サウスカロライナ軍事大学でのイベントで、小銃を持つトランプ氏。ニューヨークの陸軍幼年学校を卒業しているが、「兵役逃れ」をしていたという報道も

「トランプ大統領が敗戦すれば、武装支持者が一斉蜂起する可能性があります」

 そう警告するのは、元・共同通信ワシントン支局長でジャーナリストの春名幹男氏だ。

 11月3日に投開票日を迎える、米国大統領選。最後のテレビ討論会でも、劣勢のまま終わったトランプ大統領(74)だが、もし負ければ、熱狂的な支持者が黙っていないという。10月8日、ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事の拉致計画が明らかになり、13人が逮捕されたと発表された。

「ウィットマー知事は、トランプ政権批判の急先鋒だったために狙われた。トランプ氏が開いた10月17日のミシガン州の支持者向けの集会では、『(ウィットマー知事を)投獄しろ』と大合唱が起き、トランプ氏は『全員投獄しろ』と応じています。

 トランプ氏が、支持層である極右団体の暴力的行為を容認し、むしろ彼らを煽っているのです」(春名氏)

 10月21日にはメリーランド州で、民主党の候補者であるジョー・バイデン氏(77)と副大統領候補のカマラ・ハリス上院議員(56)に対する「殺害計画」を企てたとして、42歳の男が逮捕されたことが発表された。

 じつは米国には、過激な極右団体がいくつもある。「ホワイト・パトリオット・パーティ」「アーリアン・ネーションズ」……。いずれも白人至上主義団体で、トランプ氏を熱狂的に支持している。

「ミシガン州知事の拉致未遂で逮捕されたのが、『ウルバリン・ウォッチメン』という組織のメンバー。こうした組織は、『ミリシア』(民兵)と呼ばれていて、『武装右翼』ともいうべき極右団体です。彼らは、自動小銃や軽機関銃で武装しているんです」(同前)

 テレビ討論会で、トランプ氏がなかば “公認” を与えた極右団体すらあるというのだ。

「1回めの討論会で、司会者が『プラウド・ボーイズを非難しないのか?』と聞くと、トランプ氏は『スタンドバック、スタンドバイ(後退して、待機しろ)』と返した。これは、彼らを擁護し『選挙当日に結集しろ』と煽動したものだと、猛批判を浴びています」(同前)

 元・東京新聞ニューヨーク支局長の北丸雄二氏は、現在進んでいる期日前投票の異様さを、現地からこう伝える。

「投票所の近くには、『トランプ』の帽子をかぶった警官が、銃を持って立っている。これが、黒人やヒスパニックのバイデン支持者に対して、ものすごい圧力になっているんです」

 さらに、トランプ陣営が投開票日に備えて、民間警備会社を使い、退役軍人をリクルートしている実態がある。

「退役軍人を日給910ドル(約10万円)で、投票所に送り込む計画を立てている。マイノリティの人たちに圧力をかけるためです」(北丸氏)

 北丸氏と同じく、米国で取材中の国際ジャーナリスト・山田敏弘氏も、こう警告する。

「ウィスコンシン州で、17歳の少年が人種差別に反対する抗議デモの参加者に向けて銃を乱射し、2人を殺害した事件など、市街戦さながらの事態が、すでに起きています。

 銃器メーカーのスミス&ウェッソンは、株価が約30%も上がっています。極右の標的になることを心配する人などが、自衛のために銃を買っている動きがあるからです」

 バイデン氏の出身地である、ペンシルベニア州スクラントン市も穏やかではない。人口7万6000人ほどの小さな市だが、同市の大学に勤める日本人女性は、不安を隠さない。

「勤務先から、『大統領選投開票日以降、暴動の可能性が高まっており、食料品を買い込んで外出しないように』という通知がありました。非白人にとって、怖い展開にならなければいいのですが……」

 159年前の南北戦争以来の内戦――。その恐怖が、全米を覆っている。

写真・Alamy/アフロ

(週刊FLASH 2020年11月10・17日号)