スペイン相手に守り切ったスウェーデン photo/Getty Images

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試合前から予想されていた展開ではあるものの、EURO2020グループE第1節のスペイン代表VSスウェーデン代表の一戦は攻守がはっきり分かれた激しいバトルとなった。

ボールを保持して攻め続けるスペインと、それを徹底的に跳ね返すスウェーデン。結果がスコアレスドローだったことを考えると、勝負に勝ったのは勝ち点1を拾ったスウェーデンの方だ。

このゲームではいくつか興味深いデータも生まれており、まずは何と言ってもパス本数の差だ。スウェーデンは徹底的な堅守速攻を貫いていたため、このゲームで89本しか成功したパスがなかった。何とこれはフル出場したスペイン代表MFペドリが記録したパス本数と全く同じなのだ。個人のパス本数とチーム全体のパス本数が一致しているのは実に興味深い。

とにかく守りに徹したスウェーデンは、最後まで走り続けた36歳MFセバスティアン・ラーションが今大会では最多となる6回のインターセプトを記録し、DFマルクス・ダニエルソンはこちらも大会最多となる1試合だけで10回ものクリアを記録した。いかにスウェーデンが守り続けていたかが分かる数字だ。

ネガティブな数字にも思えるが、スウェーデンといえば2018年のワールドカップ・ロシア大会でベスト8に入っている実力国だ。当時も粘り強い守備が自慢のチームとなっていたが、その強みは今も変わっていない。強豪相手に守り切れるだけの守備力と集中力を備えているのは見事と言えよう。

一発勝負のトーナメントに入れば、こうした堅守が強豪を苦しめることも珍しくない。徹底的に守り切ってPK戦へ持ち込んでしまえば、何が起こるか分からない。

派手な攻撃だけでなく、こうした守備に強みを持つチームの躍進も短期決戦の醍醐味だ。出場国屈指の組織力と集中力を備えるスウェーデンの戦いぶりも注目する価値があるだろう(データは『Squawka』より)。