宮迫博之の牛宮城問題 乗り遅れている人のために動画を全部見てから解説してみる - 放送作家の徹夜は2日まで

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※この記事は2022年02月25日にBLOGOSで公開されたものです

放送作家のおおたけです。元雨上がり決死隊の宮迫博之さんがなにやらネット界隈で炎上しています。問題とされているのは宮迫さんが経営者としてオープン予定の焼肉店「牛宮城」。

ネットニュースではたびたびニュースになりますが、テレビのワイドショーでは取り上げられることがないこちらの問題。熱心な宮迫ファンでない限り、牛宮城問題の全容が分かりません。

そこで今回、筆者が宮迫さんのYouTubeチャンネル『宮迫ですッ!』を中心に牛宮城に関する動画をすべて見て、牛宮城問題についていけていない人のための解説コラムを綴りました。燃え続ける焼肉エンターテインメントをぜひご堪能ください。


焼肉店を始めることになったヒカルの一言

今となっては宮迫さんが焼肉店を始めると言い始めたきっかけを知らない人も多いでしょう。元を辿ればYouTuberヒカルさんへのドッキリ企画だったのです。

2021年2月11日に公開された『ヒカルくんに「1億円貸して」とウソの相談をした結果、とんでもない事態に…【ドッキリ】』という動画内でのできごと。

宮迫さんがヒカルさんに「1億円貸して」と相談した時にどういう反応をするのか、企画内でウソの相談として持ちかけたのが焼肉店の経営プランでした。

動画の中でヒカルさんは「全然いいっすよ。僕関わるならなおさら成功しますよ」と1億円を貸すことはもちろんのこと、焼肉店の経営に前向きな発言をしています。

「1億円貸して」がドッキリだと明かした後、ヒカルさんは「(焼肉屋を)どっちにしろやりたかったんですよ。撮影用で使える焼肉屋があったら都内のYouTuber全員来ますよ」とアイデアを語りだしました。ドッキリの企画だった焼肉店経営でしたが、ヒカルさんのアイデアを聞いた宮迫さんは興味を示し、いつの間にか焼肉店を始める流れに。

約5ヶ月後にアップされた動画では、焼肉プロジェクトがスタートしています。

『【ヒカ迫】「近江牛の雌」で勝負する最強コラボ焼肉店、本格始動!』

動画の冒頭で「以前から動き始めてるんですけど2人で焼肉屋さんをやろう!と」と宣言する宮迫さん。この回のコラボ動画としてヒカルさんのチャンネル『ヒカル(Hikaru)』で公開された『【さよならラスト牛牛】今までクソお世話になりました!!!』。こちらも冒頭でヒカルさんが「(2021年)8月9月くらいに(焼肉店が)オープン予定」と話をしています。

動画から感じるのは2人が焼肉店の共同経営にノリノリだということ。焼肉店のプランが次々に出てきます。

宮迫「内装はすごいデザイナーさんでしょ。絵とか色々飾ってるやんか」
ヒカル「いいですね。高級店って部屋ごとに絵が飾られてたりするんすよね」
宮迫「全部屋有名アーティストの作品を置けないかな思って。(中略)何やったらその作品がその店で買えるようにしたらいい」

焼肉店オープンに向けて右肩上がりに盛り上がっていく様子が伝わってきます。動画の後半ではコメント欄で店名を募集。視聴者を巻き込んだ焼肉店経営ストーリーが本格的に始まりました。

その後、2021年8月15日に公開された動画は『ヒカル&宮迫のブランド牛が決まりました【日本一の焼肉店】』

宮迫&ヒカルの焼肉店の監修を依頼しているというクロッサムモリタのオーナーシェフ森田隼人さんと埼玉の食肉工場でロケを行っています。試食などをして焼肉店オープンに向けて順調な様子。この後炎上することなど想像もつきません。

