男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「お互い好きなのに交際に至らなかった…どうすれば良かった?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:毎日連絡もとりあって、彼の家にもお泊りしたのに自然消滅。あの時、どうすれば良かった…?




先日、僕は36歳で入籍した。相手は8歳下の可愛らしい女性。

妻と出会う前、何度かデートを重ねたけれど、最終的に付き合うまでには至らなかった女性がいた。

彼女の名は、翠。モデル体型で、人形かと思うほど大きな瞳が印象的な美人だった。

当初、彼女のことが好きだったのでこのまま付き合うのかな、と思っていた。

けれども、僕が結婚相手に選んだのは違う女性だった。

翠も素敵な人だったのに、なにが違ったのか?どうして今の奥さんと結婚したのか?

そこには、2人の明確な違いがあったのだ。


結婚まで駒を進める女と、進められない女の決定的な差とは?


A1:もっと、グイッと距離を詰めてきてほしかった。


翠との出会いは、2年前の年末まで遡る。

得体の知れない感染症が海外で流行り始めた…なんてニュースをどこか他人事で見ていた僕は、連日忘年会や食事会で大忙しだった。

そんな最中に開催された食事会で出会った翠。綺麗な外見に、僕は強く惹かれた。

その日は2軒目まで行って解散になったけれど、僕は翠のことが気になり、まだもう少し一緒に飲みたかったので個別でメッセージを送ってみた。

― keiji:みどりちゃん、お疲れ。もう帰っちゃった?
― 翠:ううん、今帰り道。啓司くんは?
― keiji :まだ帰ってないよ。よければ、もう1杯飲まない?そっちの方行くから。


意外にも翠はフットワークが軽く、すぐに快諾してくれた。

そして翠の家の近くにたまたま行きつけのバーがあってので、僕たちはそこで落ち合うことにした。

この日、僕は結構酔っ払っていた。でもその酔いがいい感じのカンフル剤となり、いつもより積極的になっていた気がする。




「翠ちゃんは、どういう人がタイプなの?」

照明の落ちたバーで、酔いに身を任せている男女が2人。しかも翠の瞳がとても綺麗で、僕は吸い込まれそうになった。

「私は一緒にいて楽しくて、尊敬できる人かなぁ。啓司さんは?」
「僕は明るくて、笑顔が可愛い子かな。あ…啓司さんって、なんか堅苦しいから啓司でいいよ」
「いやいや、一応年上だし」
「もっとフランクでいいのに」

なかなかガードが固い。それはそれでいいのだけれど、翠の場合少し壁を作っているように感じる。

― どうやったらこの距離感って、縮まるんだろう?

さっきから、カウンターの上に手があるのに、微妙に触れられそうで触れられない。

― 彼女ともう少し先に進みたけど、まだ早いよな…。でも3軒目にこの時間から付き合ってくれるということは、多少の脈アリって考えていいんだよね?

