アトレティコが選手を売らなかったら…夢のベストイレブン
サッカーは継続性が重要というが、残念ながら監督も選手もクラブを渡り歩くものだ。アトレティコ・マドリーですらも多くの変化を余儀なくされた。
もしアトレティコ・マドリーに所属したベストプレーヤーが残っていたら…『Sportskeeda』による夢のベストイレブンを紹介しよう。
GK:ダビド・デ・ヘア
現所属:マンチェスター・ユナイテッド
ここに入れるべき選手としてティボー・クルトワにも言及しなければならないが、彼はチェルシーから長期ローンで加入していたということを考えれば、ダビド・デ・ヘアの方を選出するべきだろう。
アトレティコ・マドリーの下部組織で育成されたスペイン人GKは、ユースで5年間印象的なプレーを見せ、2009年にトップチームへと加わった。
セルヒオ・アセンホからポジションを奪い取った彼は19歳でヨーロッパリーグの決勝にも出場し、優勝に貢献。2010-11シーズンの見事なパフォーマンスによってマンチェスター・ユナイテッドに引き抜かれ、それ以来プレミアリーグで活躍している。
右SB:フアンフラン
現所属:サンパウロ
元々はウイングとしてプレーしていたフアンフランは、2010年にオサスナから加入して以来アトレティコ・マドリーで9年間プレー。サイドバックとしてディエゴ・シメオネ監督の信頼を得て、一流の仕事を続けた。
2016年には『ESPN』によって世界のサイドバックベスト3にも選出されるなど、信頼性の高い選手として世界に名を轟かせた。
彼の思い出の一つはチャンピオンズリーグ決勝でのペナルティキック失敗であるかもしれないが、それでもアトレティコ・マドリーの歴史上最高の選手の一人として評価されるべき存在だ。
契約満了後は新しいチャレンジとしてブラジルへと渡り、サンパウロに加入している。
CB:ディエゴ・ゴディン
現所属:カリアリ
最終ラインのレジェンドといえばもちろんディエゴ・ゴディンだ。世界で最も強力なストライカーですら、彼の老獪なディフェンスには手を焼いた。
スピードや運動能力には欠けていたが、優れたポジショニングや組織力、模範的なリーダーシップと闘争心で違いを生み出した。ディエゴ・シメオネ監督の戦術にぴったり合致するクラシックなセンターバックであり、8つのビッグタイトルをもたらした。
2019年に契約が満了となった後はイタリアへと渡りインテルに加入したが、さすがにアトレティコほどフィットせず。現在はカリアリでプレーしている。
CB:トビー・アルデルヴァイレルト
現所属:トッテナム
トッテナム・ホットスパーで長くプレーし、プレミアリーグ屈指のディフェンダーとなったアルデルヴァイレルト。彼が名を上げたのはイングランドであるが、それもアトレティコでの成長があってこそだろう。
アヤックスでの6年間で資質を証明した後、アトレティコ・マドリーへと加入。しかしディエゴ・ゴディンとホセ・ヒメネスらが最終ラインの要になっていたため、彼はスタメンに入ることができなかった。
次のシーズンでサウサンプトンにローン移籍して成功を収めると、2015年にはトッテナムへと完全移籍。1年目からクラブの最優秀選手に選ばれるなど、急速に階段を登っていった。
左SB:テオ・エルナンデス
現所属:ミラン
兄弟のリュカ・エルナンデスと迷わされた。どちらもアトレティコ・マドリーでプレーしていたからだ。
リュカは5年間所属しながらファーストチームのレギュラーではなかった。テオはアトレティコ・マドリーで出場したことはないが、今やワールドクラスのサイドバックとなっている。
「放出したことを後悔しているかどうか?」を考えれば、どちらかといえばテオのほうかもしれない。セリエAでここまで急速に成熟するとは思ってもいなかっただろう。
右SH:アントワーヌ・グリーズマン
現所属:バルセロナ
