60代ひとり暮らし。将来への不安を手放すために大事な5つの考え方
将来に不安を感じたり、人と比べて不満を持ったりしてしまうことはありませんか? ここでは、ESSEonlineでも大人気の60代ブロガー・ショコラさんが、人生を豊かにするために大切にしていることを、ご本人が「読むたびに新しい発見があり、もっと早く読めばよかったと思っています」と話す名著のフレーズと一緒に教えてくれました。
60代ショコラさんが、豊かに暮らすために大切にしていること
「将来への不安が大きくて、毎日を楽しく過ごせない」「よその家と自分の家を比べては、不満を感じてしまう」日々、そんな想いを抱く子育て世代のヒントとなるのが、今年発売されたスペンサー・ジョンソンによる小説『プレゼント』(扶桑社刊)です。
●『チーズはどこへ消えた?』の著者の新しい物語『プレゼント』
本作は迷路の中に住む2匹のネズミと2人の小人の寓話を通じて、状況の変化にいかに対応するべきかを描いた大ベストセラー作品『チーズはどこへ消えた?』の著者による新たな物語です。
一人の少年が老人から教えられた「プレゼント」を探し求め、真に充実した生き方を手に入れるというストーリーのなかで、一貫して描かれるのは、「“現在”に向き合うことの大切さ」です。果たして、大人になった少年が手にした「幸せになれるプレゼント」の正体とは…?
そこで、ブログ『60代一人暮らし 大切にしたいこと』が大人気で、読書好きとしても知られるショコラさんに、本書を読んでもらい、気になったフレーズやその魅力を直撃。結婚から離婚へ、正社員から事務職のパートへと、さまざまな転身を経て、現在老後ライフを謳歌するショコラさんが本作から感じた想いを伺いました。
●1:大事なのは物語の内容だけじゃない。大事なのはなにを読み取るかなんだ(『プレゼント』より)
「小説は好きだけれども、このような自己啓発書は読んだことがなかった」という人気ブロガーのショコラさん。初めて読んでみた感想は?
「私が自己啓発本を読んでこなかった理由は、『人には人の考え方や生き方があるから、本に書かれていることが自分には当てはまらないのでは』と思っていたからです。でも、いざ読んでみると、私が離婚したときや正社員を辞めたときにずっと頭の中で考えていたような不安や悩み、その解決法が書かれていて…。もしこの本があったなら、そんなに当時悩まずに済んだかもしれない。もっと早く読めばよかったです(笑)」
そんなショコラさんが最初にピックアップした「大事なのは物語の内容だけじゃない。大事なのはなにを読み取るかなんだ」という一節。これは、本作の冒頭で、人生を楽しむ成功者・ビルが、人生に悩みを抱える女性・リズに幸せに生きる秘訣を質問された際に言った一言です。
「この本は、ビルがリズに『プレゼント』を手に入れた少年と老人の寓話を通じて、人生で幸せになる秘訣を話していくというストーリーです。ただ、成功の秘訣を語ろうとするビルの言葉を疑うリズに、冒頭、ビルは『この物語からなにを読み取れるかはその人次第だ』と伝えます。その言葉は、こういう本を先入観から避けてきた私自身に言われているような気がしましたね」
●2:“プレゼント”を手に入れたなら、もうどこかほかのところへ行くことを夢見たりしなくなるんだ(『プレゼント』より)
次にショコラさんが取り上げたフレーズは、ビルが語る寓話のなかで、「プレゼントとはどんなものなのか?」という少年からの質問に対して、老人が返した一言。
「この言葉を見たとき、パッと頭に浮かんだのは私が57歳で正社員の管理職からパートになったときのことです。正社員時代の立場は忙しさから病気にもなるなど、すごく負担が大きかった。自分でも納得してパートに転職したはずなのに、いざ転職してみたら、当然前職よりも裁量も減るし、年収も下がった。以前からわかっていたことだし、自分で決めたことなのに、すごく後悔したんですよね」
本書では、「幸せになれる“プレゼント(present)”とは“現在(present)”に集中すること」だと語られます。ショコラさんは「当時、私の悩みが多かったのは、『現在』の自分の状況に集中できていなかったせいかもしれない」と続けます。
「多くの人が想像する『成功者』は、お金持ちの人や企業で出世したような人を指しますよね。でも、本当の成功者は、自分が思うことをうまくやれている人を指すのだなとこの本を通じて気がつきました。現在、私は離婚して、正社員を辞めて、パート勤務も10年目に入ったのですが、自分が思うことをやれているので、自分はとても成功していると思うんです。いまはもう『どこか別の場所』や『別の自分』に憧れることはありません」
