原油の高騰や世界情勢の余波で、値上げのニュースが絶えません。なかでも生活に直結する、電気代やガス代の値上げは悩みのタネ。3年前にオール電化住宅を建て、太陽光発電の設備を採用した日刊住まいライターは、電気を自宅で毎日発電でき、売電と夜間電力の利用によって年間で黒字に。利用している電力プランに合わせた暮らしの工夫と、月々の収支をレポートします。気になる太陽光発電システムの設置費用も、8年でもとが取れそうです。

建てる家は火事のリスクが減るオール電化住宅に決定

筆者は3年ほど前にハウスメーカーで家を建てました。筆者・夫・娘2人(8歳と4歳)、ネコ2匹で暮らしています。

家は総2階で約35坪の広さ。切妻屋根の南側に、太陽光パネル4.455kWが載っています。家の向きもほぼ南向きで、南側にはさえぎるものがなにもないため、天気のよい日はよく発電してくれます。

家づくりの際は、ハウスメーカーの担当者から、オール電化住宅にすると、火を使わないので火事を起こすリスクが軽減されると聞きました。また、エネルギーを一元化することでコストを抑えらえるとのこと。これが決め手のひとつとなって、オール電化住宅にすることにしたのです。

 

設置費用を10年で回収できると聞き、太陽光発電も採用

じつはオール電化住宅にすることは決めたものの、当初、太陽光発電をつける予定は、まったくありませんでした。

というのも、15年ほど前に建てた実家の太陽光パネル設置価格がかなり高額で、筆者の母が「太陽光パネルが高かったから、売電金額で設置費用を回収するのは困難。もとが取れない」と話していたのを聞いていたためでした。

しかし、自身が家づくりを始めてハウスメーカーの営業担当者に、「設置費用を売電額で回収できないのでは?」と質問したところ、具体的な数字を見せてくれ「もとが取れる」という説明を受けました。

 

キャンペーン価格で、パネル設置費用が約95万円。売電額が年間約10万円という想定で、10年かからずに設置費用を回収できるという試算。そこで初めて興味がわき、筆者も太陽光発電について調べてみました。

 

筆者宅には標準仕様ではなかったためHEMS(ホームエネルギーマネージメントシステムの略)はついていません。発電量はパワーコンディショナーの数値で確認しています。

発電した電気は日中自家消費していますが、余剰電力は売電もしています。発電した電気は優先的に使われ、使われなかった電気は売電される仕組みです。3年前の2019年時点での契約では、売電価格24円/kwhでした。

 

休日平日、時間帯によっても異なる電力会社料金プラン

電力会社の料金プランはオール電化住宅向けのプランを利用しています。料金は、以下のとおりです。

・平日:10時〜17時が38円/kwh、9時〜10時・17時〜23時が28円/kwh、23時〜翌9時が16円/kwh
・休日:9時〜23時が28円/kwh、23時〜翌9時16円/kwh

平日の日中がいちばん料金の高い時間帯になっています。日中発電した電気を自家消費できることもあり、この時間帯もあまり気にせずに電気を使っています。

太陽光発電での売電で去年も一昨年も黒字に!

2020年、2021年の2年間、発電量・売電価格・電気料金について記録をつけてきました。その結果、2020年は約2万8000円、2021年は約1万5000円の黒字を出しています。

 

2020年は冬の暖房に灯油ストーブを使っていたため電気代があまりかからなかったことと、まだ寝室にエアコンがなかったことがあり、黒字が多くなっています。

 

2021年からはすべての暖房をエアコンに切り替え、寝室の冷房も頻繁に使用したため電力消費が多くなったと考えられます。

 

太陽光発電と料金プランに合わせた生活スタイルに

太陽光発電がついているとはいっても、電気料金を抑えたいので生活スタイルに工夫は必要です。売電額は24円/kwh、夜間電力は16円/kwhですので、日中に発電した電力は売電し、夜間電力を使った方がお得になるからです。

筆者宅では安い夜間電力を利用して食洗機、炊飯器、洗濯機の稼働を行っています。とくに電力消費の激しいエコキュートの沸き上げ(タンクにためるお湯を、エコキュートが毎日自動でつくること)は、かならず夜間電力で。

基本的に家電はタイマー稼働させていますが、朝9時まで安い料金プランにしたため、タイマーを忘れたり少し寝坊したりした朝も、あわてずに家事に取りかかることができています。

 

停電時も電気が使える安心感がある!

筆者宅はオール電化住宅なので、停電時に備える必要があります。

蓄電池システムは導入していませんが、太陽光発電が稼働していれば停電になっても電気を使うことが可能です。太陽光発電が稼働中のみという条件はありますが、パワーコンディショナーにプラグを差せば、さまざまな家電を稼働させることができます。単発的な停電時だけでなく、災害時にも微力ながら活躍してくれるはずです。

蓄電池と組み合わせて夜間も太陽光発電でつくった電気を使えば、電気代はさらに抑えられ、災害時の安心感も増します。しかし、蓄電池の値段が設置費用含めて80〜200万円ということを考えると、なかなか手が出せないでいます。

 

設置費用は8年で償却の見込み!電気料金値上げの影響も少ない

2021年秋頃から原油価格高騰が始まり、世界情勢も不安定な状態が続いています。さまざまなものが値上がりするなか、電気代も値上げが止まりません。

前年と電力消費は同じなのに電気代は高くなっている、こんな状態が半年以上前から起きています。

しかし、筆者は太陽光発電のある家に住んでいるということで、どこか心に余裕を持つことができています。

ハウスメーカーの営業担当者から勧められ、採用した太陽光発電。3年経過した今も毎日発電してくれて、家計を助けてくれています。

設置費用に95万円ほどかかったものの、電気代は年間10万円ほどですので、過去2年間とも年間12万円以上の利益を出してくれている計算に。このペースなら8年ほどで、もとが取れる計算です。オール電化ですからガス代や灯油代もかかりません。

電気代の値上げがあっても売電である程度相殺できるため、家計への大打撃を免れることもできています。また、停電や災害など不測の事態に備える意味でも、大きな安心があると思います。