捕手と内野の掛け持ちは「厳しい」 経験者が語る広島坂倉の凄さと“心配な点”
飯田哲也氏も絶賛する打撃「天才タイプです」
開幕前には最下位を予想する評論家も多かった広島が、巨人と1ゲーム差で首位に立っている。とりわけ、捕手と三塁を掛け持ちしながら高打率をマークしている坂倉将吾捕手の奮闘が目立つ。捕手としてプロ入りし、内野を経てコンバートされた外野でゴールデングラブ賞に7度輝いた野球評論家・飯田哲也氏も称賛を惜しまない。
坂倉は16日現在、全18試合に「5番」でスタメン出場しているが、守備位置は14試合が三塁、4試合が捕手。試合途中から一塁を守ったケースも7試合ある。それでいてリーグ5位の打率.333をマークしている。
飯田氏は「坂倉は高卒1年目の2017年、僕がソフトバンクの2軍打撃コーチとしてウエスタン・リーグで対戦した時から光っていました。打撃センス抜群で、速い球にも変化球にもついてくる打者でした」と振り返り、「ストレートのタイミングで待ちながら変化球にも対応できる。“天才タイプ”です」と解説する。
昨季は途中出場や試合中の守備位置変更を含め、捕手として62試合、一塁手として63試合、交流戦ではDHとしても4試合に出場した。打ってはプロ5年目で初めて規定打席をクリアし、首位打者に輝いた鈴木誠也(現カブス)にわずか2厘差の打率.315をマーク。今季は一転して、新外国人のマクブルームが「4番・一塁」を張り、昨年6月以降三塁のポジションに定着した林晃汰が打撃不振で2軍調整しているチーム事情もあって、三塁を任されるケースが増えている。
「守備練習に時間を割かなければいけないし、シーズン後半が心配」
飯田氏も1986年ドラフト4位で捕手としてヤクルト入りし、野村克也氏が監督に就任した1990年には捕手登録のまま二塁にコンバートされ、レギュラーの座をつかんだ。翌1991年にはセンターへ再コンバートされた後、ゴールデングラブ賞7度の名手となった。そんな飯田氏でも、同じ年に捕手と他のポジションを掛け持ちして試合に出場した経験はないという。
「捕手は最も選手寿命の長いポジションです。捕手と遊撃手は守備重視で打てなくても仕方ないと見られがちな中で、坂倉のような打てる捕手がいればチームも強くなります」と飯田氏。ただし「複数ポジションを守れる選手が重宝される時代ですが、捕手と内野の掛け持ちは厳しい。守備練習に時間を割かなければいけないし、体力が落ちてくるシーズン後半が心配」と指摘する。
「広島のチーム事情はよくわかります。打てる坂倉はもちろん使いたいし、ベテラン捕手の會澤(翼捕手)も使いたい。結果的にサードへ行ってくれとなる」と理解を示した上で、「それでも本来、坂倉クラスの選手であればポジションを固定してあげた方がいい」と説明する。
鈴木がメジャーに挑戦した今季は、首位打者の有力候補でもある。捕手と内野の二刀流をこなしながら打棒を振るう坂倉は、もっと注目されていい。(Full-Count編集部)