ペットの柴犬の写真をツイッターに投稿し続け、その自然体のかわいさが人気となっている@inu_10kg。ESSEonlineでは、飼い主で写真家の北田瑞絵さんが、「犬」と家族の日々をつづっていきます。記念すべき第50回は8月11日に迎えた「犬がやってきて8周年の日」についてです。

犬がやってきて8周年。感謝を胸に9年目がはじまる

犬がうちにやってきたときの衝撃はなにものにも代え難い。歓びや楽しみだけではなく自分次第で命がどうとでもなってしまう怖さと責任感がないまぜとなった強烈な感情をちいさな子犬によって与えられた。私の中に芽生えたのは使命感。

翌日、犬の名前をどうするか皆で名前案を持ち寄るとA4用紙が真っ黒になるまで羅列された。そして名づけられたひとつの名前。そのとき初めて命名とは祈りだと知った。

犬の名前といえば、動物と暮らす家のあるあるだと思っているが、私と母は犬の名前をもじった替え歌やオリジナル…というと大仰だが、犬の歌をつくっては口ずさむ癖がある。もちろん他人には到底聴かせられん出来だ。それでいいし、それがいい。

これを書いているたった今も背後を母の歌声が通り抜けていった。

犬の歌を口ずさみながら冷蔵庫から大玉のスイカを出している。

2022年8月11日犬がうちにやってきて無事に8周年を迎えた。ありがとう! そしておめでとう! ちなみに8月11日は山の日でもある。犬がやってきた翌々年の2016年に制定されて祝日となった。私はとんだ親ばかですから犬がうちにやってきたのも祝日になった理由だと思っている。

せっかく山の日だし朝の散歩は山に行こうか。コンビニで軽食を購入しみかん畑の山に向かう。山に着いたのは6時30分頃だがすでに父が農作業をしている。

犬はおやつが口にあったのだろう。目を細めて咀嚼して飲み込むと息をつく暇もなく「さぁ! さぁ来い!」と次の一口をせっつく。あぁ優雅にピクニックなんて夢のまた夢よなぁ…でもやかましくてすてき。

家に帰ると用意しておいたプレゼントの新しいおもちゃを後ろ手に隠しながら犬のもとに行く。しかしどうやら私の表情やら挙動から気づいたのだろう、犬が期待を込めて飛びついてきた。後ろに回ろうとするので「ジャーン!!」とおもちゃを差し出せば、「ン!!」を言い終わる前に取っていって、まばたきひとつしたらブンブン振り回して遊んでいる。

おもちゃをくわえながら懸命に左右に振り回しながら向かってくる。これは振り回しがいがあるだろうし、音が鳴るし、私と引っ張り合いもできるなと店内で遊ぶ様子を思い浮かべながら選んだ。

昼過ぎに妹が帰宅すると犬のおなかにおでこを寄せていた。これは毎度行っているただいまの儀である。

妹はともかく犬も、ふたりして数秒間じっとそうしている。みんな犬に癒されている。

夕方頃から庭でBBQの準備をしながらケージまわりをバルーンで飾りつけていく。一歳になるくらいまでケージを愛用していたが、次第に入らなくなり庭に置くようになった。

日頃から撮ってるが記念日には改まった写真を残しておきたい。みんなに見守られるなか犬を撮っていたら「なんか犬ちゃん誇らしげやなぁ」と妹が笑う。

さて今日という素晴らしい日を足あとがかわいい犬用ロールケーキでお祝いしよう。今夜は祝祭だ、宴だパーティだ!

ここからまた一年、犬がなにも心配しないでいいように私はひたすら善処する。どうか犬がいつまでも健康でいられますように。

どうか来年も10年後も20年後も犬の目を見て「ありがとう」を伝えられますように。

2014年にうちにやってきてくれた感謝と犬の名前に込めた祈りは色褪せず、9年目へと続いていく。

犬、うちにやってきてくれてありがとう。いつも与えてくれてありがとう。

この連載が本『inubot回覧板』(扶桑社刊)になりました。第1回〜12回までの連載に加え、書籍オリジナルのコラムや写真も多数掲載。ぜひご覧ください。