今月13日と17日にテストマッチを戦う日本代表のメンバーが、5日午後に発表された。
 10月と同じように、今回も海外組のみの編成である。

 森保一監督は国内組の成長も確認しているが、Jリーグはここからが佳境だ。海外渡航から帰国した場合は2週間の自主隔離となり、オーストリアから帰国後も12月初旬まではチームに合流できない。代表選手の招集に応じたクラブに不利益が生じかねないことから、国内組の招集は見送られた。

 発表されたリストは、10月のメンバーを踏襲するものだ。
 DF安西幸輝とFW大迫勇也が外れ、MF橋本拳人とFW浅野拓磨が復帰している。また、コンディション不良で前回は不参加だったDF長友佑都が、再び選出されている。

 パナマ、メキシコとのテストマッチを通して、チームの基本的な約束事を再確認するのが今回のテーマである。10月の2試合から一歩進んだ内容も期待される。

 注目はダブルボランチだろう。柴崎岳と遠藤航のコンビに森保監督が信頼を寄せているなかで、橋本は新天地ロストフで出場機会をつかみ、得点もあげている。
久しぶりの日本代表で、この27歳がどのようなプレーを見せるのか。今回の活動のひとつ目のポイントである。

 ふたつ目は2列目だ。
 10月に続いて中島翔哉(ポルト)が招集外となっているが、それでも人材は豊富だ。10月の2試合では鎌田大地が評価をあげた。伊東純也も積極的な仕掛けで好印象を残した。一方で、堂安律と久保建英は物足りなさを残した。

 代表チームの活動では、試合はもちろん練習にも意味がある。チームのコンセプトを確認したり、お互いの特徴を同じピッチで理解したり、コンビネーションを深めたりする時間となるからだ。

 そうは言っても、練習だけでは測れないものがある。前回は出場のなかった三好康児には、チャンスを与えるべきだろう。

 1カ月前と状況が変わっている意味で、久保にもプレータイムを与えたい。当時はビジャレアルで途中出場が続いていたが、10月の活動後はヨーロッパリーグでスタメン起用され、移籍後初ゴールも決めた。リーグ戦でもスタメンに名を連ねる試合があり、ゲーム勘とゲーム体力を高めている。

 森保監督の指揮下では、大迫を軸に攻撃のメンバーが組み立てられてきた。しかし、ブレーメン所属のFWは不在で、岡崎慎司も選ばれていない。所属クラブで好調な鈴木武蔵、10月は招集できなかった浅野に2列目を含めたパッケージで、様々な組み合わせをテストしたい。

 候補者の多い2列目とは対照的に、左サイドバックは人材が手薄だ。復帰の長友はもちろん計算できるが、マルセイユで十分な出場機会を得ていない。10月のカメルーン戦で左サイドバックに指名された安西は、今回はリストに含まれていない。

 最終ラインの左右両サイドに適応する室屋成に、左サイドを任せるのか。それとも、安西が退いたカメルーン戦の後半のように、3バックを視野に入れていくのか。

 代表チームは結果を置き去りにできない。そのうえで言えば、結果は得たものの内容はいまひとつ、といった試合は求められていない。スタメンの選びかた選手起用まで、野心的なチャレンジが見たいのだ。