不憫な姿にキュン……! 菅田将暉・福士蒼汰らが演じた「振られ役」5選

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恋愛ドラマの相関図でトライアングルの一角に位置し、ヒロインに一途な愛を捧げる男。しかし、彼女にはどうしても忘れられない男がいて、最終的には振られてしまう……。そんなかわいそうな彼を慰めてあげたいと思ったら、あなたはもう恋に落ちています。

これは30年前の名作「あすなろ白書」で木村拓哉さんが石田ひかりさんをバックハグし「俺じゃダメか」と言って、テレビの前の全女子の胸がトゥンク……と高鳴って以来の伝統で、俳優さんにとっては注目され人気が急上昇するお得な役柄でもあります。

そこで今回は、現在、配信サービスなどで見られる恋愛ドラマの中からそんな「俳優のブレイクポイント」となった5作を紹介します。かわいそうだけど応援したくなる、そんなあなただけの“推し”をぜひ見つけてみてください!

■「花のち晴れ〜花男 Next Season〜」中川大志さん

“心までイケメンすぎる振られ役”としてわかりやすいのは、みんなのバイブル漫画「花より男子」の花沢類。2005年のドラマ版では、今では大河ドラマの主役を張る小栗旬さんが演じていました。

名門・英徳学園高校に入った庶民の娘・つくし(井上真央)と御曹司の道明寺(松本潤)が反発しながらも惹かれ合う中、ずっとつくしの味方をしてきた類も彼女のことを好きになりますが、彼女の本当の幸せを願ってそっと身を引きます。

ドラマ放送当時も「道明寺より類の方が好き!」「つくし、類にしちゃいなよ」という女子の声が圧倒的に多かったですよね。そんな花沢類ポジションを引き継いだのが、「花男」の続編である「花のち晴れ〜花男 Next Season〜」の中川大志さんです。

中川さんが演じる馳天馬(はせ・てんま)は、白い学ランを着た生徒会長で学業優秀、スポーツ万能。まさに非の打ち所のない優等生です。

ヒロイン・音(杉咲花)の幼なじみで婚約者なのですが、天馬の通う桃乃園学院にとってはライバル校である英徳学園に入学した彼女は、「花男」の道明寺の後継者を自称する晴(はると/平野紫耀)と出会います。

そして、音と晴はお互いに「いやなやつ」と言いながらも惹かれ合い……。あとはもうお約束ですね。音は天馬との婚約を守ろうとするいい子なのですが、最終話で「僕ができるのは、音が音らしくいられるように背中を押すことだけだ」と言って音を晴の元に送り出す天馬の不憫なことと言ったら!

しかし、中川さんは、この翌年には朝ドラ「なつぞら」でヒロインの夫役という大本命になりましたし、波瑠さんと共演した「G線上のあなたと私」でも胸キュンを呼ぶ年下男子を好演しました。今年は大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の畠山重忠役も評判になりましたが、子役時代から培ってきた演技力で現実離れした設定でもリアリティを持たせられる人なので、ラブストーリーにもっと出てほしいところです。

■「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」間宮祥太朗さん

振られ役からステップアップしたと言えば、間宮祥太朗さんも。ファッション雑誌の編集部を舞台にした「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」では、上白石萌音さん演じるドジっ子ヒロイン・奈未の同僚で、編集者の中沢涼太役でした。

奈未がカメラマンの潤之介(玉森裕太)と恋に落ちる中、仕事面で馬鹿にしていたはずの奈未に惹かれていきます。“ドS先輩”と呼ばれていたのに突然「俺ならお前のこと、泣かせない」とデレるギャップで、多くの女性のハートをつかみました。

間宮さんはこの作品以外にも不憫な役が多く、この作品の直前に出た「#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜」では会社員の五文字を演じ、波瑠さん演じる勤め先の産業医・美々を好きになり、匿名でSNSのメッセージをやり取りしているのは自分だと偽ってまでアプローチしましたが、美々は松下洸平さん演じる先輩社員と急接近。

さすがに2作続けて振られ役はかわいそうと思っていたら、1年後、清原果耶さんと共演した「ファイトソング」ではみごと本命に昇格しました。でも、そのドラマでも一発屋のミュージシャンという微妙に不憫な属性。最新作「魔法のリノベ」での妻に逃げられたシングルファーザーもそうでしたが、美形で優しいのになぜか女性に選ばれないという役どころが多いんですよね。

■「ラブソング」菅田将暉さん

菅田将暉さんはドラマではあまり恋愛もののイメージがないですが、福山雅治さん主演の「ラブソング」では、ヒロイン・さくら(藤原さくら)の幼なじみポジションでした。児童養護施設でさくらと一緒に育った空一という役で、これがまたとっても“いいヤツ”。

