復活を熱望する! 往年のコンパクトスポーツカー3選

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隆盛を極めていたコンパクトスポーツカーを振り返る

 2000年代の初頭は、スポーツカーにとって冬の時代でした。同時期に数多くの名車が消え、その後はニーズの変化からスポーツカーの減少は止まらず、現在に至ります。

ドライビングプレジャーあふれるコンパクトスポーツカーたち

 現在、生き残っているスポーツカーは高額かつ大型のモデルがメインで、かつてのようなコンパクトサイズで比較的安価なモデルは、世界的にも絶滅が危惧されるほどです。

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 そこで、往年のコンパクトスポーツカーを3車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「MR2」

日本車初のミッドシップ・リアドライブを採用したスポーツカー「MR2」

 1984年に国産小型乗用車初のミッドシップ・リアドライブを採用したトヨタ初代「MR2」が誕生。

 トップグレードには「カローラFX」から移植された最高出力は130馬力(グロス)の1.6リッター直列4気筒DOHCエンジン「4A-GELU型」を搭載し、950kgの軽量な車体と相まって優れた走行性能を実現しました。

 一方で、当時はトヨタの技術力をもってしてもミッドシップカーのノウハウは十分とはいえず、車体の挙動がナーバスにならないように、比較的マイルドなサスペンションセッティングを採用したといいます。

 また、やみくもにスポーツ色を追求することなく、シート高さを最適なポジションに設定して良好な乗降性とし、ラゲッジスペースも十分な容量とするなど使い勝手にも配慮。

 その後、1986年のマイナーチェンジでは、4A-GELU型エンジンにルーツ式スーパーチャージャーを装着し、最高出力145馬力(ネット)を誇る「4A-GZE型」エンジンを搭載した高性能グレードを追加します。

 さらにサスペンションセッティングが最適化されたことにより、よりミッドシップ車らしいシャープなハンドリングにチューニングされました。

 当時のトヨタはミッドシップのMR2に加え、FFのカローラFX、そしてFRの「AE86型 カローラレビン/スプリンタートレノ」を同時にラインナップするという、贅沢な時代だったといえるでしょう。

ホンダ「バラードスポーツCR-X Si」

軽量ボディに高性能エンジンを搭載した「バラードスポーツCR-X Si」

 1983年にホンダは、3代目「シビック」と主要なコンポーネンツを共有するピュアスポーツカーの「バラードスポーツCR-X」を発売。3代目シビックに先駆けてのデビューでした。

 ボディはスポーティな3ドアハッチバッククーペで、低く構えたフロントノーズに備えられたセミ・リトラクタブルヘッドライトと、低ボンネット高、なめらかなフラッシュサーフェスボディが特徴でした。

 ボディサイズは全長3675mm×全幅1625mm×全高1290mmと非常にコンパクトで、トップグレードの「1.5i」で、800kg(MT、サンルーフ非装着車)と軽量な車体を実現。そのために外板には新開発の樹脂パーツを多用していました。

 内装では機能的にレイアウトされたインパネを、低い位置にレイアウトすることで広角度の視界を確保。ホールド性にすぐれたバケットシートと小径ハンドルを装備するなど、スポーツ性が高められています。

 そして、1984年にはF1で培かった技術をもとに開発した、最高出力135馬力の1.6リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載する「バラードスポーツCR-X Si」を追加ラインナップ。

 足まわりはフロントがトーションバースプリングのストラット式、リアにはシンプルな構造のトレーリングリンクビーム式を採用し、車量860kg(MT、サンルーフ非装着車)の軽量な車体と相まって、優れた運動性能を発揮しました。

 シビックは高い実用性と安定した速さ、バラードスポーツCR-Xはショートホイールベースによるクイックなハンドリングとキャラクターが分けられ、どちらも高い人気を誇りました。

スズキ「カプチーノ」

FRの軽スポーツカーという貴重な存在だった「カプチーノ」

 バブル景気がはじけようとしていた1991年から1992年、この2年間で日本の自動車史に輝く3台の軽自動車がデビューしました。

 そのなかの1台が1991年に登場したスズキ「カプチーノ」で、ほかに同年にはホンダ「ビート」、1992年にはオートザム「AZ-1」がデビュー。後にそれぞれの車名の頭文字から「平成のABCトリオ」と呼ばれました。

 カプチーノは、ロングノーズ・ショートデッキの古典的なFRスポーツカーのフォルムを採用。ルーフは完全なクローズド、Tバールーフ、タルガトップ、フルオープンと4形態にチェンジできる画期的なものでした。

 内装はかなりタイトで、ドライバーの眼前には8500rpmからレッドゾーンで1万2000rpmまで刻まれたタコメーターを配置するなど、スポーツマインドあふれるコクピットとなっています。

 足まわりは前後ダブルウイッシュボーンが奢られ、ブレーキも4輪ディスクとするなど本格的な仕様です。

 エンジンは660cc直列3気筒DOHCターボで、最高出力64馬力を発揮。ボンネットやルーフなどは贅沢なアルミ製で車重は700kgと軽量な車体を実現。

 ビートよりも軽量な車体とトルクフルなエンジン、AZ-1ほどナーバスな車両挙動ではないことから、総合的なバランスはカプチーノがもっとも優れていたといえます。

 カプチーノは1997年に生産を終了。現在「ジムニー」が縦置きのエンジンを搭載しているため、カプチーノの復活を希望する声もあるようです。

※ ※ ※

 現行モデルで軽量コンパクトなスポーツカーといえば、マツダ「ロードスター」が挙げられます。

 車重は最軽量の「S」グレードで990kg、エンジンの最高出力は132馬力と、まさに往年のコンパクトスポーツカーの再来といえるスペックを実現。

 ロードスターは世界的にも成功していますが、残念ながらライバル不在の状況です。今後、同様なモデルが他メーカーから登場することは、再びニーズの変化が無い限りは難しいといえるでしょう。