大切かを痛感しますね」

【写真】山崎さん宅の棚。一目でわかる収納に

山崎さんのいう「頭の切り替え」とは、年齢とともに変化する、暮らしやお金とのつき合い方にどう対応するかということ。

「定年後も現役時代と同じ生活をしていたら大変になるのは当然ですよね。よほど財テクに成功した人でもない限り、普通は年金が収入の中心になるもの。1万、2万が大金になるときが来るんです。若い頃は少しぐらい使いすぎても、翌月ちょっとがんばればリカバーできたでしょ? それがきかなくなるのが、シニア期なんです」

そこで山崎さんが実践しながら見出したのが、暮らしを整えること、そしてお金の管理を見直すことでした。

「生活は死ぬまで続きます。家事がうまくいかないとしたら、それは今の自分の生活に合ってないのかも。暮らしを整えれば今の自分がわかる。お金を管理すれば、暮らしの傾向もわかる。そうしたら、不安の正体が見えてきて、対処もできるようになるんじゃないかしら」

●無駄を減らすものの持ち方と管理のコツ

日々の暮らしは「さまざまなまとまり(チャンク)の組み合わせ」というのが山崎さんの考え方。
「考えなくてもなんとなく過ぎていくかもしれないけれど、料理・掃除・家の管理…と、まとまりで考えると機能的で無駄も減りますよ」

・天井までの壁面収納は「チャンク」ごとに分けて

廊下にある扉つきの壁面収納は、1つずつ「食の棚」「衣の棚」「住まいの棚」…と分けています。
「中身が見えるストッカーはさらにタグで中身を表示。こうして管理すれば、わが家に必要な物量もわかるし、それを超えて持つこともない。お金の使い方も自然に整います」

こちらは「衣の棚」。針や糸、ハギレ、ミシンなど、衣類のケアに関するものはすべてここにまとめられていて、一目瞭然!

●チャンク収納のヒント2つ

【ヒント1】牛乳パックで仕切りをつくる

引き出しや箱の中で大活躍するのが、牛乳パックでつくった仕切り。写真のように切り開いて連結したり、大きさを合わせたり、使い方は自由自在!

【ヒント2】バッグの中身も1チャンクとする

外出から帰ったら、バッグの中身は必ず全部出します。
「これもひとつのチャンク。決まったカゴに出しておけば、バッグを替えても忘れ物しません」

●家じゅうどこでも「仕事チャンク別」に箱管理

こちらは「交際・おつき合いの箱」。祝儀袋やふくさ、ポチ袋、宅配便の伝票や認め印などはひとまとめにして玄関収納に。
「どんな小さなものにも居場所・帰る場所をつくっておくと、散らかりません」

キッチンにはお弁当箱やスープジャーなどがひとまとめになった「お弁当の箱」が。家じゅうどこでも、同じ仕事で使うものを「チャンク別」にまとめておけば、合理的で無駄がありません。

そんな山崎さんの暮らしぶりやお金のことが詳しく掲載されている『ゆとりある日々を過ごしている人の素敵なお金の使い方 2023年版』(扶桑社刊)が好評発売中です。

 山崎美津江さんの「崎」は、正しくは「たつさき」