トヨタの“サステナビリティ実験“とは? 渋谷109前に″カラフルな″太陽電池が登場
8月24日、多くの人でにぎわうSHIBUYA109の入口に「#発電中を広告中」と書かれた緑色のボックスが登場しました。「何だろう・・・?」と足を止める人も。これはいったい何でしょうか?

実はこれ、「太陽電池」なんです。

「トヨタ」が、日本ペイント・オートモーティブコーティングス(以下、NPAC)、F-WAVEと共同で開発した、太陽電池をカラフルに加飾する「太陽電池向け加飾フィルム」(以下、加飾フィルム)を使って、景観に溶け込みながら発電できることを多くの方に知ってもらうべく、“見える化”して実証実験を行っているそう。

加飾フィルムって何? 太陽電池を街に溶け込ませる技術

環境問題への関心が高まる近年。建物の屋根に太陽電池を設置している光景もたくさん見られますよね。そういった動きが加速するにつれて、悩ましい課題もでてきました。

それは太陽電池の「色」や「デザイン」に限りがあるということ。従来の太陽電池は「黒色」か「紫色」であり、周囲の景観になじまないといった声も聞かれます。そこに他の色やデザインを施すには、どうすれば良いのでしょうか。単純に考えられるのは、好みの色やデザインの入ったフィルムで太陽電池を覆うこと。

しかし、太陽電池をフィルムで覆うと、通常は太陽光がフィルムを透過せず、発電しなくなってしまいます。


開発された加飾フィルム


今回、トヨタとNPAC、F-WAVEが開発した「加飾フィルム」は、太陽光の大部分を透過できるよう開発されました。太陽電池をフィルムで覆っても発電量を大幅に損なうことなく、しかもピンクやブルー、グリーンなど、カラフルな色で太陽電池を“加飾”できるのです。

この加飾フィルムは豊富なカラーバリエーションが揃い、さらに木目調やレンガ調、迷彩柄などもあります。これを使えば、周辺環境や雰囲気に調和した太陽電池に“変身させる”ことが可能。たとえば屋根に太陽電池を設置する際、屋根の風合いや住宅の雰囲気に合わせて色などを決められるのです。


太陽電池をカラフルな色から木目調といった柄物にも変身させることができる


また、店舗や住宅の“壁面”に太陽電池を設置する場合、屋根以上に色やデザインを柔軟に選びたいところ。特に店舗は、壁面のデザインや色が、店舗の印象や存在感に大きな影響を与えるでしょう。

そこでこの加飾フィルムがあれば、太陽電池の風合いを店舗の雰囲気と合わせやすくなり、壁面への設置が進むことが期待されます。このほか、モビリティの外板・ボディなど、さまざまな部分への搭載が考えられるでしょう。

また、最近は薄くて柔らかいシート状の太陽電池も出ており、これらに加飾フィルムを装着することも可能。すると、いままで太陽電池を設置できなかった衣類や鞄、アウトドアグッズなどへの活用も増えるかもしれません。

こうして、太陽電池を設置できるシーンが大幅に増えれば、環境問題に貢献できるのではないでしょうか。


加飾フィルムによって、アウトドアグッズなど様々なものへの活用が期待される


「発電量が大きく落ちない」という特徴は、1年以上に及ぶ実証実験で確認済み

先述した通り、この加飾フィルムの特徴は太陽光を透過させること。だからこそ、太陽電池に装着しても発電ができるのです。

加飾フィルムの開発は2018年に始まり、その後製品が完成すると、2021年3月から発電量を確かめる実証実験(現在も継続中)を熊本県で開始。その結果から、カラフルな加飾フィルムで太陽電池を覆っても、発電量を大幅に損なわないことが実証されました。


実証実験の様子


なお、加飾フィルムを装着した太陽電池の場合、発電量は10%ほど低下します。細かくはフィルムの色やデザインによって異なり、たとえば緑色の加飾フィルムは約92%の発電量、木目調は約90%の発電量となっています(※いずれも、加飾フィルムなしの場合との比較)。

ただし、先述のように、この加飾フィルムによって太陽電池を設置できる場所やシーンが大幅に増えれば、10%の発電量低下を超える環境へのメリットが生まれると考えられます。

トヨタのモビリティ技術も応用

ところでこの加飾フィルムは、どんなメカニズムになっているのでしょうか。予備知識として、私たちが「色」を認識するには、通常、光が何かの物体に当たり、その物体から反射した光を人間が受ける――そうした過程を経て、初めて「色」を認識できます。


※顔料=インク


今回の加飾フィルムに含まれるインクは、「色」を認識するための一部の光を反射させ、残りは透過して太陽電池に届ける特殊な性質を持っています。具体的には、太陽光の中でも特定の波長の太陽光のみを反射。その反射光で人に「色」を認識させつつ、残りの太陽光は透過させて発電を確保しているのです。

この特殊なインクの正体、実は、半透明の自動車塗装向けインクなのです。また、自動車の外装を加飾ラッピングする樹脂フィルムの製造技術も応用。トヨタがモビリティ分野で培ったさまざまな知見が活かされています。

加飾フィルムの普及に大きな期待

太陽電池をカラフルにし、さまざまなデザインを施せるようにする加飾フィルム。これにより太陽電池の普及が進めば、環境にとって大きなプラスになるのではないでしょうか。

トヨタでは、今後も9月、12月にサステナビリティ実験を予定しているそうです。

今後の展開にもぜひ注目してください。

「トヨタのサステナビリティ実験」
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