コロナ禍で就職が決まっていません。このまま就職浪人をするべきか、卒業して就職活動を続けるべきか迷っています……(写真:tkc-taka/PIXTA)

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来年卒業ですがぶっちゃけ就職が決まってません。このまま就職浪人をするべきか、1回卒業して就職活動を続けるべきかガチで迷っています。

コロナ以前は「マジ楽勝」「こっちが企業を面接しているようなもん」とか言ってみんな余裕しゃくしゃくで就職活動をしていましたが、今は様子が様変わりで、フェアじゃありません。1年違っただけでこんなにも人生が狂うとは思いもしませんでしたが、そうは言ってもいられないので、どうしたらいいでしょうか。

バイトはやっていますが、以前よりもシフトを入れるのが厳しく、社会に対する不信感しかありません。ちなみに周りには取りあえず実家に避難とか言ってる人もいますが、自分的には現実的ではありません。よろしくお願いします。

大学生 西の学生

コストとリターンのバランスを考えて判断する

その間に何をするかが大事であり、目的であるべきです。両者の選択肢自体はその間にやることに応じて決めればよいことであり、単なる手段にすぎませんから、その2択で悩むのではなく、やることに応じて決めましょう。


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そのうえで、両方の選択肢におけるかかるコストとその間におけるご自身の成長、つまりリターンのバランスを考えて判断をすればいいでしょう。就職浪人を仮にしたとすると当然のことながら学費を含めたコストがかかるわけですし、いったん卒業して何をなさるつもりかはわかりませんが、いずれにせよコストはゼロというわけではないでしょう。

そう考えると、例えば前者の選択肢の場合は追加の1年間の間にかかる学費という出費を正当化するために、ご自身で何をするかが大事になってきます。

単に就職環境が悪いから、という理由で漠然と過ごしてしまっては、文字どおり1年経つだけであり、成長=リターンはゼロという結論になってしまいます。

当然ながら1年間の間、今の延長のまま何もしないということはご自身はその間何も変化せず、ただ時間が過ぎるのを待つ、というだけになりますから、環境が良化することを祈る、というだけになってしまいます。

ですから、その間例えば具体的にどんな勉強をしたりどんな経験を積むことを想定し、その過程におけるご自身の成長がかける学費以上の価値があるかどうかの判断が求められます。

したがって、西の学生さんとして具体的にその間学生という身分のままやりたい事や成し遂げたいことがあるのであり、なおかつその実現には学生という立場のほうがよいということであれば、前者の選択肢を選ばれるのもアリでしょう。

反対に、そうでない限りは追加で学費をただ払うだけの行為とも言えますから、賢明な選択肢とは言えないでしょう。

1年後に環境がよくなっている保証はどこにもないわけです。

その中で、自分は何も成長せずでは、単なる神頼みになってしまいます。仮に就職浪人をするにせよ、採用面接においてはその間に結局何をしてどう成長したのか、が問われることになります。

その際に、明確な答えがあればいいのですが、「環境が悪かったので1年待ちました」では心もとないとしか言いようがありません。

「どういった成長をしたいのか」を考える

いずれにせよ大事なことは、その間に何をすると考えているかであり、どっちの選択肢をとるのかはその実現のための手段にすぎませんから、手段から考えているようでは本末転倒です。

ですから、まずはその間にご自身は何をするべきなのか、どういった成長をしたいのかをぜひこれから考えていただきたいのです。

就職環境が悪いことは皆前提として理解しているわけですし、皆一緒なわけです。問われるのは、その環境を受けてどう行動したかであり、どう成長したか、です。

当然のことながら何をするかということには正解はありませんから、ご自身で考え行動に移すべきなのです。

大事なことは存在しない正解を探そうとするのではなく、自分はどう考え、その結果としてどう行動したかという、思考と行動のつながりであり、ロジックです。

そういった思考力や行動力はやがて仕事をする力にもつながりますし、採用する側もそういった積極的な学生を選びたいと思うはずです。

危機のときに何をするか、どう行動するか。人間の真価が問われるのはそういったところです。そしてそういった行動が多くいる学生さんの中において、就職活動における西の学生さんの差別化要因にもなりうる、つまり就職可能性も高まる可能性もあるのです。

ですからどっちの手段を選択するか、ではなく本質を考え、行動してほしいのです。

危機だからこそ、前向きにチャレンジを!

私自身もいわゆる就職氷河期世代でしたので、周りには積極的に行動する人もいれば、反対に多くはまさに決断の先送りとばかりに、現実逃避の選択肢をしていましたが、当然5年、10年と経つにつれて両者の差は広がる一方でした。

何もしない、とりあえず逃げる。これでは道は切り開けません。正解でなくとも、まずは自分なりに何をするべきかを考え、行動に移し、成長に対して貪欲になるべきです。そしてそれがやがてご自身の社会人としての基礎にもなりえますし、ご自身を救う経験にもなりうるのです。

危機だからこそ簡単な選択肢ではなく、前向きにどんどんチャレンジしていくべきです。

何をするべきか。まずはそこから考えましょう。

西の学生さんが本質部分の目的を熟慮し、もって最適な手段としての選択肢を選ばれるであろうことを応援しております。