いつか行きたいスウェーデン 。写真の旅でひと息つきませんか?<川上麻衣子の猫とフィーカ>
女優・川上麻衣子さんの暮らしのエッセー。
一般社団法人「ねこと今日」の理事長を務め、愛猫家としても知られる川上さんが、猫のこと、50代の暮らしのこと、食のこと、出生地でもあるスウェーデンのこと(フィーカ:fikaはスウェーデン語でコーヒーブレイクのこと)などを写真と文章でつづります。
第5回は、自由に海外旅行に行けないこんな時代だからこそ、気持ちだけでもリフレッシュしたい! ということで川上さんが、過去に訪れたスウェーデンの写真とともに「読むだけで旅気分が味わえる観光案内」を開催します。
女優川上麻衣子さんがいつか行きたいスウェーデンの魅力を紹介
コロナ禍のために、海外旅行はおろか、「旅」ができなくなってしまったことは思った以上にストレスをためる要因になっていることを実感している日々です。きっと皆さんも同じ思いではないでしょうか。どんな小さな旅であっても、日常を離れて見知らぬ土地を歩くワクワク感はたまりません。
スウェーデンで生まれた私にとって、少なくても年に1度は訪れていたストックホルムにもこの2年は行くことができませんでした。5年前に谷中にオープンした小物店にも、実際にスウェーデンを訪れて仕入れてくる物が多いのですが、いまは現地とネットでのやりとりのみで営業を続けています。そのせいもあって、なおさらスウェーデンから届く大きな段ボールを開けたときには、一瞬店の中に北欧の風が吹いた様な、そんな気持ちになります。
無性に今「旅がしたい!!」と叫びたい気分です。そんなわけで今回は、私がほんの少しですが観光案内をしますので皆さんと、スウェーデンまで旅してみませんか。
ストックホルムにある川上さんの自宅近くの街並み
今回は、初めて訪れる際におすすめな、6月頃のスウェーデンをご案内。東京から約16時間の長旅ですが、スカンジナビア半島までひとっ飛びしましょう。
まず私がいつも使うルートは、11時間の空の旅を経てデンマークのコペンハーゲンで乗り換えるというスタイルです。デンマークで一泊してロイヤルコペンハーゲンや人魚の像を眺めてからストックホルムに向かう旅もおすすめですが、じつはこのコペンハーゲン空港は免税店が充実したとても広い空港なので、待ち時間もとても楽しめます。少し余裕を持って便を選び、2時間ほど空港で過ごし、再び1時間半ほどのフライトで目的地ストックホルムに到着します。
ストックホルムの自宅アパートで過ごす川上麻衣子さん(写真は30代の頃のもの)
ストックホルムの中心にあるアパートメントの小さな一室にわが家があるので、まずはそこに皆さんをご案内しますね。
その場所に辿り着くのはだいたい夜の7時前後ですが、6月の白夜の時期であれば、まだまだ陽は高く昼間の様な景色です。ホテルに泊まるわけではないので、到着したらまずは、トランクを開くまもなく近所のスーパーに買い物に出かけます。
なにしろみなさんには是非スーパーを見ていただきたいのです。スウェーデンの洒落たデザインが並ぶ商品棚を眺めていると旅の疲れを忘れてしまうことは間違いありません。
とくにかわいらしさが際立つのは乳製品のコーナー。
スパーのバターの棚はとってもカラフル!
