50代になり、暮らしを快適にすべく、身の回りを見直す人も多いのではないでしょうか? 暮らしに関する雑誌や書籍の編集に携わり、自身の暮らしにまつわる著書もある編集者の一田憲子さんに、50代からの部屋づくりのコツを教えてもらいました。

ものが少ないことで風とおしがよくなります

都内にある平家の古民家を、住みやすく整えて暮らす一田憲子さん。50代の後半にさしかかった今、ものの持ち方を大きく見直したと言います。

リビングの押し入れをクローゼットにしたら暮らしが激変<写真>

●今を大切にしたほうが心地よく暮らせる

そのとき、整理収納アドバイザーのemiさんからアドバイスを受けたこともあり、使いにくかった寝室のクローゼットを見直し。洋服の数を減らし、収納場所は、出かけるときや帰ってきたときにすぐ着替えやすいリビングの押し入れに移動。たくさん持っていたバッグも4つに厳選し、それまで押し入れいっぱいに入っていた本は、4分の1以下に減らしました。
「いつか着るかもしれない、読むかもしれないと考えたらきりがありませんが、手放したら思った以上にすっきり。探すのに苦労していた本がさっと見つかり、ギュウギュウのクローゼットで、着ようと思った服がシワシワ…なんていうこともなくなりました。これまで“いつか”のために、“今”が窮屈なまま暮らしていたことに、改めて気がついたのです」

どう転がるかわからない将来を考えて備えるより、今を大切にした方がずっと心地よく、風とおしよく暮らせるというのが、一田さんが行き着いた結論です。

「たくさんのものを買い、持つことで、ものとのつき合い方を学ぶのはそろそろ卒業。自分の好みはある程度わかっているから、今あるお気に入りのものを、深く味わうように暮らしたいと思うようになりました。少ないもので暮らす方が身軽だし、家事もラクチン。それでも、ときには新しい出合いにときめいて、ものを買う“ワクワク”も大切にしたいと思います」

●使いやすさはときどき見直してものの数を整理

毎日使っていると、ちょっとした不便さに気づかず、当たり前になってしまうことも。引き出しひとつなど場所を区切って使いやすさを見直し、ものの数を減らすと、グンと暮らしやすくなることがわかります。

 

・クローゼットの場所を変更服も本も手放してすっきり

洋服やバッグは、着替えやすいリビングの押し入れに。「数も絞ると、全体が見渡せてコーディネートしやすくなりました」

「押し入れに収納していた本の多くは『チャリボン』に寄付」

・下着や靴下は洗面所に移動し、入れ物から小さく

下着や靴下は入浴後すぐ身につけられるよう、寝室から洗面所に移動。無印良品の棚に入れたぴったりサイズのカゴを定位置にし、ここに収まる分だけに。「以前ここに入っていたホテルのアメニティグッズや使っていない化粧品などは処分しました」

 

・掃除のしやすさを重視してすき間にものを置かない

「以前は棚の下などのすき間にものを置いていたのですが、掃除のプロを取材したのをきっかけに、床にものを置くのをやめました」。愛用しているマキタのコードレス掃除機なら、いつでもさっとかけられて、毎日掃除するのが苦でなくなったそう。

 

・グチャグチャだった引き出しはあき箱・袋で仕切って使いやすく

目につかないからと放置していた引き出しの中身を整理し、入っているものを見やすく。「あき箱や引き出しの高さに合わせカットした紙袋を仕切りに使うのはemiさんのアイデア。ものを探すストレスから解放されました」

文房具や工具など、こまごましたものを入れた引き出し。「『とりあえずここにしまえばよし』と目をつぶって、使うたびにここから探していました」