約半月後の2021年8月31日にアップされた動画『ヒカルくん共同の新事業で一緒に働いてくれる人を募集します』

この中で、2021年10月に渋谷で焼肉店をオープンすると宣言し、「牛宮城」という店名を発表。ネーミングはコメント欄に寄せられたものから選んでいます。

雨上がり決死隊の解散後の2021年9月16日にアップされた動画が『ヒカルくんと共同経営の焼肉屋「牛宮城」のメニューを試食しました!』

この時点では宮迫さんとヒカルさん共に料理の味に納得。宮迫さんは「今日食べてみてハッキリと絶対に損させない店になると思います」と断言しています。

ここまでは炎上するムードもなくYouTubeの企画として進んでいました。

牛宮城が大炎上した伝説の1時間51分動画

しかし風向きが大きく変わるのは2021年9月28日にヒカルさんのYouTubeチャンネルでアップされた動画『ついにお披露目…ヒカル宮迫の焼肉屋「牛宮城」が完成しました』です。

1時間51分に及ぶ長編の動画では、すでに内装も完成した牛宮城を2人が訪れ、店内をレポート。過去の動画で話していたアーティストの作品を置くというアイデアも形になり、店内のいたるところにアートが飾られています。

内装に大満足な様子の2人でしたが試食になるとヒカルさんが改善点を次々に指摘。タンが硬い、盛り付けが全然映えてない、醤油がダメ…などダメ出しの嵐で「ってかこれ考えた人多分センスないんで変えたほうがいいです」と断言。

この後もダメ出しは続き、オープンに向けてあれだけ盛り上がっていた2人のテンションが目に見えて下がっていくのが分かりました。動画のラストでヒカルさんから「もう最初から全部見直しっすね」の一言が飛び出し、2021年10月のオープンは延期が決定。

動画を見ると分かりますが、ヒカルさんの指摘はごもっともで視聴者としても「これ大丈夫なの?」と不安になるメニューが並んでいました。

後日、宮迫さんはこの時の試食会で出た肉のクオリティについて、「うちのチームの肉の扱いの完全なるミステイク」と話しています。つまり牛肉の質は悪いものではなく、管理に落ち度があったため味や見た目のクオリティが落ちていたという説明です。

(牛宮城再生ドキュメント#7【クロッサムモリタ襲来!?】)

2021年10月1日には『【緊急動画】牛宮城に関してお伝えしたいことがあります』がアップされ、宮迫さんが「オープンできるかすら分からない状態です」と焼肉店プロジェクトが白紙に戻ったことを報告しています。

この後、『牛宮城』関連の動画を3本アップ。宮迫チャンネルの更新頻度を減らしたり、ヒカルさんに迷惑をかけられないという点から焼肉店プロジェクトから撤退してもらったりしたことを話しています。

救いの手を差し伸べた本田氏と本間氏は何者?

崖っぷちに立った宮迫さんに救いの手を差し伸べる人物が現れます。1人は富山の焼肉店・大将軍グループなどを経営するガネーシャグループ社長で、都内でも『SHOGUN BURGER』というハンバーガー店を経営する本田大輝さん。

『SHOGUN BURGER』の渋谷店が『牛宮城』からすぐ近くにあるという縁で宮迫チームから焼肉店プロジェクトの相談を持ちかけ、トントン拍子で話が進んでいます。先月まではオープン日が白紙だった『牛宮城』でしたが、本田さんの登場でプロジェクトの雰囲気が明るくなっていくのが分かります。

(2021年11月18日 牛宮城撤退に関して)

(2021年11月25日 牛宮城再生ドキュメント初回生放送スペシャル!)

牛宮城プロジェクトに参加したもう1人の人物が株式会社SAKURA代表の本間儀彦さん。

FOODS CHANNELに掲載された本間さんのインタビューには次のようなプロフィールが掲載されています。

1965年生まれ。大手商社勤務時代に海外赴任でスタンディング文化のイタリアンバルに出会い、日本の立ち飲み文化との親和性に気付く。立ち飲み文化の輸出を目指し、業態開発の1号店として2015年に東京・恵比寿に「立呑み天ぷら 喜久や」をオープン。

肩書きは申し分なしですが、コメント欄では言いたい放題言われています(笑)本間さん初登場の動画がこちらです。

(2021年12月7日 牛宮城再生ドキュメント#4【急展開!?発覚した新たな問題点!】)

本間さんを迎えて、牛宮城店内を見て回ると新たな問題点が次々に発覚。個室の引き戸が座っている客の背中に当たる、壁の砂が触れるだけで落ちてしまう、厨房の音が個室に聞こえる作りになっている…など。煙やオイルによるミストが出るため焼肉店に欠かせない焼き台の変更という話も浮上しました。

