by sidkid

電気自動車メーカー・テスラの「モデル3」を購入したドイツのユーザーが、車体下部に亀裂やへこみがあるのを発見してテスラに苦情を訴えたものの、無料修理や交換を拒否されてしまったと報じられました。亀裂は検査や修理の際に車体を持ち上げるジャッキを取りつけるポイントの付近にあるため、このままでは安全に点検を行うことができず、買ったばかりなのに次回の車検に通らない可能性があるとのことです。

Tesla-Kunde bekommt neues Model 3 mit Rissen: "So kommt er nicht durch den TÜV& - EFAHRER.com

https://efahrer.chip.de/news/tesla-kunde-bekommt-neues-model-3-mit-rissen-so-kommt-er-nicht-durch-den-tuev_108198

2021年2月にテスラのモデル3を購入したGerd Stocker氏(仮名)は、2021年春に初めてタイヤ交換を行った際に、車体下部の数カ所に亀裂やへこみがあることを知りました。同様の亀裂が右前輪・左前輪・後輪にそれぞれみられたことから、この亀裂はStocker氏が不注意でどこかにぶつけたのではなく、アメリカの工場で生産された際に生じたと推定されています。

以下の写真が、実際にStocker氏のモデル3で確認された亀裂です。足回りに少し亀裂があるだけなら大した問題ではないように思えますが、この亀裂はバッテリーを収納するエリアに近いため悪影響が懸念されるほか、ジャッキを取りつけて車体を持ち上げるポイントにあるので点検時に事故が起きる可能性もあるとのこと。



by Kanzlei Dr. Lindner Rechtsanwälte

ドイツメディアのEFAHRER.comは、過去にもテスラユーザーが「新車の状態でステアリングホイールやバンパーなどにさまざまな欠陥があった」と主張する事例が報告されていると指摘し、被害を受けたのはStocker氏だけではないと述べています。Stocker氏は2021年6月にベルリンのサービスセンターに連絡しましたが、テスラは「亀裂は欠陥ではなく車両の安全性や信頼性が損なわれないため、修理や交換には応じない」と回答したそうです。

Stocker氏から相談を受けたChristoph Lindner弁護士は、テスラからStocker氏に送付された文書には「2021年4月26日から工場のプロセスが改善された」と記されており、テスラは納品前から工場で車体の損傷が起きていることを知っていたと指摘しています。

Lindner氏は2021年9月にミュンヘンの地方裁判所に証拠収集の手続き開始を申請し、2022年4月にはドイツ自動車検査協会(DEKRA)の専門家による調査が行われました。その結果、「ジャッキを使って車両を持ち上げた際に安全が確保できないため、Tüv(ドイツの車検)を受けることができない」という結論が下されてしまいました。つまり、Stocker氏のモデル3は工場出荷時の亀裂のせいで、2024年にはTüvが受けられないために廃車となってしまうというわけです。これを避けるには亀裂の上にあるバッテリーモジュールそのものの交換が必要であり、Stocker氏の負担額は最大で1万5000ユーロ(約210万円)に達する可能性もあるとのこと。Stocker氏は欠陥のあるモデル3を新車と、それもアメリカの工場ではなく中国の工場で製造された車体と交換することを求めています。



by Mike Fonseca

なお、アメリカでは750人以上のテスラオーナーから「テスラの自動運転支援システムが理由もなく道路上で突然停止した」と国家道路交通安全局(NHTSA)に訴えており、NHTSAはテスラに対して詳細情報の開示を要求しています。

US has over 750 complaints of Teslas braking for no reason | AP News

https://apnews.com/article/technology-politics-health-cd1a51e26baa07678de50cab8ae90ee0