グリーズマンが急速な成長を遂げたのはレアル・ソシエダでの時間だった。そのときにはウイングとして見事なプレーをしていた。
そのプレーに目をつけたアトレティコ・マドリーは、ジエゴ・コスタの穴を埋めるために彼を獲得し、ストライカーとして起用することにした。それが点取り屋としての才能を開花させ、フランス代表でも中心的な存在になった。
アトレティコ・マドリーでの5シーズンで133ゴールを奪い、50アシストを記録。3つのビッグタイトルに貢献し、とんでもない額でバルセロナに引き抜かれている。
守備的MF:ロドリ
現所属:マンチェスター・シティ
ビジャレアルでの3シーズンでリーガ有数のボランチに成長したロドリは、少年時代に所属していたアトレティコ・マドリーでの再挑戦を決断。5年間の契約を結んだ。
しかしそのプレーは1年間だけだった。ディエゴ・シメオネ監督の下で圧倒的なパフォーマンスを見せた彼はすぐにマンチェスター・シティへと巨額で移籍していったからだ。
セルヒオ・ブスケツに並ぶスペイン産アンカープレーヤーとなった彼は、ボールを奪い取ることに長けており、パスも繋げ、フィジカル的な能力にも優れている。現代のボランチに求められるものが完璧に備わっている選手だ。
守備的MF:ラウール・ガルシア
現所属:アスレティック・ビルバオ
このリストの中ではビッグネームではないかもしれないが、ラウール・ガルシアは8年間もの間アトレティコ・マドリーの忠実なプレーヤーだった。329試合に出場し、中盤の柱となっていた。
守備的な資質に長けており、最終ラインのカバーをこなし、攻撃的な本能も示してゴールに絡む。万能性にも優れるセントラルMFとして強烈な信頼を獲得した。
2015年の夏に退団を要請したあとアスレティック・ビルバオに移籍し、より攻撃的な役割を任されるようになった。昨季には15ゴールという結果を残し、得点ランキング5位に入っている。
左SH:アルダ・トゥラン
現所属:ガラタサライ
なぜこうなってしまったのか。アルダ・トゥランの急速な転落は、現代のサッカーにおける奇妙な物語の一つだろう。
史上最高のトルコ人選手として高く評価された彼は、優れたビジョンと電光石火のスピード、見事なドリブル、そして複数のポジションをこなせる多様性も備えていた。アトレティコ・マドリーのカウンター攻撃を支えるアタッカーだった。
4年間で178試合に出場して54ゴールを叩き出し、4つのビッグタイトルを獲得。2015年には大きな額でバルセロナに引き抜かれたが、その後は…。
FW:セルヒオ・アグエロ
現所属:マンチェスター・シティ
マンチェスター・シティであまりにも長く活躍を続けているため、アトレティコ・マドリー時代を忘れ去られがちだ。
2006年にインデペンディエンテから獲得されたとき、クラブ記録となる移籍金が支払われた。当初はディエゴ・フォルランの代役だったが、すぐに才能を開花させてレギュラーに定着している。
それから5年間見事な活躍を見せ、234試合で101ゴールを奪取。2011年にマンチェスター・シティへと移籍し、それからはご存知のとおりである。
FW:ラダメル・ファルカオ
現所属:ガラタサライ
セルヒオ・アグエロがマンチェスター・シティへと移籍した後、その資金を投入して獲得されたのがコロンビア代表のラダメル・ファルカオだった。
ポルトから4000万ユーロもの移籍金で買った彼は、その額を納得させるだけの2年間を過ごした。1試合平均0.87ゴールという数字は圧倒的なもので、相手のペナルティエリアで卓越したテクニックを見せ続けた。
ただ、もちろんその活躍が欧州全土に轟いたことで2年後にモナコへと引き抜かれ、それからは大きな怪我をきっかけに急速な転落を見せる。
そしてフォルラン、アグエロ、ファルカオ、ジエゴ・コスタと続いた南米FWの成功の系譜も、後にジャクソン・マルティネスの失敗により途切れてしまった。