写真・時事通信

 占術家として出版やテレビで一世を風靡した細木数子さんが、11月8日に亡くなった(享年83)。自らが生み出した方法による占い本『六星占術』シリーズは累計1億部を売り上げ、2000年代は「視聴率の女王」という異名を取ったほどお茶の間で人気を得た。

 残された伝説も豪快だ。『六星』シリーズを刊行していた出版社の元編集者が語る。

「表紙用の写真撮影では毎回、衣装を50着以上用意していました。それで、でき上った候補写真を見て『ダメね、やり直し』。新たに50着の衣装を用意して撮り直すこともしばしば。いろいろこだわりの強い人でした」

 ブランドや宝石にもご執心だったという。

「ブランド品を買い漁り、お気に入りはエルメス、アルマーニ、グッチなど。世界に1着しかない某ブランドのドレスを300万円で、しかも現金で買ったわよ、と自慢気に話していました。

 テレビで何度も取り上げられていた細木先生の自宅は神楽坂と京都にありました。一人暮らしができそうなくらい巨大なウォークインクローゼットが設けられ、ドレスや帽子、靴、カバンなどがずらっと並んでいました。銀座の高級ブティックより品揃えが豊富でしたね。

 あと、細木先生のご自慢がピンクダイヤモンドの指輪で、『あなたこれ、いくらすると思う? 30億円よ、輝きが違うでしょう』と言っていました。都内での移動はロールス・ロイスとマイバッハでした」(元編集者)

 細木さんは自身のレギュラー番組『幸せって何だっけ』(フジテレビ系、2008年終了)で「自己流カレー」を紹介したところ、ネット上で評判を呼んだ。最近も娘のかおりさんが自身のYouTubeチャンネルで「細木家特製! カレーライス」として母直伝のレシピを公開している。そのカレーではこんなエピソードもある。

「『ズバリ言うわよ!』(TBS系、2008年終了)の収録で、細木先生が手作りのカレーを振る舞う企画がありました。

 細木先生は超多忙だったため、結局、番組スタッフが細木カレーを再現して出したところ、細木先生は『このカレー、美味しいわね。みんなにも食べさせたいから、あと30人分作りなさい』と言い出しました。

 そこで番組スタッフが追加で作って出したところ、さっきまでご機嫌だった細木先生の表情が一変。『あんたたち、そんなことやっていたら、地獄に落ちるわよ! カレーの器がさっきと違うじゃない、同じ器に盛り付けなさい』と指示。スタッフは同じ器を求めて、合羽橋に急行しました」(元編集者)

 同出版社では、細木さんの書籍の担当者は「細木番」と呼ばれ、社内でもエース級の編集者があてられていたという。

「細木番」をうまく務められれば、その後、出世コースに乗れ、逆に失敗すると厳しい道のりが待っているとも言われた。他人の人生の「天国」と「地獄」を決めるパワーを持っていたということか。