この記事をまとめると

◼︎リーズナブルでも乗り手のセンスが光るクルマを紹介

◼︎インテリアの仕立てや乗り心地のよさで運転もリラックスできる

◼︎オシャレなクルマから降りてくるとオーナーも素敵に見える

乗ってるだけで人間力も上がるようなオシャレすぎるクルマを紹介

 一瞬で視線を奪うような派手さがあるわけでも、いかにもお金持ちだとわかる高級車でもないけど、乗っている人の品性やセンス、生活の豊かさが感じられるような、じわじわと魅力が伝わってくるクルマがあります。たとえば、一流ホテルのエントランスにつけても違和感がないような、日本じゃなくてパリの街並みを走っていても似合いそうな、そんな印象でしょうか。また、クルマから降りてきた人を素敵に見せてくれるような、さりげなく乗り手を引き立てる効果もあると感じます。

 今回はそんな、決して派手じゃないけど、乗り手のセンスを感じさせてくれるクルマたちをご紹介したいと思います。

1)マツダMAZDA3

 1台目は、美しいスタイリングがヨーロッパでも高く評価されているという、マツダのMAZDA3。ハッチバックとは呼ばず、「ファストバック」と呼ぶ流麗なデザインはとても上品で、艶やかな色気さえ感じるほどです。

 2020年に、ポルシェ・タイカンやプジョー208をおさえて「ワールド・デザイン・オブ・ザ・イヤー」を受賞したというのも納得です。

 そして、美しいのはデザインだけでなく、運転姿勢が美しくなり、それによって走りもよくなるというのがMAZDA3のコンセプト。骨盤をしっかり立てて座り、背筋にS字カーブができるように開発したシートがベースとなっていて、人間が本来誰でも持っていて無意識に使っている「バランス保持能力」を発揮させることで、まるで自分の足で歩いているような自然な運転感覚が得られるよう、すべての部品を一新して開発しているのです。

 乗れば自然と丁寧な運転ができるようになり、走っている姿にも品格が溢れてくるのがMAZDA3です。

2)ルノー・ルーテシア

 2台目は、まさにパリの街中を走りまわっているセンスのいいコンパクトカー、ルノー・ルーテシア。1990年からフランス国民の相棒として愛されてきたクルマで、2020年に5代目がデビューしています。デザインはよりエレガントに、個性が強くなって、Cシェイプと呼ばれるライトシグネチャーが先進的。

 威圧的なマスクでもないし、華美なメッキパーツなどもないので派手ではないですが、ひと目で内側からあふれるセンスのよさが伝わるクルマです。

 運転席に座ると、ドライバーに向けて操作系が配置されたコクピットはとてもモダンで、シートは長めの座面と立体的なクッションで、包み込まれるような座り心地。乗る人が自然と心地いいから、見ているこちらまでいい印象を受けるのかもしれないですね。

 先進の安全運転支援技術も搭載されていて、とくに大人の女性が乗っていると、魅力アップしてくれる1台です。

クルマは「値段」じゃない。魅惑の雰囲気を漂わせるクルマ

3)ホンダN-ONE

 3台目は、初代からほとんどデザインが変わらなかったことが、何より「愛されている」証とも思える、ホンダN-ONE。ホンダ初の乗用車「N360」の「人を中心に考えたクルマのカタチを線でつないだ無駄のないシルエット」といったデザインや使い勝手の思想を引き継ぐ、いわば普遍的な存在のコンパクトカーとなっています。

 2代目は軽自動車初のデイタイムランニングランプを採用するなど先進性が磨かれていますが、やはりペットのように愛着が湧く、人懐こそうなフロントマスクは健在。お金に余裕がある人があえて選んでいるような、生活のゆとりを感じさせてくれます。

 また2代目は、「オリジナル」「プレミアム」という2グレードのほかに、6速MTを設定したスポーティモデルの「RS」も登場して、街中をMTで走って楽しみたい人にもぴったりのモデルとなっています。

4)日産ノートオーラ

 4台目は、大人の自立した女性をイメージさせる、中谷美紀さんのCMでもお馴染みのニッサン・ノートオーラ。

 通常のノートとはボディサイズまで変わっているとはいえ、一見するとなかなか見分けがつきにくいデザインではあるのですが、インテリアを見るとその印象がガラリ。インパネやドアインナーだけでなく、センターコンソールまでツィード調のファブリックだったり、上質な木目調のパネルがあしらわれていたり、メッキ装飾が控えめに使われて全体を引き締めていたり、とてもセンスのよさを感じる空間です。

 まるでラウンジのような、しつらえのいいプライベート空間に、大型ディスプレイが2枚置かれていて、仕事ができそうな人のオフィスのようにも見えます。

 そして見た目ではわかりにくいですが、シートに座るとその違いに感心。じつは内部のウレタン層の構造が3層になっていて、より身体を包み込むような座り心地になっているのです。e-POWERのシステムも限界までパワーアップしているので、走りは痛快かつ上質。いいものを知っているけど、決して周囲にそれをひけらかさない、「本物がわかる、奥ゆかしい人」という乗り手の人柄を感じさせるクルマです。

5)シトロエンC3

 5台目は、豪華さはないしハイテクでもないけど、なぜか目を惹く魅力があり、乗っている人とすぐに友達になれそうな気がしてくるシトロエンC3。睨みつけるような威圧的なフロントマスクのクルマが多いなかで、C3のフロントマスクは思わず笑いかけてしまいそうなフレンドリーさでいっぱい。

 コロンと丸い印象と、どこか頼もしそうな印象がうまくバランスしているボディは、オレンジなどの鮮やかな差し色が似合い、ポップでオシャレ。

 それはインテリアも同じで、上質という言葉はあまり当てはまらない代わりに、センスが良くて遊び心もあり、乗っている人の心を明るくさせるような印象です。走っても、独特の乗り味と快適性がうまくミックスしていて、特別な速さはなくても十分に気持ちがいいし、楽しいというのがC3。

 日本車のように気の利いた快適装備もあまりないのに、乗っている人はまったく不便そうではなく、むしろ自由に楽しんでいる感覚が、周囲までも楽しくしてくれるようなコンパクトカーです。

 というわけで、乗り手のセンスを感じさせるクルマはすべて、はからずも300万円以下で買えるクルマばかりになりました。お金があれば、それだけでセンスのいい愛車選びができるわけではないということですね。人生をいかに自分らしく楽しむか。そんなところを満たしてくれるようなクルマが、その人の運命のクルマなのかもしれません。