彼の家にお泊りまでしたのに自然消滅したのは…
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:「付き合おう」とは言わないのに、毎週末一緒にいるこの関係ってナニ…?男の本音とは
こんな経験はないだろうか?
大人になって駆け引きばかりうまくなり、お互い好きでいい感じの雰囲気だったのに、交際には発展することなく何となく自然消滅…。
そして2年後くらいに相手の結婚をSNSで知り、悟るのだ。
― なんだ、この人にもちゃんと結婚願望はあったんだ。
私にとっては啓司は、まさにそのパターンだった。
「え?啓司、結婚したの?」
スマホを握りしめる手が思わず震えた。
思い返すこと、2年前。あの時、私が何か行動していれば、結果は違ったのだろうか…?
あの時どうすれば良かったの?後から振り返ってみてわかる、女がすべきだったコト
Q1:出会った時に時間を巻き戻せたら…何をすべき?
啓司と出会ったのは、一昨年の冬だった。
コロナで身動きが取れない今の状況なんて想像もできない、みんなマスクもせずに大人数での忘年会が連日続いていたころ。
今から考えると、とんでもない“密”な食事会の席で出会った啓司は、私より1つ年上の34歳独身で、外苑前にある大手総合商社勤め。身長はそこまで高くないものの、家柄もよく、惹かれない理由はなかった。
最初に連絡をしてきたのは、啓司だった。
― keiji:みどりちゃん、お疲れ。もう帰っちゃった?
この日は3対3の食事会。帰る方向が違う啓司と私は、みんなで2軒目に行ったあと普通に解散していた。
だが帰り道、突然の個別連絡に、私の胸はドキッと高鳴る。
― 翠:ううん、今帰り道。啓司くんは?
― keiji :まだ帰ってないよ。よければ、もう1杯飲まない?そっちのほうに行くから。
この日は、お酒もいい感じに回っていた。でも深夜0時を過ぎてからのこんな誘いにときめきを感じ、私はすぐに返信を打った。
― 翠:いいね、飲もう!どこにする?
― keiji:みどりちゃん、三茶のほうだっけ?三宿に行きつけの店があるから、そこでどうかな?
こうして送られてきたリンク先のbarで合流し、私たちの距離は初日にしてぐっと縮まった。
「翠ちゃんは、どういう人がタイプなの?」
少し暗い照明の下なのに、啓司の綺麗な顔立ちだけ、はっきりと見える。
「私は一緒にいて楽しくて、尊敬できる人かなぁ。啓司さんは?」
「僕は明るくて、笑顔が可愛い子かな。あ…啓司さんって、なんか堅苦しいから啓司でいいよ」
「いやいや、一応年上だし」
「もっとフランクでいいのに」
0時を過ぎたテンションもあったのかもしれない。気がつけばかなり近い距離で話していた。そしてお互いカウンターの上に手を置いていたけれど、触れそうで触れない間隔を保っている。
これ以上近づいたら危険な気がして、私たちはこの距離感を楽しんでいた。
そしてお店がクローズの時間になり、現実に引き戻される。
「翠ちゃん、また誘ってもいい?」
「もちろん。こちらこそ、本当に楽しかった。ありがとう」
こうして、始まった私たちの関係。
このあと何度も2人きりでのデートを重ね、キスまでしたのに交際には至らなかった。
今でも後悔していることはたくさんある。
でも、一体何をすればよかったのだろうか…?
結婚まで進めた女と、交際にまで至らなかった女の決定的な差とは?
Q2:男女が交際に発展しなかった、最大の敗因は?
忘年会で出会ってから、頻繁に連絡をくれる啓司。年末年始もずっとLINEをして、年明けすぐに食事へ行くことになった。
「海外で出た新しい感染症、怖いよね〜」
「ねぇ。何なんだろう」
そんな呑気な会話をしながら、私たちは新年会と称して『鮓 村瀬』でお鮨を食べていた。
「翠ちゃんが帰省していなかったら、一緒に初詣行きたかったなぁ」
「本当だよね。啓司さんは東京出身だから実家が近くて羨ましいよ」
お正月に初詣に誘われていたのだけれど、私は福岡に帰省中でいけなかったのだ。
「でもこうして会えたし、良かった…って、まだ啓司“さん”なの?いらないのに」
「なんか恥ずかしくて」
「翠ちゃん、僕に気を使わなくていいからね?」
「使ってないよ!それより啓司さん、来月長期出張があるんだっけ?」
「そうそう。お土産は何がいい?」
彼の口調はいつも優しくて、会うたびに魅力が伝わってきた。
「しばらく翠ちゃんに会えないの寂しいなぁ」
こんなことをさらっと言ってくれる啓司のことを、好きにならないはずがない。
そして会うと必ず、私たちは遅くまで一緒にいた。なるべく長く一緒にいたかったから。毎回、どちらかが必ず2軒目へ誘う流れになっていた。
「もう1軒行こうよ」
「うん、そうしよう!私もまだ飲みたい」
そして4〜5度目のデートの帰り道。思い切って、私は行動に出ることにした。お酒の勢いに任せて、少し大胆になってこの関係を進められたらいいなと考えたから。
「まだ飲み足りないなぁ〜。啓司さんの家に行ってみたい♡」
「え?うち?いいけど別に」
彼の家で当然ベッドへ行く流れになったけれど、ここで許したら“体だけの女”に成り下がる…。
そう思い、私は自分の意思を死守した。
「ちょっと待った!啓司さん、まだ付き合ってないうちから、こういうことするのはちょっと…」
「そっか、そうだよね」
こうして私たちはキスだけして、この日本当に何もせず一緒に寝たのだ。
ただ翌朝も普通だったし、このあとも何度か2人でデートをした。結局体は許していない。付き合いそうで付き合わない、微妙な距離感がずっとあった。
しかも彼は、こんなことまで私に言っていた。
「翠ちゃんと結婚したら、きっと明るい家庭になるんだろうね」
「そうかな?啓司さんもいい家庭を築きそうだけど」
「う〜ん。まぁ僕は結婚願望が今のところないから、まだまだ先だろうけど」
「そっか、結婚願望ないのか」
この時、私がもっと必死に彼をつなぎ止めておけばよかったのかな、と今でも思う。
2週間に1度は会っていたが、いつの間にか1ヶ月に1度になっていった。
そして連絡も徐々に減っていき、気がつけば1ヶ月以上連絡を取らなくなり、そして会うこともなくなったのだ。
完全に、大人の自然消滅だった。
◆
そして今、私はそんな過去のデートを思い出しながら、複雑な気持ちで彼の結婚報告を見ている。
― あの時何かが違えば、私たちは今頃結ばれていたのかな…。
現在、まだ独身の私。もしタイムマシーンがあれば、違った結果になっていたのだろうか。
過去の自分の言動に対する後悔の気持ちと、今後同じ過ちを繰り返したくない気持ちが交錯している。
▶前回:「付き合おう」とは言わないのに、毎週末一緒にいるこの関係ってナニ…?男の本音とは
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あの時、どうすれば良かったの…?男が結婚した理由とは