ちゃんと寝たはずなのに、なんだか疲れがとれないと感じたら、睡眠の質が落ちているかもしれません。眠りの質を上げて疲れをとる方法を、医師の梶本修身先生に教えてもらいました。

眠りの質を上げる「朝」の過ごし方

良質な睡眠には、寝る直前だけでなく、朝の過ごし方にも重要なポイントがあります。

●カーテンを少しあけて、太陽の光や自然の音で起きる

大音量のアラーム音で起きるのは厳禁。「大きなアラーム音は一気に交感神経が上がって脳が疲れる原因に。前日の夜にカーテンを少しあけて就寝し、起床時に太陽の光と自然の音で起きるのがおすすめです」

●午前の予定がバラバラでも、毎朝同じ時間に起きる

よい睡眠には夜より朝のルーティンが大切。「起床時間を同じにすれば、一定の時間に眠くなります。目覚めたら太陽の光を浴びて朝食をとると、夜にはスムーズに睡眠ホルモンのメラトニンが分泌され、質のよい睡眠に」

眠りの質を上げる「昼」の過ごし方

日中は夜に向けて、疲れをためないような行動を心がけて。

●昼間には疲れをためず、夜の快眠に向けた行動を

昼間は心や体に負荷をかけないように注意。「激しい運動やストレスを受けると、興奮状態になり交感神経が活性化。ストレスホルモンのコルチゾールが分泌され、睡眠の質が下がります。脳に疲れをためないようにしましょう」

●紫外線で眠りの質も悪化。UVケアは念入りに

夏の紫外線は、肌ダメージに加え睡眠の質を下げる原因にも。「夏、海やプールで寝ているだけでも疲れるのは、紫外線から細胞を守ろうと脳が一生懸命働いているから。肌のUVケアを十分に行い、日傘や帽子、サングラスを活用して、睡眠のためにも肌と目から侵入する紫外線を防ぐ対策を」

●生活環境を改善して、テレビ画面を観る時間を減らす

「テレビやスマホ画面のブルーライトの刺激や、動画から得られる情報によって、脳が覚醒と興奮を繰り返すと、疲れは極限状態に。テレビやスマホを観る時間を減らせば、脳疲労を軽減できます」。寝る前のスマホも厳禁です。

疲れがとれる「寝室環境」の整え方

ぐっすり眠れて疲れがとれる、睡眠環境をつくる方法を紹介します。

●エアコンはつけたままで、布団を活用して

暑さが厳しい時季は、ひと晩じゅうエアコンをつけっぱなしにするのが鉄則。「脳にとって最適な環境は22〜24℃。体が少し涼しく感じるくらいが脳の適温なので、冬用の布団をかけてちょうどいい室温が目安。頭を冷やし、足元は温めることが脳を疲れさせないコツです」

●ゆったりしたパジャマを選び、湿度管理も忘れずに

入浴後、手足から熱を放出することで寝つきがよくなるので、パジャマには吸湿性の高いゆったりしたものを選ぶと◎。「部屋の湿度は55%以下が理想的。二酸化炭素がたまらないようにドアを5cmほどあけましょう」

●接触冷感グッズより、冷却機能つき素材を選んで

肌に触れると気持ちがいい接触冷感グッズは要注意。「冷感とうたっている商品は冷たく感じる分、汗をかかなくなるので熱中症になる危険性も。使うなら汗を吸着して熱を外に逃がすような冷却機能つき商品を選びましょう」

●右を下にして横向きに寝ると、いびき対策に効果的

舌の根が落ち込むのを防いでいびきを軽減するうえ、体温調節など睡眠中の体に負担をかけない体勢が横向き寝。「胃の出口である右側を下にして寝ると消化器系の働きも促します。抱き枕を活用すれば自然に横向き寝に」