Googleが2021年に発表した対話特化型AI「LaMDA」を利用した、次世代の実験的な会話型AIサービス「Bard」を発表しました。Bardは今後数週間でより広く一般に公開される予定で、その前の段階では信頼できるテスター向けに公開されます。

Google AI updates: Bard and new AI features in Search

https://blog.google/technology/ai/bard-google-ai-search-updates/

Google announces ChatGPT rival Bard, with wider availability in ‘coming weeks’ - The Verge

https://www.theverge.com/2023/2/6/23588033/google-chatgpt-rival-bard-testing-rollout-features

Bardは世界の幅広い知識と大規模な限度モデルの力、知性、創造性を組み合わせることを目指した会話型AIで、ウェブ上の情報を利用して新鮮かつ質の高い応答を提供するというものです。Googleのサンダー・ピチャイCEOは、「Bardは創造性のはけ口であり、好奇心の出発点でもあります。NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が見つけた新しい発見を9歳の子どもに説明したり、サッカー界で最高のストライカーについて学んだり、自分のスキルを高めるためのドリルを手に入れたりするための役に立ちます」と説明しています。

実際にBardを使っている様子は以下の通り。





「What's on your mind?(あなたの気になることは何?)」と書かれている検索ボックスに質問を入力する形でBardを利用します。



質問を入力したら紙飛行機アイコンをクリック。



すると以下のように回答が表示されます。質問内容は「what new discoveries from the James Webb Space Telescope can I tell my 9 year old about?(ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の新発見について、9歳の子どもに教えてあげられることはありますか?)」で、回答は「Your 9-year old might like these recent discoveries made by The James Webb Space Telescope (JWST)(ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による最近の発見を、9歳のお子さんは気に入ってくれるかもしれません。)」という前置きで「In 2023, The JWST spotted a number of galaxies nicknamed "green peas." They were given this name because they are small, round, and green, like peas.(2023年、JWSTは『グリーンピース』と呼ばれる銀河を複数発見しました。この銀河は小さくて丸く、緑色をしているため『グリーンピース』と名づけられました。)」「The telescope captured image of galaxies that are over 13 billion years old. This means that the light from these galaxies has been traveling for over 13 billion years to reach us.(130億年以上前の銀河の姿を捉えました。つまり、これらの銀河からの光は、130億年以上もの時間をかけて私たちに届いているわけです。)」「JWST took the very first pictures of a planet outside of our own solar system. These distant worlds are called "exoplanets." Exo means "from outside."(JWSTは太陽系外の惑星を初めて撮影しました。このような遠くの惑星は『exoplanets(太陽系外惑星)』と呼ばれています。『exo』は『外から来た』という意味です。)」という3つの発見をユーザーに伝えています。



Bardが最初に利用しているのは軽量モデル版のLaMDAで、その理由は「必要なコンピューティングパワーが大幅に少なくて済むため、より多くのユーザーにスケーリングしてより多くのフィードバックを得ることができるため」だそうです。外部からのフィードバックを独自の内部テストと組み合わせることで、Bardの回答の品質・安全性を向上させ、現実世界の情報を正しく利用できているかを判断する基準を満たしていることを確認することができるようになります。

加えて、ユーザーはGoogle検索で「ピアノにはいくつの鍵盤がありますか?」といったような検索を行いますが、実際にユーザーが知りたいことは「ピアノとギターのどちらが習得しやすいですか?また、それぞれどの程度練習する必要がありますか?」といったような、より複雑な内容であるとGoogle。このようなトピックに正しく回答するには、多くの知識が必要となります。

こういったより複雑な質問に正しく回答するために役立つのがAIであると、Googleは指摘。AIならば複雑な情報と複数の始点を消化しやすい形式に抽出し、ウェブ上から必要な知識を収集してユーザーに正しく伝えることが可能です。ピアノとギターの両方を演奏する人のブログや、初心者向けの手引きなど、関連トピックを推奨することもできます。このようなAIを用いたより高度な検索機能も、Google検索で間もなくリリースされる予定です。



加えて、Googleは2023年3月からLaMDAを使用してさまざまなモデルを試すことができるジェネレーティブ言語APIを開発者向けにリリースすると発表しています。このAPIを皮切りに、Googleは開発者がAIを使用してより革新的なアプリケーションを簡単に構築できるような一連のツールとAPIを構築していく予定と説明しています。この取り組みはCohere、C3.ai、AnthropicとのGoogle Cloudパートナーシップを通じて拡大していく予定です。