コージ・トクダさんに面談をする関学大前アメフト部監督の鳥内秀晃さん=飯塚悟撮影

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今年1月まで関西学院大アメリカンフットボール部の監督を28年務め、学生日本一を決める甲子園ボウルで12度優勝した鳥内秀晃さん(61)には、独自の指導法がありました。新チーム発足と同時に新4年生と1対1で面談するのです。「男と男の約束」をさせる名物面談を、お笑いコンビ「ブリリアン」を解散し、アメフト復帰を決めたコージ・トクダこと徳田浩至さん(32)が受けてみました。(朝日新聞スポーツ部記者・榊原一生)

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録音せなあかんで

鳥内:ほな、面談やろか。録音せなあかんで。携帯を出して。

コージ:録音するんですか!

鳥内:言ったことに、責任を持たせるためや。紙にも書いて、ずっと見ないかん。そうせな成長できへん。

コージ:聞いて、書いて発言に責任を持たないといけないんですね。

ブリリアン解散、アメフト復帰

徳田さんは関学大のライバル、法政大アメフト部で主将を務め、甲子園ボウルにも出場しました。卒業後にお笑い芸人になり、杉浦大毅さんとコンビ「ブリリアン」を結成すると、2017年に「ブルゾンちえみ with B」のメンバーとしてブレーク。

今年3月、コンビ解散とアメフト復帰を発表しました。今後はタレントを続けながら、アメフトの社会人リーグ「Xリーグ」でもプレーをする予定です。

鳥内:Xリーグでやるのは分かんねんけど、真剣にやんの?

コージ:真剣に。ベースは芸能界で頑張っていくことですが、アメフトには助けてもらった部分がある。何ができるか考えた結果がXリーグ挑戦でした。

鳥内:聞きたいのは、アメフトはメインの芸能界の仕事もある中、どこまで本気でやんの、ということ。練習に何時間費やせて、技術練習とけがをしない体をどうつくるの、と。知名度があって注目されることはええこと。でもけがしたら意味ない。具体的に計画を練らないと人間はサボりやからやめてしまう。できんねやったらやってくれたらええ。

コージ:フットボールにおいては真剣にやる。そして見に来るお客さんを増やす。楽しんでもらえように何かを考えていきたい。

悪質タックル問題でクローズアップ

鳥内さんの面談がクローズアップされたのは、2018年に日大選手による悪質タックル問題が起きた時でした。

日大と対比される形で、選手に自主性を促す鳥内監督の指導哲学が取り上げられました。昨年末には、4年生面談などがまとめられた著書「どんな男になんねん」(ベースボール・マガジン社)も発売されました。

鳥内:楽しいいうのはどう思てんの?

コージ:2回目も見に来ていただけて、1回目が楽しかったということ。1回目誘われて見に行ったけど、よく分からないまま帰っちゃうことがよくある。誘われた人が『もう一回見に行きたい』と言ってもらえるような、そんな試合をしたいです。

鳥内:選手にとっての楽しいは笑いながらやるもんちゃう。色んなポジションごとの勝負、そこにえげつない迫力が出てくる。我々もライバル相手にニコニコ勝負はできへん。楽しいいうのを勘違いしたらあかん。それを見て観客も感動する。Xリーグでも、えげつない1対1の勝負をみたいねん。

コージ:僕の役目はそれもあるんだなと思います。

鳥内さんの迫力に、押され気味だった徳田さん。面談を終え、「なぜアメフト復帰を決めたのか、アメフトファンのみなさんに何を伝えるべきなのか、はっきりしました」と話しました。

鳥内さんは1992年に監督に就任。94年から3年間、甲子園ボウル出場を逃したことから「4年生がコーチの代わりになるように」と面談を始めました。

この記事を書いている私も、関学大アメフト部の副将になった2001年に、この面談を受けました。

「目標はどこやねん?」と問われ、「日本一です。社会人に勝っての日本一です」と答えると、「ほんなら、お前はそのために何ができんねん」と具体的な行動目標を求められました。

この面談のおかげで、社会人チームを破っての日本一までたどりつくことができました。

面談について、徳田さんが鳥内さんに尋ねました。

これだから関学は強い

コージ:監督時代の学生との面談時間は?

鳥内:1時間の時もあるし、人それぞれや。

コージ:今なら監督の一言ひとことが重いと理解はできるんですけど、学生だったらプレッシャーかも。

鳥内:いやいや、早い段階から経験しておく方が得やねん。4年生はリミットが決まっている。時間は増えない。考えて毎日過ごして、はよ気付よ、と。人生1回しかない。4年も1回。終わって後悔するやつもぎょうさんおる。並の人間はそれでええかもしれんけど、並でええのか、お前の人生は、と。

コージ:こういう話を学生の時から聞けるのは貴重ですよね。将来、絶対に生きてくる。これだから関学はずっと強いんですね。アメフトだけでなく、すべてがつながって人生について話したような感じです。

緊張感のある面談を終えた鳥内さんと徳田さん。「応援してるで」と鳥内さんが言うと、2人はがっちり握手を交わしました。