キーボードスマホCosmo Communicatorを徹底レビュー! カメラやアプリの使い勝手とHDMI出力の利便性を試す

写真拡大 (全22枚)

●「Cosmo Communicator」レビュー第2弾!
リンクスインターナショナルは6月27日、英プラネットのAndroidスマートフォン「Cosmo Communicator」シリーズのHDMI変換ケーブル付きパッケージ「Cosmo Communicator with HDMI」を発売しました。本体価格は8万8000円(税抜)です。

前回のレビューでは、本体デザインやキーボードの仕様を中心に、主に日本語入力環境などに重点を置いて解説しました。

今回は、
・カメラ機能の使い勝手
・各種アプリの利便性
・HDMI出力の利用方法
これらをレビューしたいと思います。


特殊な使い勝手のCosmo Communicator、その実力や如何に?



●カメラ機能は飽くまでも「メモ用」
まずはカメラ機能です。
本機には、約2300万画素のアウトカメラと約500万画素のインカメラがそれぞれ1基ずつ搭載されています。

画質はいずれも標準的で、現在の高画質を売りとするハイエンドスマートフォンのような美しさを求めるようなカメラではありません。
ラチチュードが狭いようで白飛びも多く、被写体の明暗差が激しい場所では思ったように撮れないこともあります。

とはいえCosmo Communicatorのカメラ用途を考えると、多くが仕事上でのメモ的な撮影であったり、簡単なスナップショットが中心と想定されるため、とくに問題にはならないと思われます。
「一応カメラ機能もある」程度と思っておくと良いでしょう。


全体的に明るく撮影できるが石灯籠が白飛びしてしまっている


Cosmo Communicatorは横画面(ランドスケープモード)での利用が基本となるため、縦位置撮影が特殊な扱いとなります。
縦位置撮影ではキーボードを左手で支える形での撮影となりますが、その時アウトカメラの位置が下側となるため、一般的なスマートフォンとはカメラの位置がかなりズレてしまうので注意が必要です。

また、縦位置撮影時に左手で持つキーボード部分のホールド感が悪く、撮影の際は本体の落下などに注意が必要です。本体重量が約326gと重い点も、ホールド感の悪さを助長しているように感じました。


縦位置撮影ではキーボードを避けるようにして持つ必要があり、持ち方に苦労する印象



今度は背景の家が白飛びした上に手前の植木鉢は黒潰れしてしまっている。カメラ機能は「おまけ」だと考えるべきだろう



●各種アプリの使い勝手を検証
次に各種アプリの使い勝手や利便性についてチェックします。
Cosmo Communicatorのキーボードにはプラネットのロゴが入ったホームキーがあり、このキーを押すことで画面下部からランチャーを呼び出せます。

出荷状態ではこのランチャー部分にオフィスアプリやプラネットの独自アプリが並んでいますが、プラネットの独自アプリ以外はランチャーアイコンのみで、プリインストールされていません。
初回起動時にGoogle Playストアからダウンロードする必要があります。


ランチャーからの初回起動時には、このようにアプリのダウンロードを確認するダイアログが表示される


前回レビューしたように、プラネットの独自アプリは起動直後の同意文書や設定画面が全て英語となっており、利用に若干躊躇するかもしれません。
アプリの設定画面から日本語を選択することで多くのコマンドが日本語化されるため、設定変更後は快適に利用できると思います。


独自アプリ「Note」を試す。音声入力が非常に便利


WordやExcelといったアプリは、無難な使い勝手と言ったところ。
問題は文字やアイコンの表示が大きく画面が狭い点で、本格的な作業を行うには若干の慣れと準備が必要です。

PCで作成された資料の閲覧や修正などがメインの使い方になると思います。


Wordは縦画面用のUIサイズと配置であるために、画面が酷く狭くなってしまう。アプリ側の最適化が足りない印象だ



PCで作成されたExcelファイルを開いてみた。こちらもUIが大きく実作業画面が狭い


ウェブブラウザの利用においても、UIの大きさや配置が大きなネックになります。

標準でプリインストールされているChromeブラウザでニュースサイトなどを開くと、画面にスクロール追従型広告が表示される場合がありますが、そのサイズが大きすぎて肝心のサイトの情報がほとんど読めない場合があります。

これもまた、縦画面利用のスマートフォンにブラウザのUIやサイト、広告などが最適化されていることが原因です。


広告が邪魔でせっかくの横画面表示も台無しに


筆者の場合、アドブロック型ブラウザを導入することでこれを解決しました。

広告表示自体を消してしまうというやり方は、コンテンツ利用においてあまり推奨できるものではありませんが、広告表示のON/OFFがアイコンタップのみで行えるタイプのブラウザであれば、必要に応じて広告を消すのも選択肢の1つだと思います。


アドブロック型ブラウザ「Free Adblocker Browser」による表示。右下のアイコンをタップすることで広告の表示・非表示を選択できる


YouTubeのような動画サイトの閲覧は、本機が最も得意とするところです。

例によってYouTubeアプリやそのモバイル向けUIデザインは縦画面のスマートフォンに最適化されているため、無駄に表示が大きく一覧性に欠けますが、横画面が基本であるために動画自体の視聴は非常に快適です。
ディスプレイはキーボード面に対して適度な傾斜が設けられているため、テーブルに置いた状態で丁度良い角度となります。

若干の難点を挙げるとするなら、画面の角度が固定されており、自由に変えることができない点です。
ヒンジ部が自由稼働や、2〜3段階の角度調整が可能であれば、さらに使い勝手は良くなったと思います。


