シリーズ累計1400万部(電子書籍を含む)を越える『魔術士オーフェンはぐれ旅』(TOブックス刊)のアニメ新シリーズ『アーバンラマ編』が1月18日より絶賛オンエア中です。

小野大輔さんインタビュー。森久保さんに言われたエドとの共通点

今回は前編の主人公・オーフェンを演じる森久保祥太郎さんのインタビューにつづき、今シリーズのキーマンでもあり、オーフェンとの関係が明かされたばかりのエド役を演じる小野大輔さんにお話を伺いました。

【写真】小野大輔さんの魅力あふれるソロ写真

●オーフェンは唯一無二の世界観

長い歴史がある『魔術士オーフェン』シリーズ。小野さんご自身も、学生時代にファンとしてアニメを観ていたそうです。そして、その作品に出演するのは「不思議な感覚」だといい、こう続けます。

「学生時代に『魔術士オーフェン』を観ていたときは王道のファンタジーアニメという印象でした。ただ、自分が出演することになってから原作や、アーバンラマ編の台本を読ませていただいて、こんなに複雑な話だったのかとじつはびっくりしたんです。

たとえば、“ドラゴン”という存在もファンタジーのひとつの要素として存在するのではなく、オーフェンでは、人間種族をも巻き込んで壮大なドラマを生み出す要素になっている種族なんですよね。すべての要素が物語をつくるために存在していて、複雑に絡み合っている。原作の秋田禎信先生が生み出した本当に唯一無二の世界観なんだな、と今回のアニメ化で改めて知りました」

●生き方が不器用。でもそこに魅力を感じている

小野さん演じるエドは、オーフェンに兄弟子にあたる人物で、オーフェンにとっては重要な存在です。

「簡単に言ってしまうとライバルですね。かつては同門にいたということで、目指していた場所は同じだったはずなんです。僕の印象ではオーフェンは飄々としながらもいつも自分以外の誰かのために行動をしているんですが、エドは自分のために行動していて…ここが2人のコントラストになっているけれど、どこか同じような生き方をしている。

マジク(オーフェンの弟子)が最初にエドを見たときに、オーフェンの面影を見て魔術士だと気づくシーンがあるんですけど、そこに象徴されている気がします。そして2人とも生き方が不器用。だから僕はそういう完全無欠のスーパーヒーローじゃないところがすごく魅力的だな、と思って演じさせてもらっています」

そして、小野さんがエドを演じるうえで大切にされたことは「多くを語らない」ということです。

「とくに言えるのはロッテーシャとのかけ合いのシーン。そこのやりとりは少しでも熱がのってしまうと役がブレると感じていて…。だから少ないセリフの中にも余分な熱を入れないようにしていました。でも、これから先の展開にもつながっていく部分なので、違った意味で多くを語れないんですけど(笑)」

●つみ重ねてきた上での森久保祥太郎さんとの共演

小野さんは、今回久しぶりの共演となった森久保さんに『エドって小野D(小野さんの愛称)にぴったりだね。なんかDっぽいもん』と言われたのだとか。

「大事なことを言葉が少なくて伝えられなかったり、でも急にふわっと思いが溢れるときもあったり、あとじつは天然なところもあって…そういうのって小野大輔に似てるよって言ってくださって、すごくうれしかったですね。僕自身もエドに似てると感じているところもあって、すんなり演じられたのかなって思います」

また、「返す言葉で言えば、オーフェンはイコール森久保祥太郎なんですよ」と力強くいいます。

「ご本人をおいて言うのもなんですけど、オーフェンって、『森久保さんといえば』で上がってくる代表作だと思うんです。森久保さんはどこまでも軽やかに、でも一歩一歩しっかりとつみ重ねてオーフェンと一緒にこの20年を歩んできたんだろうな。

それが全部つまっているのが今回で言うとナレーションなんです。ナレーションを森久保祥太郎がやっているということがとても意味深い。オーフェンであってオーフェンではない誰かがナレーションをしている。でも、きっとこれは年を重ねたオーフェンなんじゃないかと思わせてくれる。だから、僕はただのいちファンとして最初のナレーションが森久保さんだったのがすごく喜びでした」

●小野さんから見た、森久保さんの魅力

森久保さんとは共演することも多く、長い付き合いだという小野さん。旧知の仲だからこそ、小野さんが感じる森久保さんの魅力とはどんなところにあるのでしょうか。

「とにかく後輩の面倒見がいい人です。どうしたらあんな人格者になれるんだろう、って憧れもあるんですけど、こういう先輩でありたいと思う先輩の筆頭ですね。周りを見てくれていて、声をかけてくれて、背中を押してくれる。

ただ、それだけだとただのいい人じゃないですか? でもご本人が誰よりも尖っていて、誰よりも推進力が強いんですよね。だから、寄り添って一緒に歩いてくれるんじゃなくて、先頭を突っ走ってくれている人。それでいてちゃんと後ろを振り向いてついてきてるか、気にしてくれる人です」

そのかっこよさは思わずため息が漏れるほど。小野さんも「めちゃくちゃくかっこいいんですよ! ちょっとかっこよすぎてしんどい(笑)。女性ももちろん好きだと思うけど男が憧れる男です」と微笑みます。

●オーフェンは最高のごほうび!

ちなみに今回のような、殴り合うようなライバル関係という形での共演は初めてなんだとか。

「お互いのパーソナルを知ってるからなのか、やりやすかったです。森久保さんとは役以外のところで一緒に過ごす時間が長くて1年の締めくくりに『おれパラ』というライブを15年やらせてもらっています。音楽活動を通していろんなことを話して、意見を交換して…互いの人生も重なっているわけです。その積み重ねがあってこの役を演じるのは、やりにくいわけがないですよね」

そう健やかな笑顔で語る小野さんは印象的でした。そして、最後に読者のみなさんにメッセージをいただきました。

「オーフェンはひとつの時代だと僕は思っています。アニメの年表のなかに必ず刻まれている、ひとつのブームをつくった作品。その作品が20年以上経った今もこうして色あせることなく続き、そして今の技術・解釈で、原作が忠実にアニメ化されている。

もう最高のごほうびみたいに僕は捉えてます。アニメ好きでよかった、オーフェンが好きでよかった、と。この喜びをこれからオーフェンに触れる皆さんにも感じていただけたらうれしいなと思います。ぜひご覧ください」