「OfferBox」運営会社が「就活の教科書」との契約解除を申し出(OfferBox公式サイトより)

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学生向け就活サービス「OfferBox(オファーボックス)」を運営するi-plug(大阪市淀川区)は2022年7月1日、ウェブメディア「就活の教科書」の運営会社に広告提携を含む一切の契約解除を申し出たと発表した。

「就活の教科書」をめぐっては、「底辺の仕事ランキング」「Fラン大学一覧」などの記事が物議を醸していた。i-plugは「あらゆる差別表現、差別を助長するような表現を許容できません」としている。

サイト内の「就活の教科書」制作記事も随時削除

「就活の教科書」では、一部の職業を「底辺職」として取り上げた記事「【底辺職とは?】底辺の仕事ランキング一覧」が、22年6月下旬にSNS上で拡散され、職業差別を助長するとして物議を醸した。運営会社のSynergy Career(シナジーキャリア、大阪市)は、指摘を受け記事を6月28日までに削除している。

その後、一部の大学名を入試ランクの低い「Fラン大学」として取り上げた記事「【行く意味ある?】Fランク大学一覧 | Fラン大学の実態,偏差値,女子あるあるも」もSNS上で拡散され、学歴差別を助長するとして批判を集めていた。

i-plugの「Webメディア『就活の教科書』に関する対応に関しまして」と題した発表によると、OfferBoxでは就活支援記事の一部として、「就活の教科書」が制作したコラムをサイト上に掲載してきた。記事掲載の際は、「就活の教科書」が制作した原稿を、不適切な表現がないよう、同社が校正をおこなっていたという。

6月下旬に「就活の教科書」の問題記事が報じられると、運営会社の取引先として名前があった同社にSNS上で批判が集中。同社は「『就活の教科書』の運営には一切関わっておらず、今回問題になった記事は『就活の教科書』が独自で制作されたもの」だと説明しつつ、「弊社としてはあらゆる差別表現、差別を助長するような表現を許容できません」とした。

同社は7月1日に「就活の教科書」の運営会社に「『就活の教科書』との広告提携を含む、一切の契約の解除」を申し出たとともに、「OfferBox」に掲載されていた「就活の教科書」制作の記事を随時削除するとした。

広告出稿者として「お詫び」も...

さらに、2日の「Webメディア『就活の教科書』に関する当社サービスへのアフィリエイト対応に関しまして」と題した発表では、同社がASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)を通じて「就活の教科書」に広告を出稿していたことについて触れた。

発表によると、物議を醸した「Fラン大学一覧」の記事内に、同社のサービスに誘導するリンクが掲載されていたため、SNS上で批判の声があがっていた。

同社は「今回批判の集まっている記事は、そのASPの広告出稿審査を通過したメディアである『就活の教科書』が独自に制作したものであり、当社が記事内容について管理・監修できる立場になく、記事の確認ができないまま公開されたもの」だと説明。一方で「このような記事が公開されてしまったことに関して、広告主としての責任を重く受け止めている」とし、次のように謝罪した。

「このたびは、大学生及びご関係者様、OfferBoxをご利用いただくお客様、就活生ならびに保護者の皆様、大学関係者様をはじめとする多くの方々にご不快な思いをさせてしまい心よりお詫び申し上げます」

同社は1日付でASPに「『就活の教科書』とのアフィリエイト広告提携を含む、一切の契約の解除」を申し出た。

今後は「広告表現に対しては、広告主としての責任として主要メディアに対し定期的な記事の確認をおこない問題のある表現ではないか確認するとともに、ASPにはいかなる差別表現・第三者を侮辱するような表現を禁止するよう伝えて再発防止に取り組み、安心してサービスをご利用いただける体制づくりに努めてまいります」とした。