栃木県教育委員会が廃止の方針を打ち出している、県内2つの特別支援学校にある寄宿舎の存続を求めて、保護者が県議会に提出した陳情書について、県議会の文教警察委員会は9日に「不採択」としましたが、県議会通常会議は19日、これについての討論を行い委員会の審査どおりとしました。

県教育委員会は那須塩原市の那須特別支援学校と栃木市の栃木特別支援学校の寄宿舎を、施設の老朽化と遠距離で通学が難しい児童生徒の減少を理由に廃止する方針です。当初、今年度末で廃止する方向で進められていましたが保護者から反対の声があがり県教育委員会は廃止の延期を決めています。

保護者が県議会に提出した存続を求める陳情書について、今月9日に開かれた文教警察委員会の審査では、存続や廃止を含めて結論を出せる段階にないとして「不採択」にしました。

19日の県議会の討論では、民主市民クラブの中屋大議員が不採択に反対し採択を主張する立場で「閉舎の方針は寄宿舎の設置の目的から教育的意義を排除するもの。自ら積み重ねてきた価値を否定することにもつながりかねない。保護者や教員、地域住民などの関係者を交え協議会を設置し改めて寄宿舎のあり方について議論する必要がある」と述べました。

日本共産党栃木県議団の野村節子議員も不採択に反対する立場で「これを不採択にした委員会の審査には憤りを禁じえない」と述べました。

一方、とちぎ自民党議員会の渡辺幸子議員は、文教警察委員会の審査結果の通りとする立場で「子どもたちにとっての平和な日常を一日も早く取り戻したい」とした上で「寄宿舎に通うことができる子どもたちだけが日常生活訓練が享受できること自体が不公平という声も寄せられている。存続、廃止の結論ありきではない未来志向で持続可能な特別支援教育のあり方について検討を進め、保護者に説明する事が必要」と述べました。

この後の採決では起立する議員が多数を占め、委員会の審査どおりとなりました。

傍聴した保護者は「自民党の答弁は問題のすり替え」「不採択で残念」と話していました。