高級時計と高級車を売却発言でまた炎上

牛宮城の内装を改装するのにかかる費用が2~3000万円と内装業者から言われた宮迫さん。費用が高い点について本間さんは、(渋谷という立地で)夜間工事しかできないこと、オープンまで時間がないためスピーディな作業になることを理由として話しています。

(牛宮城再生ドキュメント#9【発覚した新たなる出費。そして、宮迫の決意】 2022年1月6日)

費用の高さに頭を抱える宮迫さんが突然言い始めたのが「趣味で集めていた高級時計を売る」という選択でした。この発言に動画のコメント欄に寄せられた視聴者の声は次のようなものでした。

時計売りますって言ったあとの2人のやったぞ感ある笑顔が忘れられない!

誰がどうみても完全にカモにされてるので、ネタであってほしいと願うばかりです。

リアルウシジマくん観てるようで楽しい

宮迫さんが完全に騙されているという見方が大半のようです。これに拍車をかけたのが、YouTubeの番組『WinWinWiiin』内で発表された宮迫さんの愛車であるBMWi8の売却案です。

(2022年1月15日 【Part③】絶望を乗り越えろ【WinWinWiiin 宮迫博之編】)

この番組のリニューアルに伴って、番組オープニング映像を撮り直すという話になり、その費用を宮迫さんの愛車を売って捻出しようとオリエンタルラジオ中田敦彦さんが提案します。

この提案に芸人魂で「売りましょう」と答えたわけです。愛車の売却は牛宮城とは関係ないですが、先に高級時計の売却を宣言した動画が公開されているため、私財の投げ売りをしている男に映ったようですね。リアルウシジマくん状態が続いています。

黒幕登場で牛宮城騒動の盛り上がりも最高潮

今時のテレビでは見られない派手な展開ですが、芸人魂とも言えるこの発言が新たな展開を呼びました。

(2022年1月15日【Part④】最終決戦!黒幕登場【WinWinWiiin 宮迫博之編】)

タイトルにある黒幕というのは、株式会社ノーブルプロモーションで代表取締役を務める若林和人さん。オフィシャルホームページを見たところタレントエージェンシー事業と飲食店プロデュース事業の会社です。

宮迫さんのYouTube チャンネルや、宮迫さんのたこ焼き店『みやたこ』の運営にも関わっています。動画内で宮迫さんも"親友"と説明しているほどの関係性。動画内では、中田さんから牛宮城の経営面における株式比率などについて質問され若林さんが回答しています。

説明によると、牛宮城は宮迫さんと若林さんの共同経営で、株式比率は宮迫さん45%に対して若林さんが50%、第3者が5%を保有していることが判明。

株式会社の理屈からいえば、牛宮城は最も多く株式を保有する若林さんがオーナーと考えるべきなのに、宮迫さんがオーナーかのように矢面に立っていることがいびつに映ります…という声があるわけです。

とはいえ、これはあくまでも株式会社としての理屈。人と人との関わりはこうした法的に正しい理屈がすべてではないところが難しいところ。

動画を見て感じたのは、2人の関係がただのビジネスパートナーではない雰囲気だということ。若林さんは宮迫さんを「兄さん」と呼び、宮迫さんは「かずくん」「親友」と呼んでいます。ただならぬ仲です。

宮迫さんについても若林さんが「いいかっこしい」と説明しており、宮迫さんが良くも悪くも情に厚い人物であることが推測できます。

話は店舗の経営状態にも及び、月額約300万円の家賃は8ヶ月支払い続け2400万、内装費で2600万円。約5000万円かけてもオープンできないという現状が明らかになりました。(ここからさらに2000~3000万円かけて改装しようという話です)

経営状態もすべてさらけ出し、日本一話題な焼肉店となった牛宮城。「ビジネスとして失敗するからやめたほうがいい」という声がネット上では多く見受けられます。

しかし、動画内で中田さんから「(ここまでお金をかけたうえで)牛宮城をやりますか?」と問われ両者が「やります」と宣言。ビジネスの視点はさておき、本人たちが「やりたい」と言っている焼肉店がどのような形に着地するのか。宮迫さんが手掛ける焼肉店が商業的に失敗したとしても、もう少し俯瞰で見ればそれは次の成功への道であることもあります。生き様を晒すのが芸人であるなら、牛宮城騒動もエンタメの1つなのかもしれませんね。

おおたけまさよし
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