吃音症で他人とうまく話せないさくらは、元ミュージシャン・神代(福山雅治)との出会いから歌の才能を発揮し、プロの歌手としてCDを出すまでになるものの、病が判明し声が出なくなるかもしれない手術を受けることに。ちょっとハードすぎる人生なのですが、空一はいつもそんな彼女のそばにいて明るく励まし続けます。一度、勢い余ってキスしてしまったものの、「気にしなくていい」と引き際もわきまえているのが、本当いいヤツ。

しかし、さくらはかなり年上(役者の年齢で考えると26歳差!)の神代に恋をし、大人の彼には相手にしてもらえないこと(そりゃそうだよ……)が苦しくなって失踪してしまいます。「空一は優しすぎて、私には応えられそうにないよ、ごめん」という書き置きを残し……。これは空一、ショーック! 今後はあまり見られそうにない菅田くんの振られっぷりをご堪能あれ。

■「恋仲」福士蒼汰さん

2023年は男女逆転版の「大奥」(NHK)に出ることが発表された福士蒼汰さんは、日の当たる本命街道を歩いてきた人。しかし、「恋仲」では主役であるものの、ずっと片思いをしているような役柄でした。

富山で育った葵(福士蒼汰)は、ヒロインのあかり(本田翼)と家族ぐるみで付き合うような親しい間柄でしたが、あかりが父親と借金のせいで夜逃げしてしまい、生き別れに。

7年後に東京で再会すると、なんとなんと、あかりは富山の高校で一緒だった翔太(野村周平)と付き合っていたのです。あかりが富山を去るとき、葵に借りた漫画の「ONE PIECE」に手紙を挟んで残していたのに、それを翔太が隠してしまったという“ズル”も話題になったこのドラマ。

最終的に、恋の三角関係の振られ役は、映画「ちはやふる」でもそうだったように野村周平さんになるのですが、葵はとにかく情けないというか、努力家ではあるもののいざというときに失敗しがちで自己肯定感が低いタイプなので、応援したくなります。

■「この恋あたためますか」仲野太賀さん

そして、「恋仲」にも出ていた仲野太賀さんは“令和の寅さん”とでも呼ぶべき、振られ役の多い人。その不憫さがピークに達したのが森七菜さん、中村倫也さんと共演した「この恋あたためますか」でした。

コンビニチェーン会社の社長・浅羽(中村倫也)の後輩であるパティシエ・新谷誠役で、浅羽がスカウトしてきたスイーツ好き女子・樹木(きき/森七菜)のことを好きになります。

しかし、樹木が惹かれているのは浅羽。それでも樹木に告白しますが、最終話、外苑前のイチョウ並木の前のカフェで樹木から「社長が好きです、ごめんなさい」と言われてしまう。そのときの新谷の表情が本気すぎて……。

一筋の涙を流してからとフッと微笑み「樹木ちゃんの幸せが俺の幸せだから」と言う姿に、「もう、あんたがヒロインや」と拍手を贈りたくなりました。

その後、仲野さんは「拾われた男」や「初恋の悪魔」でも振られたり捨てられたりしていますが、最後はちゃんと幸せになるパターンも増えています。

■今期ドラマの“振られ役”も見逃せない!

そして、現在放送中の2022年秋ドラマにもいますね。典型的な振られ役が! そう、目黒蓮さんのイケメンぶりが話題の「silent」です。

鈴鹿央士さんが演じる戸川湊斗は、ヒロインの紬(川口春奈)や想(目黒蓮)と高校の同級生。紬は想と両思いになり付き合っていましたが、卒業後にあっけなく振られてしまい、東京に出てきてから湊斗と交際しています。

ここまでは「恋仲」と似たシチュエーション。そして、紬は彼と同棲することにしたものの、想と再会し、彼が聴力を失っていたことを知って激しく動揺します。令和には珍しい純愛ラブストーリーで、これはもう湊斗が振られることは決まったようなもの!? しかし、そうなったとき、湊斗は大人しく身を引くのか、それとも嫉妬に狂って2人を邪魔するという泥沼の展開になるのかは読めません。

鈴鹿央士さんは今年の夏ドラマ「六本木クラス」でも主人公の新(竹内涼真)と結ばれる葵(平手友梨奈)を一途に思う役柄だったので、片思いポジションがちょっと続きすぎの気がしますが、展開によっては後半、人気が爆発しそう。今後も注目です。

どの俳優さんも不憫でたまらない役どころを演じている作品をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。ハッピーエンドを迎える幸せな2人だけでなく、陰で涙を流すちょっとかわいそうな登場人物を応援することで、いつもとは違ったドラマの楽しみ方ができるかもしれません。

(文:小田慶子、イラスト:ヘロシナキャメラ)