2年前と比べて自賠責保険料は5820円も安くなっている

 何年も愛車を大事にしてきたユーザーで、2021年に継続車検を迎えるという人はラッキーだ。なぜなら、通常車検のタイミングで更新する自賠責保険の保険料が安くなっているからだ。

 では、継続車検の際に更新が必要な24か月契約の自賠責保険料(自家用乗用車)は、どのくらい安くなっているのだろうか。

■自家用乗用自動車自賠責保険料(24か月契約)

 2019年4月時点:2万5830円

 2020年4月時点:2万1550円

 2021年4月時点:2万0010円

 ご覧のように、2020年、2021年と連続して保険料が下がっている。2年前に車検を通したときに比べると、5820円も保険料は安くなっている。この金額を見て、家族で外食ができると考えるか、ガソリンが満タンにできると考えるかはそれぞれだろうが、いずれにしても無視できないほど自賠責保険は安くなっている。

 なぜ、自賠責保険料は下がっているのだろうか。

 自賠責保険は交通事故による死亡者や重傷者の補償を目的としたもので、強制保険とも呼ばれることがあるように、その加入は義務となっている。つまり加入者の意思で入る一般的な損害保険とは異なり、公的な保険という色合いが強い。

 そのため、ノーロス・ノープロフィットの原則といって自賠責保険では損害保険各社は儲けてはいけないことになっている。もちろん補償の支払いに保険料損失があっては保険が維持できないし、必要経費や人件費は考慮した上で、それ以上に儲けてはいけないという意味だ。

交通事故が減少すれば自賠責保険料は下がっていく

 そこで自賠責保険の保険料については、損害保険料率算出機構という組織が保険料を算出する仕組みになっている。その計算方法にいて、同機構によれば『過去の保険データをもとに、科学的・工学的手法や保険数理などの合理的な手法を用いて、将来の事故の支払額を計算』するとなっているが、ようは過去の補償が少なければ、保険料は下がるということだ。

 そして、ここ数年交通事故は明らかに減っている。

 警察庁の発表データによると年ごとの交通事故発生件数は次のように推移しているのだ。

■交通事故発生件数(死亡者数)

 2018年:43万0601件(3532人)

 2019年:38万1237件(3215人)

 2020年:30万9000件(2839人)

 2年間で交通事故件数は3割近く減っており、死亡者も2割ほど減っている。つまり補償の総額も減っているといえる。ノーロス・ノープロフィットの原則を考えれば自賠責保険料が2割以上安くなっているのは当たり前なのである。

 先進安全装備の充実やドライバーのコンプライアンス意識の高まりによって交通事故は年々減っている。そのため、このところは見直されるごとに自賠責保険の保険料は下がる傾向になっているのだが、もし交通事故が増えるようなことがあれば保険料は上がるというのも、ノーロス・ノープロフィットの原則からすると当然の話だ。

 自賠責保険の負担を軽減しているのは交通情報を減らしているドライバー自身の安全意識にある。交通事故が下げ止まりになると自賠責保険の保険料も下がらなくなってしまう。自賠責保険の負担が軽くなっていくためにも、さらに安全意識を高めて、交通事故ゼロの社会を目指していきたいものだ。