他人の寿司をはしで横取りも(TikTok投稿動画から)

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回転寿司チェーンやコンビニ店内などでの迷惑行為を撮影した動画が相次いで話題になり、波紋が広がっている。インスタグラムやTikTokに投稿されたものが拡散され、警察沙汰となる例も相次いでいる。

こうした迷惑行為といえば、10年近く前にも「バカッター」といった形で注目され、社会問題となった。なぜ、この手の迷惑行為は繰り返されるのか。J-CASTニュースが識者に聞いた。

続発する回転寿司での「悪質イタズラ」

話題になったのは、回転寿司チェーン「はま寿司」の店内において、若い男性がレーンを流れる寿司にワサビを勝手に乗せる動画だ。

2023年1月9日頃にインスタグラムに24時間で消えるストーリーという機能を使って投稿されたものがツイッターに転載され拡散した。運営会社は騒動を受け、警察に被害届を提出したと報じられている。

はま寿司に関しては併せて7日頃に、他の客が注文した商品について2貫のうち1貫を勝手に箸で取って食べる動画がTikTokに投稿され、こちらも大きな注目を集めた。

他の回転寿司チェーンも客からの迷惑行為にさらされた。「くら寿司」に関しては4年前のものと思われる、客が商品をレーンに戻す様子を映した動画が拡散。警察に相談する意向だと報じられた。

さらに、「スシロー」に関しては男性客が醤油ボトルや湯呑みを舐めまわして元の場所に戻したり、唾をつけた指をレーン上の寿司にこすり付けたりするストーリー動画が話題となった。1月30日には、運営会社が「刑事民事の両面から厳正に対処してまいります」と対応を発表している。この男性客に関しては、本人が高校生だと特定したとする指摘がツイッターで拡散している。

これらの動画が話題になった結果、ツイッターには「#寿司テロ」「#回転寿司テロ」というハッシュタグが使われたツイートが続出している。

「バカッターに続き、バカスタグラム、バカトックと大変だなぁ」

従業員による迷惑行為を映した動画も相次いで発見された。

26日頃、セブン-イレブンの店内において、従業員の女子高校生2人が商品のポテトをつまみ食いする様子がネット上で拡散したほか、29日頃にはファミリーマートと思しき店内で女性従業員がふざけ合う様子が注目され、人々の耳目を引いた。

この手の迷惑行為は、かつて、2013年にはコンビニの冷凍庫や冷蔵庫に入り込むといった写真が相次いでツイッターに投稿され拡散。「バカッター」と名付けられ、その後も散発的にネット上を騒がせてきた。

このため、インターネット上には、

「TikTokでバイトテロや回転寿司テロの動画がまた上がってる。昔からこういうのはいたと思うけど、不思議なのが、Z世代?ってデジタルネイティブなのに、リテラシーないのか?」
「tiktok勢は当時のバカッターを知ってる人少ないのか止める人がおらんのやろな...」
「バカッターに続き、バカスタグラム、バカトックと大変だなぁ」

といった、かつての騒ぎを知らないがゆえにSNSへの投稿が繰り返されるのではないかといった見方をする声が出ている。

「Z世代」といえば一般的に、1990年代後半から2010年までに生まれた人々を表わす言葉だが、ITジャーナリストの井上トシユキ氏は、上記のような見方は必ずしも正しくないと指摘する。

「バカッターを知らないわけではないのです」

これら、バカッターが時を超えて「バカスタグラム」「バカトック」として帰ってきたとも言える今回の騒動について、井上氏は、当人たちはかつての騒動を知っているのではないかと指摘する。

「数年前から、小学校、中学校、そして高校では『イタズラ動画をSNSにアップしてはいけない』といったリテラシー教育を行うようになっており、その結果、若い方々は2013年に多発した『バカッター』をはじめとする例に触れています。決して、今の若い世代がかつて起きていた騒動を知らないわけではないのです」

ただ、そのリテラシー教育自体が、SNSへの安易な投稿がなくならない原因になっているとも指摘する。

「リテラシー教育を受けたほとんどの生徒は教育通り、イタズラ動画をSNSにアップしない人間になります。しかし、一部の生徒はリテラシー教育を受けたことによって『こういうスレスレのことをやれば注目を集められる』と考えてしまい、自らの承認欲求を満たすためにあえて安易な動画投稿に踏み切ってしまうのです」

最後に、井上氏は今回、1月に発覚が集中した理由を推測した。

「投稿者が高校生であるならばという仮定が必要ですが、やはり、冬休み明けで久々に会ったクラスメート同士が悪ふざけをしたという、『冬休み明け』という要素が大きいのかもしれません。さらに、大学受験をしない高校3年生ですと、就職はすでに決まっている時期ですから、正月気分を引きずりつつ、他にすることがなく退屈していたという事情もあるかもしれません」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)