●3:その瞬間に起きていることに専念しよう。状況の良い面に感謝し、それを足場にしよう。いま重要なことに注意を払おう(『プレゼント』より)
どんなに前向きでありたくても、ときには人生はつらいことが起こるもの。そんなとき、人はどう行動するべきなのでしょうか。これに対して、『プレゼント』の老人は大人になった少年に「今この瞬間を大事にして、状況の良い面を見る方がいい」と答えます。
「この言葉もとても腑に落ちましたね。私が正社員の仕事を辞めて悩んだとき、『収入が減る』『裁量が減る』『立場が不安定』などと悪い面ばかり見ていたような気がします。でも、次第に『パートだから決められた時間だけ働けばいいから楽だな』『わからないことは上司に聞けば解決するし、責任の所在もはっきりして自分には負担がないな』などとよい面に目が向くようになって、心穏やかに暮らせるようになりました」
「現在」に集中して、今の状況の“良い面”を見つけて足場にすることで、満足感を得られる。そうした考え方は、仕事だけに限らないとショコラさんは続けます。
「この言葉は、夫婦間や子どもとの関係、将来不安など、あらゆるものに関して言えるんじゃないでしょうか。どんなものにも良い面と悪い面はある。だからこそ良い面を見つけて、それを足場にすることが重要なのかなって感じますね」
●4:確かに、未来に生きることは賢明なことではない。心配や不安にとらわれてしまうからだ。だが、未来への計画を立てることは重要だ(『プレゼント』より)
上記の言葉は、未来へ想いを馳せることを無駄だと感じるかつての少年に、老人が伝えた一言。「もともと過去のことはあまり振り返らないタイプだ」というショコラさんですが、昔から未来についていろいろと考えるタイプだったため、このフレーズは深く心に突き刺さったそうです。
「『こうなったらどうしよう』という未来への不安って、本当に尽きませんよね。ただ、あるとき私も新聞広告で『不安や悩みの9割は“妄想”から生まれる』という言葉を見てから、心配しすぎることをやめました」
でも、一方で、未来のことをなにも考えないのもよくないとショコラさんは語ります。
「『先のことなんて考えなくてもなんとかなるさ』と軽く考える人もいますが、『なんとかなるさ』は未来に関しては絶対にありえない。私の同世代の知人も『いまからマンションを買いたい!』と口にするのですが、お金の管理が苦手だったので貯金がないから家を買うことができない。もっと昔から計画していたら、少しは違ったはずなのに。過去のいやな出来事や未来への不安にとらわれすぎて現在を楽しめないのもよくないけれども、ある程度先の目標をもって計画することは必要だなと感じますね」
現在は、66歳パート社員として、平穏な生活を送るショコラさん。いま、幸せな日々が送れる理由は、「老後をどうやって過ごしたいか」を考え、きちんと計画を立てていたからこそだと続けます。
「いかに計画を立てても、未来はその通りにはならないものですよね。私も50代のときは『65歳になったら、仕事もやめて老後生活に入ろう』と思っていたんです。でも、66歳の今、まだ仕事を続けている(笑)。でも、『こうなりたい』という目標を立てつつも、現状と向き合い続けてきた結果、今がある。そんな毎日は満ちたりています」
●子育て世代や『自分の人生はこれでいいのか』と迷っている人に読んでほしい
最後に、本書をどんな人に読んでほしいかを聞いてみると、ショコラさんからは「子育て世代の親御さんや、『自分の人生はこれでいいのか』と迷っている人にぜひ読んでほしい」との答えが。
「この本は寓話だから読みやすいですし、簡潔ながら、要所々々にキーワードがちりばめられています。また、数ページ置きに太字で重要なフレーズが書かれていて、その部分だけを読んでも大切なことは伝わる。本を普段読まない人でも、かなり読みやすいはず。
また、私自身、3回この本を読んだのですが、読むたびに新しい発見がありました。多分、その人の生活環境などの変化によって、受ける印象が違うのかもしれません。ESSE世代の方々が読むと私とは違う感想を抱くだろうし、もしかしたら5年後、10年後に読むとまた違うことを感じるかもしれない。1冊の本を通じて、そんな感覚の違いを楽しむのも、きっとおもしろいんじゃないでしょうか」