50代で直面した「親の介護と葬式」。かかった費用とやってよかったこと
50歳を迎えると、親の介護が切実な問題として迫ってくることも。なんとなく話には聞いているけど、実際のところはどんな問題があって、どう備えたらいいのでしょうか? 実際に介護を経験し、実母を看取ったというブロガー・中道あんさんに、その体験談を語ってもらいました。
介護から葬式まで。親を看取るまでの費用とやってよかったこと
昨年、介護していた実母(要介護2)を看取った中道さん。体験したからこそわかる、介護と葬儀のお金の現実についてお聞きしました。
●年金だけでは介護費も葬儀費用もたりない
父親の死後、糖尿病と喘息もちの母親の1人暮らしが心配で、自宅に引き取った中道さん。「覚悟はしていましたが、まったく準備をしてなくて想像以上に大変でした」
日中はデイサービスに預けていましたが、母のわがままぶりが手に負えなくなり、ショートステイ、そして有料老人ホームへと移ります。「母の年金だけではお金がたりず、あき家となっている実家を売って資金にしました」
昨年、亡くなり、葬儀にかかった費用は133万円。母が入っていた互助会費と保険の保証金額をすべて充て、たりない分は実家を売却した代金でまかなったそう。
「年金だけではたりないと実感。私のときは子どもたちに迷惑をかけないよう、投資で蓄えようと思います」
中道さんが、肌身離さず身につけているネックレス。母の指輪をネックレスへつくり替えました。
●2012年:母の介護が始まる(あんさん49歳、母74歳)
中道さんが昼間は家にいないためデイサービスを利用。
「介護にかかる費用は、母の年金約19万円でたりていました」
●2015年:母が有料老人ホームに入所(あんさん52歳、母77歳)
家賃や管理費が別途かかり、母の年金だけでは5万円の赤字に…。思いきって実家を売ってお金を捻出。
<やってよかった>
・(1) ホームへの入所を機に母のお金の管理を担当
貯金や保険など、お金まわりのことはすべて中道さんが担当することに。「全体を把握できたので、今後の見通しが立てやすくなりました」
・(2) 実家は生前贈与を受けてから売却
「専門家に相談したら、母名義で売却して収入を得ると、翌年の母の介護保険料が上がる可能性があること、また、私名義にした方が手続きがラクだということを知りました」。ただし、必ずしも生前贈与したほうがトクになるとは限らないので、専門家に相談を。
・(3) 実家の片づけはリサイクル業者にまかせる
14万円かかったけれど、数時間で終わったので頼んでよかったと中道さんは言います。「複数社の見積もりを取るのがおすすめ。実家の場合、高くて約25万円、安くて約14万円と、倍近い差がありました」
家を処分する際に持ち帰った母の反物。「虫干ししながら、自宅で大切に保管しています」
●2021年秋:母が亡くなり家族葬を行う(あんさん58歳、母83歳)
以前、父親の葬儀で家族葬をした中道さん。「母の葬儀でも、当たり前のように家族葬を選択しました」
<やってよかった>
・家族葬にして費用を抑える
「地元で主流の昔ながらの葬儀だと、多くの人が来るので300万円かかることも…。見栄や世間体のためにお金を使うのはムダだと思ったので、家族葬にして正解でした」
子どもが大きくなって手が離れたと思ったら、親の介護問題が浮上…。50代、60代の頃になると、よく聞かれる話です。心構えをしておくだけでも、いざというときの気持ちのゆとりが違うはず。今回の記事も、ぜひ参考にしてみてください。