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ロボット専門商社のInnovation Matrix社は2020年4月27日、「COVID-19 と 自律走行ロボット(AMR)」と題したオンラインセミナーを開催し、アメリカでの新型コロナウイルス感染症の現状、昨今のロボット業界動向、そしてInnovation Matrix社が2015年から取り扱っている フェッチロボティックス社のモバイルロボットの紹介を行った。

Innovation Matrix, Inc. CEO & President 大永英明氏

まず、シリコンバレー在住のInnovation Matrix, Inc. CEO & Presidentの大永英明氏が、アメリカの産業用ロボットの歴史と大永氏の経歴をクロスさせながら業界の流れを紹介した。Innovation Matrix社は2004年創業。主に産業用ロボットを扱っているが、2009年からはサービスロボットも重視し、以前はテレプレゼンスロボットなども扱っていた。フェッチロボティックスについては主に物流倉庫で活躍するロボットシステムをビジネスとしている。

Innovation Matrix, Inc.の事業内容

●新型コロナウイルス感染症が自動化の加速材に

COVID-19の影響については、製造業・物流では長期的にはむしろ自動化が加速・推進される方向になったため未来は明るいが、短期的には多くの予算が凍結され、顧客への実物デモができないといった課題があると述べた。いっぽう様々なイノベーションがも始まっており、多くのアイデアが試行されている。また中国では既に経済活動が再開された一方、サプライチェーンでは多くの課題が顕在化し、中国依存を見直す動きが始まっている。

サービスロボットはこれまではシーズ先行で市場が追いついていなかった。だがCOVID-19によって、ここも変化が起き始めている。ロボット導入すべき領域については以前から「3D(Dull、Dirty、 Dangerous:だるい、汚い、危険)」という概念があった。今はそれに「感染防止(Disease prevention)」を加えて「3D」から「4D」へという動きが加速しているという。大永氏は「危機克服は新しいことが生まれるタイミングでもある。COVID-19そのものが自動化の加速材となっている」と指摘した。

ロボット導入利用は「4D」に

ロボットは感染しない。そのため、人の代わりにロボットをという話になるわけだが、パンデミックにおいては一番大事なことは医療技術者を守ることだ。そのためのロボット技術も重要になる。欧州委員会はパンデミックと戦うための技術に対して1億6400万ユーロの資金を提供して中小企業での技術開発を促進しており、大永氏は「COVID-19収束後には新しい技術・新しい社会構造が生まれるだろう」と語った。

ニーズは、救命、感染防止、遠隔操作による非接触の実現、社会的距離の維持などだ。またサプライチェーンの見直しも行われている。多くのプレイヤーがサプライヤーの財政状態などを綿密に探索しており、セカンドソースの見直しも重要となっている。また、多くのEコマースが活発化しており、この消費者行動の変化は恒久的なものとなる可能性が高い。

その結果、倉庫ロボットのニーズは高まっており、Innovation Matrix社でも扱っているFetchのロボットについてはは引き合いが63%も増加したという。特に医療メーカー、製薬メーカー、ラップトップメーカーからの動きが多いという。

COVID-19によって倉庫の自動化・ロボット導入は加速中

また、医療現場、ヘルスケア、ソーシャルコミュ二ケーション、テレプレゼンス、製造業、小売、物流、配達といった分野においてはこのピンチがチャンスになっていると述べ、頻繁にニーズがあるわけではないレスキュー分野とは違ってパンデミックは世界レベルにニーズがあり、これを開発しないと先へいけないと述べた。特に中国では医療現場向けのロボットニーズが高いという。今後はソーシャルロボットやテレプレゼンスロボット、リモート診断システムなどのニーズも増えてくるだろうと見込んでいるという。

