確実にこなせる「計画の立て方」について解説します(漫画:©︎三田紀房/コルク)

記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がよい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。

その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時には東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う会社「カルペ・ディエム」を作っています。

そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載(毎週火曜日配信)。第40回はカルペ・ディエムに所属する現役東大生の相生昌悟氏が、確実に実行できる「計画の立て方」について解説します。

この連載のほかの記事はこちらからご覧ください。

スケジュールではなく「ノルマ」を作る

みなさん、計画を立てて自分のやるべきことを整理するのって大変ですよね。やるべきことや課題・到達すべき目標や目的がわかっていたとしても、「具体的に何をすればいいのか」という計画を考えるのって難しいと思います。また、スケジュールどおりに物事が終わっていくことって少ないですよね。計画どおりにできたら苦労はしません。

そんな中で、東大生はどんなふうに自分の勉強計画を作っているのでしょうか。実は東大生の多くは、勉強の「計画スケジュール」を作ることはあまりしません。その代わりに、「どれくらい終わらせなければならないか」というノルマをしっかり作っている場合が多いのです。今日はこの「ノルマの作り方」をご紹介したいと思います。

まずは、『ドラゴン桜』で桜木先生が長期休暇前の生徒に向けて「どんなふうに勉強の計画を立てればいいか」を語っているシーンです。


(漫画:©︎三田紀房/コルク)





(漫画:©︎三田紀房/コルク)





(漫画:©︎三田紀房/コルク)





(漫画:©︎三田紀房/コルク)


(漫画:©︎三田紀房/コルク)

ノルマを考えることで、やるべきことが明確になる

いかがでしょうか。この漫画からわかることは、「スケジュールではなくノルマで計画を考えることの大切さ」だと思います。

例えばスケジュールを立てて、「何時から何時まで勉強しよう」と考えていても、そのとおりに勉強できるかはわかりません。

「思ったよりもこっちの仕事に時間がかかったな」とか「イレギュラーでちょっと電話をしなきゃならなくなってしまった」とか、何かのトラブルでスケジュールどおりに進まないこともたくさんあるでしょう。

そして人間は、そういうイレギュラーがあってスケジュールが崩れると、「ああもうだめだ」と諦めてしまいがちです。その時点で計画をやめてしまいがちなのです。

しかしそんな中で、ノルマを明確にしていたらどうでしょうか。ノルマは、スケジュールよりも具体的に考えなければなりません。「この時間からこの時間は英語の勉強をしよう」と考えるより、「英語の、このプリントの、ここからここまでを終わらせよう」と考えるほうが明確にやるべきことが整理できるのです。

その時間でやらなければならないことがわかると同時に、具体的で明確な「やるべきこと」が整理できてきます。「英語のリスニングをなんとかしたいから、毎日勉強しよう」と考えていても、本当にリスニングが身に付くかどうかはわかりませんよね。でも「英語のリスニングをなんとかしたいから、この教材を、毎日この分量終わらせよう」と考えたほうが、やるべきことがわかって計画的に物事を終わらせることができます。

そして、リカバリーができるようになります。「昨日は3ページしかできなかったから、今日は6ページ終わらせれば計画通りに戻せるな」なんて感じで、イレギュラーがあっても対応できるようになるためには、スケジュールではなくノルマを作ったほうがいいのです。

さて、ではもう少し具体的にどうすればいいかもお話しします。

抽象的なものを具体化する

計画作りは結局、抽象的なものを具体的にしていく行為にほかなりません。例えば、「英語」とか「仕事」とか、抽象的に「こんなことをしたいな」と思っているものを、そのまま計画に落とし込んで考えるのは難しいですよね。


でも、それを「英単語」「英文法」「リスニング」とか、「企画書作り」「メールの返事」「パワポ資料作り」なんて分解していけば、何をすればいいのかわかるレベルまで到達できます。

そしてそれらに、数字を加えていきます。「英単語20ページ分」「英文法100問分」とか、「企画書1時間で完成させる」「メールの返事を30分以内で終わらせる」とか、分量を考えて、どれくらい終わらせなければならないかを考えましょう。だいたい1週間分くらいのノルマを考えて、「来週の月曜日までにこれくらい終わらせたいな」と思う分量を設定するのがいいと思います。

そしてそれを、どんどん終わらせていきます。好きなものから終わらせてもいいですし、簡単に終わるものから終わらせていってもいいでしょう。時間がかかるものを終わらせてから簡単なものにアプローチしていくというのもいいと思います。

とにかくノルマに則って終わらせていきます。そしてもし終わらなかったなら、来週のノルマに追加しておけばいいでしょう。

こんなふうに、抽象的なスケジュールではなく、具体的なノルマに分解して計画を作っていくと、実現可能なものになっていきます。ぜひやってみてください。

(相生 昌悟 : 現役東大生