のんに沖縄で独占インタビュー。コロナ禍で奪われた「発表の場」に対する反逆
のん:宇野さんの描く女の子は目線が鋭くて、不機嫌そうだったり、凶暴さを内に秘めていたりする印象。でも、彼女たちは大きなリボンを着けている。それがすごく好きで。
私は女の子が最もパワーを発揮するのは、何かに牙を剥いているときだと思っていて、『'のん' ひとり展 -女の子は牙をむく-』という展示を開催したこともあります。牙を剥いた瞬間の凶暴さや怒りを可愛くラッピングして表現するモチーフとして、リボンはぴったりだと考えています。
じつは今年公開される、のんが脚本・監督・主演を務める映画のタイトルもズバリ『Ribbon』。
コロナ禍の影響で卒業制作展が中止になってしまった美大生「いつか」が、行き場を失ってしまった感情を昇華するべく奮闘する青春ストーリーだ。劇中では、主人公の感情がリボンとなって、さまざまなカタチであらわれる。
のん:私は、ちょっとファンタジーが入ってるくらいの作品が好きなんです。リアルな描写だけだと、間に受けすぎて立ち直れなくなるというか。辛いテーマでも、最終的には明るい前向きな気持ちになれる作品にしたかったので、それはリボンというモチーフが助けてくれました。
コロナ禍がはじまった2020年。その影響で大学の卒業制作展が中止となり、作品を展示できなかった美術大学が主催する『ゼミ展2020 見のがし卒展』という展示を見に行ったというのん。そこで、作品の制作者や美大の先生たちに出会ったそう。
のん:美大では毎年、卒業制作を一般の方にも見ていただくために卒業制作展を行なうんです。学生の方たちは、そのために前々から場所を押さえて、テーマを決めて、パンフレットをデザインして、印刷してもらって、プレゼンの練習をして……。将来、アーティストとして人前で自分をアピールするための練習も兼ねているそうです。
卒業制作展が中止になったことで、自分たちの将来に向けて、たくさんの時間やエネルギー、ときにはお金もかけて制作した作品が、誰にも見てもらえず、廃棄するしかないというやりきれない状況を知り、思うことがあったと語るのん。その気持ちから『Ribbon』が誕生した。
のん:『Ribbon』は、コロナ禍で表現の機会を奪われた美大生が、新たな創作を通じて自らのアイデンティティーを取り戻していくという物語です。
今回のコロナ禍で、大変悔しい思いをした人がたくさんいると思います。特に学生の方は、大事な限りある2年間が奪われてしまいました。でも、自分の力でどうにかなる問題ではないから、モヤモヤした気持ちを抱えたまま、ときが経つのを待つしかなかった人も多いと思うんです。
