冷蔵庫の位置次第でLDKがすっきり。調理もしやすくなる魔法の間取り4選
LDKが一室空間となっている間取りでは、キッチンが丸見えで雑然とした印象になりがちです。一級建築士の守谷昌紀さんは、その原因は大きな冷蔵庫にもあると言います。自身が設計した4つの実例をもとに、すっきりした印象になる冷蔵庫の置き方を解説。キッチン自体も使いやすくなる魔法の間取りを、家づくりの参考に。
Case1.キッチンのすぐ横だけど、見えない冷蔵庫
1つ目の事例は、北側に大きな窓をもつ、2階にLDKがある家です。
明るいダイニングのすぐ横には、対面キッチンがあります。しかし冷蔵庫が見あたりません。
その理由は、上の図面を見るとよくわかります。冷蔵庫(黄色い四角)は、キッチンのすぐ横に。しかしリビングダイニングからは、壁が見えるだけ。冷蔵庫は見えないようになっています。
すぐ横にありますから、料理をするときにはさっと取り出しやすい場所。しかし、リビングやダイニングに来客を招き入れても、見えにくい位置です。
これはリビング側からダイニング、キッチンを見たところです。冷蔵庫が目に入らないことで、ロフトとつながる大空間が、よりすっきりとした印象になりました。
冷蔵庫のある位置とは反対側、キッチンのいちばん奥には、パントリーを設けました。このパントリーのおかげで、こまごましたものがキッチンに出ることも防げています。美しさだけでなく、機能性も備えた間取りです。
Case2.冷蔵庫をパントリーに入れ引き戸で隠す
2つ目の事例は、リノベーションです。こちらも2階にLDKを配置しました。
冷蔵庫はキッチンの横に設けたパントリーの中に置いています。
ふだんは引き戸をあけたままにしておき、来客時には閉めることもできます。
ゴミ箱は作業台の下に。キッチンの近くに必ずある、冷蔵庫やゴミ箱を視界から隠すことでキッチンだけでなく、LDK全体の空間もすっきりさせることができます。
住まい手は、人工大理石の作業台で直接パン生地を練ったり、お菓子の生地を広げたりすることも。すぐ横に冷蔵庫やパントリーがあることで、作業がスムーズになったと喜んでくれています。
Case3.キッチンの奥にパントリーをつくり隠す
3つの目は4軒長屋の中央2軒をフルリノベーションした事例です。
ゆったりとしたリビングダイニングは、屋根裏部屋とボルダリングコーナーでつながっています。
オープンなキッチンですが、冷蔵庫が見えません。
キッチンの奥に1.5畳ほどのパントリーを設け、その中に冷蔵庫を置いているからです。
引き戸なので、あけておくことも閉じておくことも可能。冷蔵庫のほか掃除機など、さっと取り出したいが、ふだんは見えてほしくないものがここに収納されています。
キッチンカウンターの下にくぼみが見えます。お弁当をつくる際に使うふりかけのビンが収納できるサイズを確保しました。これもリビングダイニング側からすっきり見える工夫のひとつです。
Case4.周囲の色と合わせ気配を消す方法も!
最後の事例は、対面キッチンの背面に、冷蔵庫と食器棚が並んでいる間取りです。
この配置は、リビングダイニング側からよく見えるので、工夫が必要になってきます。
パントリーがつくれないケースや、リビングダイニングから見える場所に置く場合、冷蔵庫は奥行きに注意を払う必要があります。
冷蔵庫が出っ張ってしまうと、どうしても目立って生活感が出てしまいがちだからです。それだけでなく、非常に動きにくいキッチンになってしまいます。
このプランでは、キッチン裏にある浴室と、洗濯機の配置を工夫することで、大きな冷蔵庫の面を食器棚とそろえることができました。さらに食器棚と冷蔵庫の色を合せることで、よりすっきりとした印象に。
キッチン裏の洗濯機スペースも大きめに確保し、ガス乾燥機がすっきりと納まっています。
キッチン横のわずかなスペースに、ゴミ箱置き場も確保しました。リビングダイニングからは、ほとんど見えません。
建ってからではなく、設計時に冷蔵庫の選定を!
コロナ禍やライフスタイルの変化にともない、冷蔵庫は大きくなっていく傾向にあります。ですから、LDKをすっきりとしてくつろげる場所にするには、冷蔵庫をいかに目立たないようにするかが、ますます重要に。
でき上がっていく順番でいえば、家が先です。ですから冷蔵庫の選定があとになってしまいがち。しかし、できるだけ早いタイミングで、キッチンの使い方をイメージし、冷蔵庫を選定することが大事です。
というのは、設計時に冷蔵庫のサイズがわかっていれば、使いやすさはそのままにリビングダイニング側からは見えないようにすることもできるからです。
冷蔵庫の配置にこだわり、LDKもすっきり、キッチンも使いやすい間取りをぜひ実現してください。