背面にステレオスピーカーも搭載しているため、動画視聴端末として非常に便利に使える



ヒンジ部はこの角度で固定される。キーボードを打つ際に最適な角度となるように設計されているためだが、もう少し自由度があってもよかった



●扱いづらい縦画面専用アプリの表示
扱いづらさを強く感じたのは、縦画面専用アプリの利用です。

カメラ機能の項目でもお伝えしたように、本機を縦画面でホールドすること自体が若干難しいことに加え、
縦画面アプリをそのまま起動すると横画面のままアプリが横幅に合わせてストレッチされてしまい、上下が大きく切れて表示されます。

本機には画面のローテーション機能があり、ホームキーを押してランチャーを表示させ、さらに一番左にあるPlanetアイコンをタップすることで一般的なAndroidスマートフォンのような縦画面表示に切り替えられますが、端末を傾けて自動で変更される機能はオミットされています。
(設定でONにしても無効化される)


「Force Rotate」をタップすることで縦画面になる



縦画面専用のゲームアプリ「生きろ!マンボウ」を起動。一応問題なく操作できた


上記の手順によってようやく縦画面専用アプリを問題なく利用することができるようになりますが、ここでもまたいくつか不具合があります。

まず、画面を縦画面へ切り替える前に、利用したいアプリを完全に終了させる必要があります。
単にホームボタンを押してタスクをバックグラウンドに退避させただけの状態で縦画面に切り替えてアプリを呼び出すと、画面表示が大きく崩れます。

また、スクリーンショット撮影時に画面表示が崩れて保存されてしまいます。こちらは標準状態では解決方法がなく、別途スクリーンショット撮影用のアプリを導入するなどの方法しかないようです。


縦画面時にスクリーンショット(Fn+R)を撮影すると、このように崩れた表示で保存されてしまう



●動画視聴やプレゼンに便利なHDMI出力
本パッケージの最大の特徴でもあり、ビジネスツールとしての本領を発揮するのがHDMI出力機能です。

前提として、設定からHDMI出力機能をONにしておく必要があります。出荷状態でONになっていますが、バージョンなどによっては自分で設定が必要かもしれません。
「設定」→「ディスプレイ」→「詳細設定」から、一番下にある「open hdmi」がONになっているか確認して下さい。


基本的にこの設定はONのままで問題ない



同梱されるUSB Type-C→HDMI変換ケーブル


本体設定を確認したら、あとは外部モニターやプロジェクターなどに変換ケーブルを介して接続するだけです。

ビジネス用途として最も活用されるのは、やはり会議や各種発表会でのプレゼンでしょう。
PowerPointアプリなどを使えば、PCを必要とせずにプレゼンが行えます。

カジュアルな用途では、やはり動画視聴に大きな威力を発揮します。
筆者がテストした自宅の環境では、十分に快適な動画視聴が可能でした。


端末側のフル画面を外部のFHDモニターに表示させると、画面のアスペクト比が違うため上下に黒帯が入る



Wordのようなオフィスアプリを表示することも可能だが、文字入力やアイコン操作などはスマートフォン側を利用するため使いづらいかもしれない



動画の多くはアスペクト比が16:9であるため、一般的なFHDモニターのフル画面で楽しめる


HDMI変換ケーブルが同梱された本パッケージ「Cosmo Communicator with HDMI」は、Cosmo Communicatorが発売されてから半年ほど経って追加されましたが、このパッケージを用意したことは大正解だったと感じます。
本機とHDMI出力との相性の良さは抜群で、まさにビジネスツールとして利用する上で必須だったと言えます。

動画視聴でも非常に便利に使えるため、PCは持っていないが自宅の大画面テレビでYouTube動画や動画配信サイトの番組を観たい、といった人にもおすすめです。


●スマートフォンを自分好みにカスタマイズして使う玄人向け端末
今回は非常に多くの項目について検証してみましたが、Cosmo Communicatorは使えば使うほどに、スマートフォンを限界まで使い倒すような玄人向けの端末であるように感じました。
その理由は、
・現在のスマートフォンがタッチパネル操作と縦画面利用を大前提として進化してきた
・横画面利用に最適化されたUIデザインや配置になっていない
これらに集約されます。

一方で、
・プログラム開発
・オフィスアプリの編集および確認
・プレゼン
・動画視聴
こういった用途の端末として考えた場合、利用するメリットは高いのではないかとも感じます。

現在こういったプレゼンや動画視聴といった用途には、ノートPCの以外であればタブレット端末が主に利用されるようになりました。
理由としては、
・キー配置に癖のないフルサイズキーボードを利用できるため利用への敷居が低い
・画面が大きく作業領域を広く取れる
・大きな画面は動画視聴にも最適
こういった点が挙げられます。

また、Bluetoothキーボードの一般化によって、スマートフォン利用時にどうしてもキーボードが必要な時だけ別途用意すれば良い、という時代になったことも大きいでしょう。


Amazon.co.jpのような通販サイトでは、数多くのBluetoothキーボードが安価に販売されている


逆に言えば、そのような時代だからこそCosmo Communicatorの存在意義は非常に大きなものであると感じます。
唯一無二とも言えるキーボード搭載スマートフォンならではの使い勝手は、使い込むほどに手に馴染んでいくものです。

とくに、物理QWERTYキーボードによる英字入力の快適さは、間違いなくタッチパネル操作によるソフトウェアキーボードよりも上です。
プログラマーやエンジニアほど「別途キーボードを用意しなくても良い」という快適さや便利さを強く感じられるでしょう。

決して万人受けするものでもなく、自分なりに端末をカスタマイズしていくことに楽しさを見出せる人でなければ、使いこなすことすら難しいかもしれません。

Cosmo Communicatorに触れた時、
「これは使いづらいな」
このように諦めてしまう人にはおすすめできません。

「どう便利に使おうか」
このように考え始める人にこそ、おすすめしたいスマートフォンです。


執筆 秋吉 健