片づけたいでも、うまく片づけられない…。毎日忙しかったり、元々片づけが得意ではなかったりと、さまざまな理由で家の中が常にごちゃついているという人は少なくありません。「収納の使い方を変えるだけで、片づけがラクになりますよ」と話すのは、毎日が楽しくなる収納術や家事コツを発信する片づけのプロ・はらむらようこさん。今回、無印良品の引き出しを例に、自然と片づく裏ワザを教えてもらいました。

ものが多いのは判断力がないからではない

片づけの仕事をする中で「ものが多いから片づけてすっきりさせたいけれど、どこから着手すれば?」この質問はよくいただきますが、よく考えると不思議な質問です。

無印のファイルボックスはゴミ箱にも便利<写真>

ものが多いと感じているのなら、どこからでも着手できるはずなのに、できない。その答えは、決してその人に判断力がないからではありません。ものが「背景」になってしまっているからです。

たくさんの家を片づけてきて気づいたのですが、人は自分の持ちものに見慣れやすく、すぐに景色・背景になってしまい目につきにくくなります。背景と化したごちゃついている場所がいくつもあれば、どこから手をつければいいか迷い、面倒になるのも当然です。

そこでおすすめなのが、家にある収納のフタや扉を外したり、角度を変えたりして、中にしまっているものを「見える化」すること。まず最初に着手したいのが引き出しです。

 

片づかない人こそ「引き出し」のバラシ使いがおすすめ!

ここではシンプルな見た目と使いやすさから、愛用している方も多い、無印良品の引き出しの活用例をいくつかご紹介します。

まずやっていただきたいのが「引き出しを枠から出し、引き出しだけ使う」方法。

 

●引き出し部分のみを使うことで中身が見えやすくなる!

キッチンのオープン収納棚で使用されている場合も多い無印良品のポリプロピレン引き出しケース。

収納力があるため、つめ込みすぎて中身を把握できていなかったり、引き出しが動いて出し入れしにくい、なんてことも。

枠から引き出し部分を出して、中身が見えるようにしてケースとして並べれば、使い勝手がぐっとよくなります。引き出しを出すときに枠にひっかかってイライラ…もありません。

 

●高さのある小物も取り出しやすくしまえる

こちらは無印良品の「木製小物収納」を引き出しのみ使用。乾電池などは枠あり引き出しだと、寝かせてしまうしかないですが、引き出しのみなら、立ててしまえるので、量も把握しやすく、取り出すのもスムーズです。

 

●浅い引き出しは棚の中でトレーとして活用

書類入れなどで使用する浅型の引き出しもケースから出して、棚の中で使用してみてください。枠つきのままだと置く場所も限られますが、引き出しのみ使えば、高さがない棚などで1段ずつ入れてトレーのように使えて便利。ここでは、キッチンで使うハサミやばらけやすい箸置きなどを収納しました。

「引き出しの枠」の便利な活用術

引き出しを取り出した枠も収納として活用できます。引き出しと枠をバラバラに使うことで、収納グッズとしての使い方の幅も広がりますよ。

 

●キッチンでラップ入れに

よく使うラップやアルミホイル類は、引き出しに入れると出し入れが面倒だし、専用ケースに入れれば見た目的にごちゃつかないけれど、これもちょっと面倒。奥行きのあるポリプロピレン収納ケースの枠を使えば、すっきりとしまえ、ささっと取り出せます。

 

●大きな引き出しの中で収納ケース代わりに

仕切りがついたタイプのポリプロピレン引き出し(小物収納ボックス3段)枠は、システムキッチン下の大きな収納の中で便利に活用。お弁当の小物もラクに仕分けられ、出し入れもスムーズです。

 

●大きな引き出しの枠は、押入れ内の収納に

衣類用のポリプロピレン収納引き出しの枠の活用アイデア。

押入れにケースだけを重ね、避難用リュックやグッズを収納しました。よく使うものではないけど、必要なときにさっと取り出したい避難グッズは奥にしまい込んでは意味がありません。枠を2段重ねると大きめのオープン収納になるので、奥行きのある押入れで便利です。

 

●棚の中でコの字ラック的に使う

こちらは細かいオモチャ収納(写真右上)。オモチャ類はまず、元の箱から出して使うのをおすすめしています。箱から出して、100円ショップで売っているような小さめのボックスに入れて棚にイン。紙の箱のフタをあけたり閉めたりする必要がないので、子どもも片づけやすいですし、見た目もすっきり。

ただ小さめのケースを棚に並べると余白が結構あるので、余っていた引き出しの枠出番。コの字ラックのような活用法で、上にもものが置け、収納力がアップします。この写真では無印良品のファイルボックスを使用していますが、家に余っている「枠」があれば活用しましょう。

 

ものを増やしすぎないためのポイント

すっきり暮らす上での最大のポイントは、「本当に好きなもの」だけを買うようにすることだと考えています。

好きなものであれば、大切にしたいという思いが強いので、片づけるときも「イヤイヤやる」気持ちが減ります。安いから、人にすすめられたから、といった理由で買うことを減らせば節約にもなります。

ただ、好きなものであっても使用するうちに古びたり、使い勝手が悪くなることもあります。ときどき見直して、ものを循環させることも大事。そのためにも、中身が見えやすい収納にしていれば、もののアップデートも簡単。日々の暮らしの中で、死蔵品をなくし、よくつかっていれば、重い腰を上げて1日がかりの片づけをする必要がなくなり、暮らしがもっとラクに、楽しくなりますよ。ぜひ試してみてください。