温泉マニアの中で、とにかく「ここの炭酸泉はスゴイ!」と話題に上ることが多い、大分県竹田市久住町の「七里田温泉(しちりだおんせん)」。湯に入って5秒もすると、全身泡まみれ!じんじん血の巡りが良くなり、カラダ中がぽっかぽかになります。

温泉マニア絶賛のラムネの湯「七里田温泉」に行ってきた


そんな「七里田温泉」には、「木乃葉の湯」と「下ん湯」の2つがありますが、特にマニアから絶大なる支持を集めるのが、「ラムネの湯」こと「下ん湯」。こちらは全国的にも珍しい、自噴の炭酸泉(しかも源泉かけ流し!)。成分濃厚な炭酸パワーをダイレクトに体感できます。

…そこで今回、温泉ソムリエマスターの筆者も「下ん湯」へ入湯。天然の“ぶくぶく”を自らの肌で感じる、感動の湯治体験をしてきました!

1.ジモ泉から一般開放された、知る人ぞ知る名湯「七里田温泉

地味にスゴイ!全国から温泉マニアがかけつける「七里田温泉


別府市街から車を走らせること約1時間。くじゅう連山の南麗、静かな農村に佇む「七里田温泉」に到着します。

炭酸泉といえば、圧倒的な知名度を誇る大分県の「長湯温泉」が有名ですが、多くの温泉ツウから「ここの炭酸泉が日本一!」と言わしめているのは「七里田温泉」。もともとは地元の共同浴場(いわゆるジモ泉)でしたが、ありがたいことに、数年前から一般開放されるようになりました。

2.まずは「七里田温泉館」でチケットを購入

「七里田温泉館」は無料駐車場も完備


いきなり「下ん湯」へ行きたいところですが、ここはローカル・ルールがあるので要注意。

というのも、基本的に「下ん湯」は人が常駐していません。チケットは、「下ん湯」から200mほど離れた場所にある「七里田温泉館」で購入します。

チケットの自販機は、「種(←何の!?)」「牛温泉(←牛乳なのでしょうか…)」など、くすっと笑えるユニークな項目が多いので注目


こちらが、チケットを買うための自販機です。「七里田温泉館」内にある「木乃葉の湯」は、300円と格安!強烈な炭酸泉が出る「下ん湯」は、少し料金がUPして500円。2つセットで入浴すると、700円になります。

チケットを受付の人に渡すと鍵を貸してもらえるので、その鍵を持って、いざ「下ん湯」へ出発!

「下ん湯」の看板を目印に歩きます


周囲は緑いっぱいの大自然。一歩一歩足を進める度に、自然のパワーをチャージして元気になっていくのが分かります。

「七里田温泉館」から「下ん湯」へは、歩いて約3分。「ラムネの湯」や「下ん湯」の看板を道しるべに、お散歩気分で歩いていきます。

3.黄色いレトロな湯屋に到着

男女の入り口は共有


建物に「日本無類の炭酸泉」と書かれた看板を見つけたら、ここが「下ん湯」。基本、無人なので、自分で鍵を開けて中に入ります。

中は、簡単な脱衣所があるだけの簡素なつくり。脱衣所でさっと服を脱ぎ、はやる気持ちを抑えつつ扉を開けると……

周りは温泉成分で茶褐色に変化


床がオーバーフローでひったひた!大量の無色透明な湯が、茶褐色の温泉成分で覆われた床全体にザバザバあふれ、温泉はもう、めっちゃ新鮮です。

しかも、観光地ズレしていない“ひなびた感じ”が、温泉マニアにとってはたまりません。

4.人工ではない、本物のシュワシュワ奇跡の湯!

かけ流しの温度は36度。そのまま永遠に浸かっていられそうな軽やかさがあります体を流し、さっそく湯船の中へ。たった数秒で、たちまち全身が泡だらけになります


最初につくのは、シャンパンみたいな小さな泡。次第に泡がぷくぷく大きくなり、パチンと弾けて、湯面にシュワシュワ…と消えていく。例えるなら、まるで自分がソーダ水にちゃぷんと浸かっているよう!ぷちぷちが体については消えていく、噂通りこの感触はクセになります。

透明の湯には、大粒の泡がぷくぷく!


聞けば、「下ん湯」は湯口の数メートル先で自噴しており、その源泉を湯船の下から大量に注いでいるとのこと。

一般的な炭酸泉は、温度が上がるほど“炭酸ガスの気”が溶けてしまいますが、ここの泡付きが強烈なのは、源泉との距離が近いから!天然の炭酸パワーがダイレクトに伝わってくる、まさに奇跡のような湯です。

炭酸ガスが濃すぎるので長湯には気をつけて


ただし、ハンパない炭酸ガスのため、中毒には要注意。気持ちが良すぎて、ついウトウトしがちですが、1時間ほどで出るようにしましょう。

5.300円で楽しめる極上の湯

「木の葉の湯」の内風呂


今回は特別に「木の葉の湯」も見学させていただきました!こちらは、お風呂の種類が内風呂・露天風呂・打たせ湯の3種類。

「下ん湯」の湯は無色透明でしたが、「木の葉の湯」は淡黄色の濁り湯。同じ炭酸泉でも湯の色が違います。

丸い湯船の手前が普通の露天風呂。奥が打たせ湯


「木の葉の湯」最大の魅力は、ワイルドな露天風呂に入れること!

「下ん湯」は純粋にシュワシュワ炭酸泉をじっくり味わうための場所でしたが、「木の葉の湯」は自然の開放感を満喫したり、森の緑に癒やされながら湯を楽しむことができます。

この贅沢な景色を眺めながら、炭酸泉に入ると、たまった疲れが一瞬でぶっ飛びます…!! 心と体が満たされるので、こちらも本当におすすめですよ。

源泉を溜めて冷やすタンク


湯の色の違いが気になったので施設の方に聞いてみたところ、「下ん湯」と「木の葉の湯」は、源泉が違うのだとか。

源泉温度が53.7度と高めな「木の葉の湯」は、加水をすると温泉が薄くなってしまうので、敷地内のタンクで源泉をいったん溜めて冷まし、加水する量をできるだけ少なくしているそうです。

ちなみに温泉分析書を見てみると、「七里田温泉」はどちらも炭酸水素イオンに加え、天然の保湿成分メタケイ酸が非常に豊富。メタケイ酸50mg以上だと、美人の湯になりますが、「下ん湯」も「木の葉の湯」も50mg以上超え!ぬる湯好きにはたまらない、理想的な美人の湯です。

<メタケイ酸の含有量>

・「下ん湯」は185mg

・「木の葉の湯」は234mg

「木の葉の湯」は、休憩スペースがひろびろ!


湯上がりに美しい里山の景色を眺めながらのんびりできるのも、「木の葉の湯」の魅力です。広い休憩スペースが用意されているので、ゆったりくつろいでくださいね。

温泉ソムリエも驚いた、驚愕の泡付きの湯!>

今までいろいろな温泉に入ってきましたが、これほど泡がついたのは初めてでした。「日本一の炭酸泉」は看板に偽りなし。むしろ、世界一!と言っても過言では無いぐらい素晴らしい泡付き体験ができます。

お時間がある方は、「下ん湯」と「木の葉の湯」をはしごして、贅沢な炭酸泉の旅を楽しんでみてください。