「列車強盗」と聞くと西部劇を連想する人もいますが、アメリカでは2020年代に入ってから列車強盗が急増しており、線路の周囲に強奪された段ボールが散乱して脱線事故が発生する惨状も報告されています。

'It's ugly out there': Rail theft soars on L.A. tracks - Los Angeles Times

https://www.latimes.com/california/story/2022-01-16/rail-theft-soars-los-angeles-pilfered-packages-littering-tracks

アメリカ最大の貨物鉄道会社であるユニオン・パシフィック鉄道は、ロサンゼルスにおける列車強盗が2020年12月から記事作成時点までに160%増加したことを報告しました。強奪された物資の詳細は不明ながら、その被害額は500万ドル(約5億7000万円)以上と推定されています。

フォトジャーナリストのJohn Schreiber氏によると、ロサンゼルスを走る列車は一定の区間で減速したり停車したりするとのことで、列車強盗たちは列車が減速・停止するタイミングを狙って貨物列車に乗り込み、コンテナを開けて物資を盗み出しています。Schreiber氏が投稿した以下のムービーでは、停車した貨物列車の周囲に段ボールなどが散乱している様子を確認できます。





また、以下のムービーを再生すると、無数の段ボール箱が広い範囲に散らばっていることが分かります。Schreiber氏は「このエリアは、30日前に掃除されたと聞きました。つまり、このムービーに映ったパッケージは1カ月以内にまき散らされたものです」と述べています。





さらに、フォトジャーナリストのMike Ade氏は、散乱した段ボール箱の影響で貨物列車が脱線してしまった様子を撮影しています。





Ade氏が撮影した脱線した貨物列車と周囲に散乱する段ボール箱の写真が以下。



この問題を報じたLos Angeles Timesは、線路上に散らばった段ボール箱を持ち去る人々の写真を掲載しています。



ユニオン・パシフィック鉄道の広報担当者であるエイドリアン・ゲレロ氏によると、1日に約90個もの貨物コンテナが危険にさらされているとのこと。ゲレロ氏は「列車強盗は、路上生活者らによって組織された略奪グループによって行われることもあります。ユニオン・パシフィック鉄道は、より多くのドローンを配備してセキュリティを強化し、ロサンゼルス警察やカリフォルニア・ハイウェイ・パトロール、ロサンゼルス郡保安局に盗難防止への取り組みを求めました」と述べ、列車強盗対策を強化したことを強調しています。