新型プリウスが世界初公開されました。車高をさらに下げたその姿はスポーツ感を増し、高い加速性能を誇ります。庶民の車プリウスはどう変わったのでしょうか。

新型プリウスの加速性能にネット驚愕

「カッコいい!」
「これは売れる!」
 
 新型プリウスが2022年11月16日(水)に発表されると、ネット上ではそのデザインを評価する声が多く上がりました。


新型プリウス。前から見ると、かなり車高が低い印象(乗りものニュース編集部撮影)。

 車体をワイドにしつつ、全高をさらに40mmも下げたその姿は、もはやスポーツカーの趣き。頂点から前部にかけて浅く傾斜したスタイリングは「もうスーパーカーじゃん!」との声もあり、前面から見ると、確かにそれもうなずけます。メイン展示車のひとつの「マスタード」カラーも、スポーツ感を鮮烈に印象付けました。

 動力性能も特筆モノで、PHEV(プラグインハイブリッド)モデルは0〜100km/h加速で6.7秒をマークする点に、「めっちゃ速い」「燃費がいいだけじゃない」といった驚きの声が寄せられています。それでいて、日常走行はほとんどEV走行で賄えるとのこと。

 内装は、運転席とセンターの2か所に大型ディスプレイを搭載。フルデジタル化したコックピットは、バッテリーEVの「bZ4Xのようだ」との声も寄せられるほど、先進的な印象を与えるものでした。

 それでもやっぱり、「プリウス」でした。

 車高が低く、タイヤが19インチに大径化したことで、サイドビューはシャープな印象になりましたが、リアの腰高なフォルムは歴代のプリウスに共通。実際に見ると「確かにプリウスだ」と感じるかもしれません。

 今後変更の可能性はあるものの、外装の窓回りやピラーは、質感の高いピアノブラックではなく一般的な樹脂パーツであるほか、ブルーの展示車はファブリックのシートで、庶民的な印象を受けました。デザインは先進的でも、抑えるところは抑えているようです。

開発コンセプトからして、やっぱりプリウスだ!

 会場でプレゼンしたトヨタのクルマ開発センター デザイン領域統括部長のサイモン・ハンフリーズさんによると、バッテリーEVが普及するなかで「いつまでハイブリッドを作り続けるのか」という問いのなかで新型は開発されたといいます。

 プレゼンの冒頭では、世界初の量産ハイブリッドカーであるプリウスが25年のあいだで、いかにCO2削減に貢献したかが紹介されました。プリウスは「みんなの手が届くエコカー」であり、「明日からではなく今日から」カーボンニュートラルに貢献できる選択肢として、残さなければならない、といった思いがあったそうです。

 しかし、燃費やCO2削減の「数字」だけでなく、エモーションで選ばれる、愛されるクルマーーそうしたコンセプトが、「一目惚れするデザイン」と「虜にさせる走り」を両立する今回の新型に結実しました。


コックピットはフルデジタル化(乗りものニュース編集部撮影)。

 この新型は2023年春の発売予定。具体的な価格は明かされておらず、今冬に発表予定です。

 ちなみに、車高や重心を下げたスタイリングのため、車内の天井もやや低めです。その分、一部グレードにオプションで用意されるという「パノラマムーンルーフ」の解放感に期待したいところです。