いま大きな打撃をうけている小売についても、人と人とのやりとりを自動化する技術にニーズがあると考えており、物流・ラストワンマイルデリバリーはこれまで以上に自動化が進むだろうと述べた。そして「アフターコロナ」においては、多くの人々がロボットに慣れ、社会的にも受け入れて継続して利用するようになるし、生活様式・産業形態が変わるだろうと述べた。同時にサプライチェーン見直しにより、国内に製造業や原材料供給が回帰することも見込まれる。

大永氏によるアフターコロナの見立て

●物流倉庫で活躍するフェッチロボティクスのロボット

イノベーションマトリックス・ジャパン ロボット営業部長 室住康仁氏

同社が物流向けに押しているのがフェッチロボティクスのAMR(Autonomous Mobile Robots、自律移動ロボット)だ。イノベーションマトリックス・ジャパン ロボット営業部長の室住康仁氏は「これまでのロボットは製造業では使われていたが、それ以外の用途では時間もカネもかかり付属コストも必要だっためハードルが高いと考えられていた。だが、ロボットは今では使わないと損をする時代になっている」と現状を紹介した。

ロボット導入コストが下がり、導入したほうが得をする時代に

フェッチロボティクス(Fetch Robotics)は2014年に設立されたスタートアップだ。CEOのメロニー・ワイズ(Melonee Wise)氏は、Willow Garage時代の「ROS」開発の中心人物の一人で、クラウドロボティクスを掲げる同社は合計100億円の大型資金調達に成功している。

フェッチロボティクス

いま、フェッチのロボットはコーデイングの必要がなく、シンプルで短時間で使えるユーザーフレンドリーなUIをセールスポイントとしているという。近年、AGV(無人搬送車)に代わって注目されはじめているAMR(自律走行ロボット)は、短い期間での動線変更、少量多品種に応えることができる技術とされている。動線変更に対してもAMRなら半日あれば対応可能であり、「今までは設備中心発想が必要だったのに対し、AMRを使うことでニーズ・目的中心で運営を考えることができる」と室住氏は語った。

AGVとAMRの比較

倉庫のなかの作業は複雑だ。大量生産する製造現場とは異なり、倉庫では人海戦術が必要となっている。いま、EC現場は「逃げ場のない嵐」に飲み込まれており、勝ち残るためにはロボットしかない現状だと述べた。特に人海戦術が必要なのがピッキングだ。ピッキング作業の内訳をみると50%は移動していることになる。実に1日のうち4時間は歩いているという。その移動時間を短縮するのがAMRだ。AMRを使うことでロボットと人が共同作業し、人は人のポテンシャルを伸ばすことができるため、費用対効果において最適なソリューションだと考えているという。フェッチのロボットは22カ国以上で採用されており、日本ではトヨタで用いられている。

ピースピッキング作業者の作業時間の内訳

フェッチのロボットは3種類に大別される。研究開発用のアームロボット、OEMカスタマイズ用の走行プラットフォームロボット、そして標準の自律移動ロボットだ。

フェッチのロボット

なかでも人気なのは「hmishelf」という棚がついた移動ロボットだという。荷物の積み下ろしを自動化するロボット「rollertop」や、自動棚卸しや無人在庫管理ソリューションと連携するロボット「tagsurvayor」、パレット荷物搬送ロボット「cartconnect」などがある。これらのロボットを複数用いることで省力化を行う。ロボットは連続8時間稼働可能で、充電ステーションへも自律的に充電しにいく。

一番人気は「hmishelf」

■ 動画:

フェッチのロボットは、フェッチ・クラウドロボティクス・プラットフォーム、通称「Fetchcore」で連携して動作する。APIも解放しているという。室住氏は「1万平米の倉庫でも3時間半後にはロボットを動かすことができる。だから現場のデモにこだわっている。今は難しいが落ちつくころには体験してほしい」と語った。同社ではロボット「hmtshelf」や「cartconnect」の三ヶ月レンタルも行なっている(https://innovation-matrix.com/fetch-robot-rental/)。

フェッチ・クラウドロボティクス・プラットフォーム、通称「Fetchcore」

短時間で立ち上げ可能

■ 動画:

(森山 和道)