場所や用途に合わせて使い分けている洗剤。ほかの場所でも使えたら、掃除がラクになるのに…と思う人は多いと思います。「お風呂用洗剤は、トイレや洗面台、シンクなどのお掃除に代用することも可能です」と語るのは、工学博士で、洗剤メーカーで商品開発にも関わっている日刊住まいライター。掃除の手間が減らせる洗剤活用術を、ぜひ参考に。

お風呂用洗剤には皮脂汚れや水アカ汚れを落とす成分が!

お風呂用洗剤には、皮脂汚れを落とす界面活性剤、石けんカスや水アカ汚れを落とす金属イオン封鎖剤、カビなどに有効な除菌剤が含まれています。さらに、スプレー性をよくするために、溶剤や泡調整剤なども含まれています。

各社で出しているお風呂用洗剤には、いろいろな種類がありますが、多くの洗剤が上記の設計でつくられています。

洗剤のラベルを見比べると、洗剤同士の違いが見えてきます。

 

お風呂用洗剤はトイレ、洗面台、シンクなどの掃除にも使える

お風呂用洗剤は、じつは、トイレ、洗面台、シンクなどの掃除にも使えます。

その理由は、お風呂用洗剤に含まれている成分が、トイレやシンクの汚れにも有効だからです。

トイレ掃除では、界面活性剤が手アカの汚れをとってくれます。そして、水アカ汚れや尿の汚れは、金属イオン封鎖剤が効果を発揮。さらに除菌剤が、菌の除去をしてくれます。これらの成分はトイレ用洗剤だけでなく、お風呂用洗剤にも入っています。

また、洗面台には手アカや水アカ汚れが、シンクには食品汚れや水アカ汚れが。それぞれの汚れを、界面活性剤と金属イオン封鎖剤が取ってくれます。

さらに、洗面台やシンクにも菌はいますので、除菌剤が効果を発揮してくれます。

最近は、シンクのお掃除に、重曹とクエン酸を使っている方も多いと思います。たしかに重曹は食品汚れを掃除でき、クエン酸は水アカ汚れの掃除と除菌をできます。しかし、重曹とクエン酸では2剤必要で、掃除の手間が増えてしまいます。

なお、重曹はアルカリ性でクエン酸は酸性なので、これらを混ぜて使うと中和してしまい、重曹もクエン酸も本来の性能を発揮しません。

お風呂用洗剤であれば、食品汚れと水アカ汚れのお掃除、菌の除菌を1種類の洗剤でできるので、掃除の手間が少なくなります。

 

お風呂用洗剤を使っても、トイレや洗面台を掃除する方法はシンプルです。

洗剤を使うとともに、トイレと洗面台ではブラシ、シンクではスポンジなどで、こすって汚れを落とします。

お風呂用洗剤をトイレや洗面の掃除に使うときの注意点

じつは、お風呂用洗剤は、汚れや水アカをきれいに取ってくれる反面、プラスチック素材を傷めてしまう可能性があります。

お浴室では、清掃後に水で洗い流せるので問題ないのですが、洗面台やトイレの便座などで、ふき掃除で使うと、洗剤が表面に残ってしまう可能性が。

また、洗面台に使われることの多い、人工大理石も気をつけてください。人工大理石は、アクリル樹脂を主成分とした、プラスチックの一種です。多少の手間にはなりますが、洗剤の成分が残らないよう、洗い流すようにふき取ってください。

一方、トイレの便座や手すりは水で洗い流せないので、これらの部分のお掃除にはお風呂用洗剤を代用しない方がいいでしょう。

ここまでお読みになると気づいた方も多いと思いますが、浴室の掃除でも、お風呂用洗剤を吹きつけて、長時間放置しておくことは、あまりいいことではありません(※)。

※アルカリ剤やプラスチックを傷める溶剤を使っていないものなら問題ありません

 

頑固な汚れを落とすときには専用の洗剤を!

お風呂用洗剤でお風呂以外の場所も掃除できますが、専用の洗剤よりも優れているということでは決してありません。

そして、頑固な汚れを落とすためには専用の洗剤の方が向いています。

トイレであれば、頑固な尿石汚れは酸性の洗剤。シンクであれば、こびりついた食品汚れはアルカリ洗剤。

実際、筆者の家でもシンクの頑固な汚れを落とすときには、酸素系漂白剤を使っています。

お風呂用洗剤には、お風呂以外のトイレ、洗面台、シンクなど、水回りの掃除に使える隠れた汎用性があります。また、洗浄と除菌を一度にできる手軽さもあり、掃除の手間も少なるでしょう。