そう思っているとあっという間にクローズの時間になってしまい、僕たちは後ろ髪を引かれながら店を出た。

「翠ちゃん、また誘ってもいい?」
「もちろん。こちらこそ、本当に楽しかった。ありがとう」

この日から、僕たちは積極的に連絡を取り合い、何度もデートを重ねた。

僕の家に彼女が来たこともある。

けれども、結局僕たちが結ばれることはなかった。そして代わりに、今の奥さんが僕のもとへと飛び込んできたのだ。


あの時、こうしていれば…アラサー女の誤算


A2:お互いに遠慮して、肝心なことが言えなかった。


食事会で出会ってから、年末年始はなかなか会えなかった。けれどもずっと連絡を取り合っていて、予定が落ち着いた年明けに2人で食事へ行くことになった。

「海外で出た新しい感染症、怖いよね〜」
「ねぇ。何なんだろう」

『鮓 村瀬』のカウンター席で、美味しいお鮨を食べながらこんな会話をしていたっけ…。




それと同時に、こういう話もしていた。

「翠ちゃんが帰省していなかったら、一緒に初詣行きたかったなぁ」
「本当だよね。啓司さんは東京出身だから実家が近くて羨ましいよ」

年末年始も会いたくなったので、僕は翠を誘っていた。けれども彼女は実家に帰省中だったため、タイミングが合わなくて会えなかった。それは仕方ない。

「でもこうして会えたし、良かった…って、まだ啓司“さん”なの?いらないのに」
「なんか恥ずかしくて」

相変わらず、距離を感じる翠。

男は単純だから、ちょっとしたワガママは可愛いと思えるし、適度にグイッと詰めてきてくれる子に惹かれやすい。

でも当時僕は34歳で、翠は33歳。もういい大人で、無駄に傷つきたくない年齢だ。だから慎重にではあるけれど、僕なりに距離感を詰めようとしていたのだ。

「翠ちゃん、僕に気を使わなくていいからね?」
「使ってないよ!それより啓司さん、来月長期出張があるんだっけ?」
「そうそう。お土産は何がいい?…しばらく翠ちゃんに会えないの寂しいなぁ」

好意はストレートに伝えていたつもりだった。でも彼女が、僕の好意に対して明確に何かを返してくれることはなかった。

― 翠って、僕のことどう思っているんだろう?多少の好意はあるはずなんだけどな…。

ボールを投げても反応が薄い。それにこの年になって駆け引きとかは相当面倒だ。

お互い牽制しあいながら、早2ヶ月。急に翠が僕の家に来たいと言い始めた。

「まだ飲み足りないなぁ〜。啓司さんの家に行ってみたい♡」
「え?うち?いいけど別に」

好きとかそういう言葉なんてそっちのけで、急に「家に行きたい」と言った翠。驚きつつも断る理由もなく、そのまま僕の家へ行くことになる。

しかしそこで、僕は少しさめてしまった。

ベッドまでいきイイ感じになった瞬間、翠は僕を拒んだのだ。

「ちょっと待った!啓司さん、まだ付き合ってないうちから、こういうことするのはちょっと…」

― なんか…面倒だな。

別に無理やりそういうことをしたいわけでもないからいいのだけれど、正直翠が何を考えているのかよくわからず、疲れてきた。

結局、この後も何度かデートをしてみたものの、最初ほどの盛り上がりはない。

「翠ちゃんと結婚したら、きっと明るい家庭になるんだろうね」
「そうかな?啓司さんもいい家庭を築きそうだけど」
「う〜ん。まぁ僕は結婚願望が今のところないから、まだまだ先だろうけど」
「そっか、結婚願望ないのか」

たしかに、この時の僕は結婚願望がなかった。翠から何も言ってもこないし、進まない。

やっぱり面倒だなと思った。



しかしこの1年後。今の奥さんになる相手と出会うことになったのだが、翠とは決定的に違う点があった。

彼女は、とにかく積極的だったのだ。

僕が少し甘い言葉を投げかけると全身で喜んで反応してくれたし、何よりも僕に対する好意が明確。

僕も振られる心配がないので、安心できる。

翠はいい子だったけれど、男からすると不安でグイっと攻めづらい。今の奥さんのように、(若さゆえの勇気なのか)傷つくことを恐れずまっすぐに好意を示してくれると、単純に嬉しい。

結婚に対しても彼女の意思は明確で、ぐいぐいと攻めてきた。

大人になればなるほど、守るものや失うものが増えていく。

けれども本当に好きならば一度すべてを取っ払って、誰かの胸に思いきって飛び込めるような無邪気さのある人が、結局は幸せを掴んでいる気がする。

― あの時、翠が少しでも自分からきてくれたら違ったんだろうな…。

そんなことを、僕はふと思ったのだ。

▶【Q】はこちら:あの時、どうすれば良かった?お互い好意アリで何度もデートを重ねたのに、結ばれなかった理由

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好きになる男に恵まれない…(涙)