犯罪や不審者に関する情報件数

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 少しずつ気温が上昇し、本格的な春の訪れを感じる時季になりました。春といえば毎年、「変質者や不審者が増える」ということがいわれますが、ネット上でも、「確かに、暖かくなると変な人が増える気がする」「実際はどうなんだろう」「春は開放的になるから」など、疑問の声が多くあるようです。

 春になると、実際に変質者や不審者は増加するのでしょうか。日本全国の不審者情報の配信・分析を行う「日本不審者情報センター」代表の佐藤裕一さんに聞きました。

気候が穏やか=外出しやすい

Q.日本不審者情報センターのウェブサイト上において、「変質者」や「不審者」という言葉は、具体的にどのような人物のことを指すのでしょうか。

佐藤さん「当社の配信している情報における『不審者』とは、痴漢、露出、声掛け、つきまとい、盗撮、のぞき、暴行、脅迫、危険物所持などが中心です。当社では、警察や自治体が公表した不審者情報をもとに、独自記事を作成して配信しています」

Q.実際のところ、春になると変質者や不審者は「増える」のですか。

佐藤さん「このグラフは、岡山県警が毎月公表している不審者情報の件数を、同県警のメールから集計したものですが、これを見ると4〜5月にかけて報告数が増加し始めているのが分かります。

『春になると増える』というのは事実の一つですが、『気候が穏やかになり、不審者自身が外出しやすい季節になると増える』という方が正確だと思います。台風のときは不審者情報が減りますが、台風が過ぎると情報数が戻ることとも共通します。

当社の記事配信を通しての印象としては、暑い時期と寒い時期は配信数が少なく、暖かくなったり、涼しくなったりすると配信数が増えています。具体的には、6月と7月、10月と11月が多いです。また、最近は新型コロナウイルスの影響か、感染拡大以前より不審者情報が大幅に減っています」

Q.春の時期にみられる「変質者からの声掛け」のパターンはありますか。

佐藤さん「2018年3〜4月と2019年3〜4月に見られた声掛けのせりふの例は次の通りです」

・何歳? 何年生?
・お母さんが病院に運ばれた。今すぐ来て。いいから来て
・お母さんが死んじゃった。お父さんは会社にいるから乗って
・触ってくれたら、1000円あげる
・パンツの色は何色?
・トイレについてきて
・一緒に写真を撮ろう/写真を撮ってもいい?
・お菓子をあげるからおいで
・(お金を支払うから)下半身を見てほしい

Q.春の外出で、変質者や不審者と遭遇しないために意識すべき点やポイントは。

佐藤さん「一般的にも言われていることですが、人目のない場所を避けたり、一人にならないようにしたりすることで、遭遇を避けやすくなるのではないでしょうか。子どもを対象にした不審者のケースでは、『下校中の子どもがグループから離れ、一人になったときに狙われた』という情報に時折接します。

不審者の出没場所は多様で、『山の中のダム脇の路上にいた』というケースもありますので、『どこにでもいるもの』と考えておく方がいいと思います」