男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:「今晩だけは、あなたのものになりたい」人妻になった元カノからの誘いに、男は…




「孝弘さんと、一緒に温泉に行きたいな♡」

そう言い出したのは、穂乃果だった。

穂乃果は、現在27歳。

僕より13歳も年下だが、しっかりしていて綺麗で、しかも彼女から「旅行に行きたい」なんて言うくらい、僕に対して明確な好意があった。

だが一緒に箱根の高級温泉へ行ってから、彼女の態度は急変。

あの夜のことを思い出してみるが、NGポイントは何も思い浮かばない。

むしろ穂乃果は頬を紅潮させ、喜んでいた。

夜もしっかり盛り上がったし、帰りの車内でも普通だったはず。

それなのに、なぜ彼女は急に冷たくなったのだろうか…?


1泊10万越えの温泉宿まで取ったのに…女が急に冷たくなったワケ


Q1:女が「一緒に温泉に行きたい♡」と言った真意は?


穂乃果と出会ったのは、経営者仲間である敏明からの紹介だった。

身長は小柄だがスタイル抜群で美人。そして何より、彼女はとても気立てが良かった。

「穂乃果ちゃん、こちらが僕がお世話になっている孝弘社長。独身だよ」

そう紹介されたので穂乃果に向かって微笑みかけると、彼女の瞳孔がわずかに開いた。

一応経営している会社もうまくいっているし、住まいは代官山の家賃50万超えのマンション。女性を満足させられるくらいの器量も持ち合わせていると思う。

「こんな素敵な方が独身なんですか!?」
「あ、でも僕バツイチなんだよね…」

最近では珍しいことではないが、僕は20代の時に一度結婚をしている。子どもはいないものの、気にする女性もいるだろう。

「バツイチなんて、まったく問題ナシです」
「そう?良かった。穂乃果ちゃんは?独身?」
「もちろんですよ〜。いい人がいればいいな…と思っているところです」

こんな綺麗な子が独身でいるのは不思議だなとも思ったが、彼女の年齢を考えると普通のことなのかもしれない。

初対面の時から、穂乃果の好意は薄々感じ取れたが、僕の勘違いかもしれないと気を引き締めた。

すぐにデートをすることになったのだが、二度目のデートで、彼女の好意は僕の勘違いなんかではなく、確信に変わったのだ。




初デートももちろん盛り上がったあとでの二度目のデート。僕が穂乃果を連れて行ったのは『鮨 梢』だった。

「ここ、よく予約取れましたね!一度来てみたかったんです♡」
「食べることが好きだから、大概のお店の予約は取れるよ。どこか他にも行きたいお店があったら言ってね」
「嬉しい♡孝弘さんって、本当に素敵ですよね。センスもいいし、カッコいいし」

そう言いながら、僕の胸板をチラッと見てきた穂乃果。

その視線に応えるかのように、思わず僕は胸筋に力を入れてしまう。

「一応、こう見えて頑張って鍛えてるから」
「肌は何かしているんですか?」
「この前シミを取ったくらいかな。元々ゴルフが好きで、以前は週に2回くらい行っていたんだけど」
「週に2回ですか!?すごいですね」
「でも腰をダメにしちゃって…。いい整骨院が赤坂にあって通っていたんだけど、ゴルフはもういいかな」
「そうなんですね〜。私、最近ゴルフを始めたので孝弘さんと一緒に行ってみたかったな」

そんなことを言われたら、またゴルフを始めようかなとも思ってしまう。

「本当?穂乃果ちゃんがやるなら、ゴルフ再開しようかな」
「無理しなくていいですよ〜(笑)」

テンポの良い会話に、穂乃果からの熱い視線。楽しくなるに決まっていた。

「そういえば、孝弘さんはお休みの日とか何されているんですか?」
「僕はそうだなぁ。最近寒いし、週末はひとりでドライブも兼ねて温泉とか行ってるかも」
「ひとりで、ですか!?」
「そうそう。でも美味しい食事に静かな場所でリラックスできるし、最高だよ」

すると、穂乃果は急にこんなことを言い出した。

「いいなぁ。私も温泉、行きたいな♡」
「え!?」

これは、誘っているのだろうか?

ただ、“やたらと温泉に誘うおじさん”にはなりたくない。どう返事をすればいいのか迷っていると、なんと穂乃果のほうから誘ってきたのだ。

「孝弘さんと、一緒に温泉に行きたいな♡」

そんなことを言われて誘わないバカはいない。

「……良ければ、今度一緒に行く?」

初デートで誘うのは、早すぎとは思った。しかし明らかに、穂乃果のほうがノリノリだったのだ。

「行きたいです♡」

こうして、僕たちは温泉旅行へ一緒に行くことになった。だがこの1泊2日で、何か気に入らないことがあったらしい…。


最初は積極的だったのに…女がお泊まりデートで気になった男のある部分とは!?


Q2:温泉旅行で、女の態度が変わった理由は?


こうして迎えた温泉デート。僕はきちんと彼女の家の下まで車で迎えに行き、予約していた宿へと向かった。

露天風呂付き客室の、高級旅館。一泊10万以上する上宿だが、これくらいの出費はまったく厭わない。

「うわぁ、素敵なお部屋♡露天風呂まであるじゃないですか」
「いいでしょ?どうする?先にお風呂入る?」
「どうしようかなぁ…」

大人の男女が、温泉に来て露天風呂付きの部屋に泊まれば、することは決まっている。




でも露骨だといやらしいので、とりあえず2人で先にお風呂に入り、食事を待つことにした。

「あぁ〜。極楽」

冷え切った、凛とした冬の山の空気に包まれる中で、湯気の立つヒノキが香る温泉に入る。“最高”以外の言葉が見つからない。

「そういえば、今日僕あまりお酒飲めないんだよね」
「そうなんですか?」
「この前医者に行ったら、止められちゃって。全然平気なんだけど、この先の健康のことを考えると控えてください、だってさ」

40も過ぎると、どこか体にガタがくる。定期的な検診は大事である。

「それはそれは…」
「穂乃果ちゃん、人間ドックとか健康診断行ってる?」
「私、まったく行っていなくて」
「絶対行った方がいいよ。良ければ、胃カメラが上手な所紹介してあげるから。病院によって違うし、行くならここがオススメかも」
「健康第一ですもんね」

そんな話をしているうちに時間は過ぎ、お風呂から上がった僕たちは仲良く部屋で食事を食べ、お酒を飲み、夜もしっかり盛り上がった。

― なんて最高の温泉旅行なんだ。

そう思いながら、穂乃果を抱いたのだ。

そして翌朝。朝食後に、もう一度2人で温泉に入るほど、最後の時間まで僕たちはこの旅を満喫していたはずだった。

「帰りたくないなぁ」
「本当だよね…そろそろのぼせてきたから、先に上がるね。穂乃果ちゃんは、ゆっくり楽しんで」

そうして帰り支度をし、チェックアウトを済ませて家路へついた僕たち。

帰りももちろん家の下まで送ったし、当たり前だが今回の旅の費用は全部僕もちである。

しかし明らかに、この温泉を機に態度が変わった穂乃果。

― あの晩、何かしてしまったのかな。まさか、相性が良くなかった…?

男としての自信までも、失いかけている。

▶前回:「今晩だけは、あたなのものになりたい」人妻になった元カノからの誘いに、男は…

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温泉へ行ってから、女の態度が急変した本当の理由は…