鹿児島大学の当時20歳の学生が、飲酒運転の車にはねられ死亡した事件で、ひき逃げの罪に問われている男の裁判で、鹿児島地方裁判所は男に懲役10か月の実刑判決を言い渡しました。

判決を受けたのは、鹿児島市の無職・八木優斗被告(27)です。

判決によりますと八木被告は、去年2月、鹿児島市の国道10号で酒気を帯びた状態で軽乗用車を運転し、横断歩道で宮崎大喜さん(当時20)をはねたにも関わらず、救護などを怠ったものです。

宮崎さんは鹿児島大学の共同獣医学部に通い、馬術部に所属していて、馬の世話をするために朝早く下宿先を出たとみられ、搬送先の病院で死亡しました。

八木被告は去年10月に危険運転致死などの罪で懲役9年の実刑判決を受け、確定しています。しかし、ひき逃げでは不起訴だったことから、宮崎さんの遺族が「真実を知りたい」と検察審査会に不服を申し立て、その後、検察がひき逃げの罪で起訴して裁判が開かれていました。

29日の裁判で、鹿児島地裁の中田幹人裁判官は「被告は傷害を負わせた認識があり、車を停止できたにも関わらず、すぐに停止しなかった」などとして、懲役1年の求刑に対し懲役10か月の実刑判決を言い渡しました。

今回の判決が確定すれば、去年10月に確定した分と合わせて懲役9年10か月となります。弁護人によりますと、控訴するかどうかは今後、八木被告と話して決めるということです。

◆「ずっと苦しい。最後まで本当のこと語られなかった」亡くなった鹿大生・両親の胸の内

被告の男に懲役10か月の実刑が言い渡された判決のあと、遺族はMBCの取材に応じ「最後まで本当のことが語られることはなかった」と悔しさをにじませました。

(父親)「懲役10か月、この程度なのかと。(自分たちの思いと)かけ離れているなと」

獣医を目指し、親元を離れ頑張っていた大学生の命が突然奪われた今回の事件。「ひき逃げ」の法定刑は10年以下の懲役ですが、検察の求刑は懲役1年。そして判決は懲役10か月でした。

母親は「命の代償としてはあまりにも軽すぎる量刑で、これでは飲酒運転の抑止につながらない」と肩を落とします。

(母親)「自分の中で期待できない結果が出るだろうと思っていた。予想通りの判決でした」

これまで両親は「息子がどのような状況で息を引き取ったのか、事件の真実が知りたい」との強い思いから、全ての裁判を傍聴しました。

八木被告は「宮崎さんの状態を知るのが怖くて救護できなかった」「当時のことはよく覚えていない」などと繰り返し、反省の言葉は述べましたが、宮崎さんの両親は「最後まで本当のことが語られることはなかった」と悔しさをにじませます。

(父親)「裁判で八木被告が語ったことと(証拠事実は)矛盾やかけ離れている。私たちが聞きたかった八木被告の本当の気持ちが聞けなかったのがすごく心残り」

両親は29日、大喜さんが事故直前まで持っていた携帯電話や、成人式の写真を持参していました。20年間大切に育てた息子を突然奪われた悲しみが癒えることはなく、気持ちの整理はついていません。

(父親)「自分の息子や娘が亡くなることが、どれだけ悲しいことか。1年4か月経つがずっと苦しい。

他の人が同じ目にあうのはこれ以上増やしたくない。少しでもこの裁判が飲酒運転の抑止につながって飲んで運転したらいけない、事故を起こして逃げてはいけないと、抑止につながればいい」

(2022/06/29 19:57)