ヨーグルトやバターの種類が豊富な上、どのパッケージも冷蔵庫に入れておくのがもったいないようなデザインです。
いきなりあれもこれも買いたくなりますが、まずは10日ほどの滞在で必要な食料を購入することにします。
私が必ず購入する食材はパン・バター・ヨーグルト・コーヒー粉・魚卵ペースト・炭酸水・チーズといったところでしょうか。
スウェーデンのパンは種類もたくさん
とにかくスウェーデンのパンはおいしく、すてきなパン屋さんも沢山あります。あまり白い食パンの様なものは見かけず、茶色い香辛料の効いたパンがくせになります。
スウェーデン人にはおなじみ「クネッケ」
日本でも売っているクネッケという、硬いライ麦粉でつくられた乾パンのような乾いたパンもスウェーデン人の食卓には欠かせません。クネッケにハムやチーズをのせたり、あるいはバターとチューブに入った、日本で言うたらこペーストのようなものを塗っただけでも、かなりおいしくいただくことができます。
このたらこ風の魚卵ペーストはスウェーデン語で「カッレスキャビア」と言いますが歴史も古く、チューブに描かれているカッレスくんの絵柄は50年以上前から変わっていません。スウェーデン人には欠かせないものの1つだと思います。
日本人の味覚と相性は微妙ですが、虜になる人も多いのでお土産にぜひおすすめです。また「フィーカ」という言葉があることが知られるほどコーヒーを好むスウェーデン人ですが、コーヒーもかなり濃いものが飲まれています。コーヒーとシナモンパンの香りがしてきたら、そこはもうスウェーデンという印象です。
そして旅の疲れをとってもらうには適度なアルコールも欲しいところですが…スウェーデンでは簡単には手に入りません。日本と違い、お酒は国営の銀行のような場所にしか置いていないので、残念ながら18時を過ぎると購入することは不可能となります。
なのでわが家の鉄則として、次に訪れるときに備え、帰国する前に必ずワインを1本家に置いておくようにしています。
夜のストックホルム。6月は夜11:30頃でもこの明るさ
そんなこんなでお買い物を終えたら、まだまだ白夜の夜は長いのでちょっと湖までお散歩。湖越しに眺める旧市街が美しく、この景色は何度訪れても決して変わることなく迎えてくれます。初日は無理をせずゆっくり休んで、次の日は皆さんと旧市街を歩いてみたいですね。
なかなか外出できない時期だからこそ、たまには気持ちだけでも旅気分を味わうと、心に余裕が生まれる気がします。皆さんも、たまにはソファなどでゆったりとくつろぎながら、昔行った旅行の写真を眺めつつ、ほっとひと息「フィーカ」を楽しんでみてくださいね。
女優。1966年生まれ。14歳でデビューし、数々のテレビ・映画・舞台に出演。愛猫家としても有名で、2018年に仲間とともに一般社団法人「ねこと今日 Neko-to-kyo
」を立ち上げ、理事長を務める。2019年千駄木にサロン「Maj no ma(まいの間)」をオープン。YouTubeチャンネル「川上麻衣子ねこと今日neko-to-kyo
」にて動画も配信中。著書に『彼の彼女と私の538日 猫からはじまる幸せのカタチ
』(竹書房刊)など
一般社団法人「ねこと今日」の理事長を務め、愛猫家としても知られる川上さんが、猫のこと、50代の暮らしのこと、食のこと、出生地でもあるスウェーデンのこと(フィーカ:fikaはスウェーデン語でコーヒーブレイクのこと)などを写真と文章でつづります。
第5回は、自由に海外旅行に行けないこんな時代だからこそ、気持ちだけでもリフレッシュしたい! ということで川上さんが、過去に訪れたスウェーデンの写真とともに「読むだけで旅気分が味わえる観光案内」を開催します。
女優川上麻衣子さんがいつか行きたいスウェーデンの魅力を紹介
白夜の景色に楽しさいっぱいのスーパー。川上麻衣子さんおすすめの「スウェーデン」
コロナ禍のために、海外旅行はおろか、「旅」ができなくなってしまったことは思った以上にストレスをためる要因になっていることを実感している日々です。きっと皆さんも同じ思いではないでしょうか。どんな小さな旅であっても、日常を離れて見知らぬ土地を歩くワクワク感はたまりません。
スウェーデンで生まれた私にとって、少なくても年に1度は訪れていたストックホルムにもこの2年は行くことができませんでした。5年前に谷中にオープンした小物店にも、実際にスウェーデンを訪れて仕入れてくる物が多いのですが、いまは現地とネットでのやりとりのみで営業を続けています。そのせいもあって、なおさらスウェーデンから届く大きな段ボールを開けたときには、一瞬店の中に北欧の風が吹いた様な、そんな気持ちになります。
無性に今「旅がしたい!!」と叫びたい気分です。そんなわけで今回は、私がほんの少しですが観光案内をしますので皆さんと、スウェーデンまで旅してみませんか。
●東京からストックホルムまで約16時間
ストックホルムにある川上さんの自宅近くの街並み
今回は、初めて訪れる際におすすめな、6月頃のスウェーデンをご案内。東京から約16時間の長旅ですが、スカンジナビア半島までひとっ飛びしましょう。
まず私がいつも使うルートは、11時間の空の旅を経てデンマークのコペンハーゲンで乗り換えるというスタイルです。デンマークで一泊してロイヤルコペンハーゲンや人魚の像を眺めてからストックホルムに向かう旅もおすすめですが、じつはこのコペンハーゲン空港は免税店が充実したとても広い空港なので、待ち時間もとても楽しめます。少し余裕を持って便を選び、2時間ほど空港で過ごし、再び1時間半ほどのフライトで目的地ストックホルムに到着します。
●白夜のスウェーデンは夕方でも昼間のような明るさ
ストックホルムの自宅アパートで過ごす川上麻衣子さん(写真は30代の頃のもの)
ストックホルムの中心にあるアパートメントの小さな一室にわが家があるので、まずはそこに皆さんをご案内しますね。
その場所に辿り着くのはだいたい夜の7時前後ですが、6月の白夜の時期であれば、まだまだ陽は高く昼間の様な景色です。ホテルに泊まるわけではないので、到着したらまずは、トランクを開くまもなく近所のスーパーに買い物に出かけます。
●スウェーデンに来たらまずはスーパーへ!
