新型コロナはいつ終息するのだろうか…(写真はイメージ)

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またしても英国で「最強の」感染力を持つ新型コロナウイルスの変異株が発見されたというニュースに、世界中が震撼しています。

今回感染が確認されたのは2つの異なるオミクロン株が組み合わさったハイブリット型で、「XE」と名付けられました。世界保健機関(WHO)が「これまでで最も感染力が強い恐れがある」と警告したことから、不安が広がっています。

英国だけでなく、タイやインドといった国々で、次々と感染が確認されている「XE」株。不気味な足音は近づいてきているのでしょうか......。

「オミクロンXE」は、本当に「史上最強」の感染力なのか?!

報道によると、1月中旬に英国で初めて検出された変異株「XE」は、これまでに英国内で600件以上の症例が確認されているそうです。

New Covid-19 variant Omicron XE found in the UK which is a cross mutation of the BA.1 and BA.2 strains(イギリスでBA.1とBA.2の混合株の新型コロナウイルス新変異株「オミクロンXE」が発見された:英メディア)variant:変異株mutation:突然変異strains:株

「XE」は、従来のオミクロン株である「BA.1」とより感染力の強い「BA.2」の、異なるウイルスの遺伝子が組み合わさった混合型の変異株とされています。英国当局とWHOが発表したデータによると、「XE」の感染力は、変異株の中で最も感染力が強いBA.2を約10%上回る可能性があるとのこと。「史上最強」の新種株の出現を、各国メディアがこぞって伝えています。

New mutant 'XE' Omicron variant could be most transmissible yet(新しい突然変異株の「オミクロンXE」は、史上最強の感染力の可能性:英紙デイリーエクスプレス)transmissible:感染性の、伝染性の

'Omicron XE' on its way(「オミクロンXE」がやって来る!:マレーシアのメディア)

India reports first case of Omicron XE variant(インドで初の「オミクロンXE」変異株が確認された:インドメディア)

それにしても、オミクロン株が発見された時もそうですが、その後のBA.2やら「デルタクロン」やら、新しい変異株が話題になる度に「史上最強の変異株が出現!」と脅され続けてきた気がします。

さらに、「史上最強の感染力」と恐怖心をあおっておきながら、「too soon to say how contagious」(どれほど感染力が強いかを語るのは時期尚早)と、当局が冷や水を浴びせるのも「おきまり」のパターン。

「史上最強」のレッテルは、どこまで更新され続けるのでしょうか? 終わりの見えないウイルスとの戦いに、心の底からうんざりしてしまいます。

新たな変異株の出現は止められないのか?!

ふと疑問に感じるのは、なぜ、変異株は英国で発見されるのか、ということです。過去にはアルファ株が英国で最初に発見されましたし、デルタ株とオミクロン株の「合体」とされる「幻のデルタクロン」発見騒動も記憶に新しいところです。

メディアではかねてから、「英国は変異株の温床になるのか?」と話題になっていました。

Is UK now a breeding ground for new variants?(英国は、新たな変異株の温床になるのか?:英BBC放送)breeding ground:温床

先日、英国では、新型コロナが拡大し始めた2020年4月から2年間で約2140万人が感染したと発表されました。そのうち、なんと3回以上感染した人が約8800人で、2回以上感染した人が80万人を超えるというから驚きです!

詳しくは分かりませんが、ある程度の免疫力があり、なおかつ依然として感染が広がっている状況が、突然変異に最も適した環境とされているそうです。感染が広がりきったところに、さらに「規制緩和」でリバウンドを招いている英国は「breeding ground」(温床)になりやすいのでしょうか?

それでは、「今週のニュースな英語」は、この「breeding ground」を使った表現を紹介します。

breeding ground for corruption(不正の温床)

Internet has become a breeding ground for crime(ネットは犯罪の温床になっている)

Plastic waste a breeding ground for germs(プラスチィックゴミは細菌の温床だ)

もちろん、インペリアルカレッジやオックスフォード大学といった英国の優秀な研究機関の存在が「変異株発見」につながっていることは事実でしょう。それでも、「コロナとの共存」に舵を切る国が増える限りは、新たな変異株の出現を止めることはできないのだろうと、暗澹とした気持ちになってしまうこの頃です。

(井津川倫子)