なにしろみなさんには是非スーパーを見ていただきたいのです。スウェーデンの洒落たデザインが並ぶ商品棚を眺めていると旅の疲れを忘れてしまうことは間違いありません。
とくにかわいらしさが際立つのは乳製品のコーナー。
スパーのバターの棚はとってもカラフル!
ヨーグルトやバターの種類が豊富な上、どのパッケージも冷蔵庫に入れておくのがもったいないようなデザインです。
いきなりあれもこれも買いたくなりますが、まずは10日ほどの滞在で必要な食料を購入することにします。
私が必ず購入する食材はパン・バター・ヨーグルト・コーヒー粉・魚卵ペースト・炭酸水・チーズといったところでしょうか。
●スウェーデンのパンは珍しい形がいっぱい!
スウェーデンのパンは種類もたくさん
とにかくスウェーデンのパンはおいしく、すてきなパン屋さんも沢山あります。あまり白い食パンの様なものは見かけず、茶色い香辛料の効いたパンがくせになります。
スウェーデン人にはおなじみ「クネッケ」
日本でも売っているクネッケという、硬いライ麦粉でつくられた乾パンのような乾いたパンもスウェーデン人の食卓には欠かせません。クネッケにハムやチーズをのせたり、あるいはバターとチューブに入った、日本で言うたらこペーストのようなものを塗っただけでも、かなりおいしくいただくことができます。
●お土産にもおすすめな魚卵ペースト「カッレスキャビア」
このたらこ風の魚卵ペーストはスウェーデン語で「カッレスキャビア」と言いますが歴史も古く、チューブに描かれているカッレスくんの絵柄は50年以上前から変わっていません。スウェーデン人には欠かせないものの1つだと思います。
日本人の味覚と相性は微妙ですが、虜になる人も多いのでお土産にぜひおすすめです。また「フィーカ」という言葉があることが知られるほどコーヒーを好むスウェーデン人ですが、コーヒーもかなり濃いものが飲まれています。コーヒーとシナモンパンの香りがしてきたら、そこはもうスウェーデンという印象です。
●アルコールは18時までに手に入れて!
そして旅の疲れをとってもらうには適度なアルコールも欲しいところですが…スウェーデンでは簡単には手に入りません。日本と違い、お酒は国営の銀行のような場所にしか置いていないので、残念ながら18時を過ぎると購入することは不可能となります。
なのでわが家の鉄則として、次に訪れるときに備え、帰国する前に必ずワインを1本家に置いておくようにしています。
●1日の終わりは旧市街地近くの湖をお散歩
夜のストックホルム。6月は夜11:30頃でもこの明るさ
そんなこんなでお買い物を終えたら、まだまだ白夜の夜は長いのでちょっと湖までお散歩。湖越しに眺める旧市街が美しく、この景色は何度訪れても決して変わることなく迎えてくれます。初日は無理をせずゆっくり休んで、次の日は皆さんと旧市街を歩いてみたいですね。
なかなか外出できない時期だからこそ、たまには気持ちだけでも旅気分を味わうと、心に余裕が生まれる気がします。皆さんも、たまにはソファなどでゆったりとくつろぎながら、昔行った旅行の写真を眺めつつ、ほっとひと息「フィーカ」を楽しんでみてくださいね。
【川上麻衣子さん】
女優。1966年生まれ。14歳でデビューし、数々のテレビ・映画・舞台に出演。愛猫家としても有名で、2018年に仲間とともに一般社団法人「ねこと今日 Neko-to-kyo
」を立ち上げ、理事長を務める。2019年千駄木にサロン「Maj no ma(まいの間)」をオープン。YouTubeチャンネル「川上麻衣子ねこと今日neko-to-kyo
」にて動画も配信中。著書に『彼の彼女と私の538日 猫からはじまる幸せのカタチ
』(竹書房刊)など