積立投資をすでに始めている人も、これからという人も、長く続けていくにあたって、これだけは気を付けたいことを7つ、紹介します。
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■ゼロ金利時代の資産形成

このコラムを読んでくださっている皆さんは、預金だけ頑張ってみても貯めたお金は低金利では増えていかないことを重々ご承知のはずです。預金してもほとんど利息が付かないのは、日本経済が20世紀終わりごろから経済成長力を失速させたことによります。銀行は預金を原資として産業界や生活者へ貸し出し、お金を融通していく能力を十分に発揮することができなくなりました。銀行が預金のまま大量のお金を滞留させてしまっていることによって、預金者への利息の還元がかなえられなくなってしまったわけです。

預金利息がゼロならば、戦後昭和期のような預貯金で資産形成が成立し得る時代が終わったことは自明の理。となれば、自らお金を増やす手段を考える必要があります。

ひとつはバクチに挑んで勝つことです。競馬・競輪などの公営賭博やカジノで勝負することのほか、FXや短期の株式売買も相場で値動きを予測して当てにいく行為なので、これらもギャンブルに近いものと言えるでしょう。プレジデントウーマン読者の皆さんは、こうした「投機」で合理的な資産形成はおぼつかないことをもうご理解いただいていますね。

もうひとつの方法は、預金を減らしてお金を自ら経済活動の中に働きに出して、経済成長を養分に資産育成を図る「投資」です。前回のコラム「シンプルにお金が増える、積立投資7つの利点」では、合理的にお金を殖やす長期資産形成を適切に導いでくれる積立投資のメリットを7つお伝えしましたが、今回はその実践に向けた注意点を7カ条にまとめました。

■長期投資で注意すべき7カ条

1.無理をしない

将来に向けて長期投資を頑張るぞ! と気合ばかりが入り過ぎて、自分のお給料から無理に多くの金額を積立投資に回してしまうのは禁物です。身の丈を超えた無理な金額ではせっかくの積み立てを続けられなくなってしまいます。

積立投資は長い旅です。ご自身の範囲内で、確実に拠出可能と思える金額から始めてください。成果を上げるカギ、それは「継続はチカラなり」です。

2.家賃と同じステータスで

積立投資は無理しない程度の金額で続けることが肝要ですが、その工面はお金が余ったら、ではいつまで経っても始められません。将来に向けた資産形成は人生プランで最も大切なことのひとつですから、積立拠出は毎月の家賃と同じくお給料から最優先で差し引いて用意するものと考えてください。繰り返しますが何より「継続はチカラなり」です。

■賢い金融商品の選び方

3.成長する投資対象に働きに出す

長期積立投資の果実は、お金を働きに出した先の経済的成長を養分として育つものです。将来にわたって成長が想定できる投資対象で、運用する投資信託をしっかり選択してください。

長期資産運用における投資対象の普遍的潮流は、世界全体に分散したポートフォリオを保有して経済の成長軌道をトレースする「国際分散投資」です。残念ながら日本経済単体は主要先進国で最も成長力が低いのが実態で、日本人だからと国内経済に固執した投資対象選びにならないよう注意してください。

4.値動きを追わない

自分の将来に向けた資産形成を目的とする長期投資ならば、ゴールはずっと先のこと。毎日相場はランダムに上がったり下がったりを繰り返しますが、気が付けば経済成長を養分にして徐々にお金は育ってくるもので、日々の値動きに一喜一憂することは全く無為なことなのです。

■老後の新常識「使いながら殖やす」

5.苦しくなった時はお休みもあり

「継続はチカラなり」ですが、そうは言ってもお給料が大きく減ってしまったとか失業してしまった等々、人生とはさまざまに不安定な出来事が付き物です。そんな時は、投資信託の積み立てを状況が回復するまで一時的にお休みすることも可能です。投資信託の積立投資はイザというときには必要な分だけ資金化することもできるし、積み立てをいったん休止することも自在なので、決して強迫観念にとらわれることなく、ゆったりのんびり気楽な感覚で続けてください。

6.取り崩しも時間分散で

積立投資は毎月一定金額を同じリズムで買い付ける、究極の時間分散手法です。現役時代はずっと積み立てを続けるつもりでいてほしいのですが、やがて将来積み上がった資産を活用する時期がやってきます。

その時に大事なのは長期投資をやめないことと共に、人生100年を踏まえて計画的に資産を取り崩していくことです。人生100年時代は老後も長い時間があるわけで、生涯軸で運用を続けながら、積立投資を時間分散でコツコツと積み上げてきたのと同じ要領で、少しずつ取り崩していってください。

自分は歳をとったとしても、お金は老け込むことなくエンドレスで元気に働き続けられます。これからの老後の新常識は「遣いながら殖やす」です。そうすることで自分が長生きすると同時に資産寿命も長期化できるのです。

7.明るい未来を信じること

長期投資で期待する将来の果実は経済成長が前提です。人類の営みは歴史上ずっと弛まず経済を成長させてきました。そしてこれから先も、もっと便利で豊かな社会の実現に向けて、世界中の人々は努力を続けていくでしょう。だからこそ経済の成長軌道は脈々と続いていくと考えられるのです。こうした明るい未来を信じられる人だけが長期投資家の資格を有していると言えましょう。

次の世代が今より豊かになる、そんな想いを込めて自分のお金を未来に向けて投じるのが長期投資なのです。

プレジデントウーマン読者の皆さんは、これら7カ条を肝に銘じて、自ら納得できる豊かな人生づくりへ、積立投資で行動してまいりましょう!

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中野 晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信・代表取締役社長
1987年明治大学卒業、クレディセゾン入社。関連会社資金運用部にて債券のポートフォリオ運用に従事後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金運用や、海外契約資産の運用アドバイスを手がける。2006年セゾン投信を設立。
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(セゾン投信・代表取締役社長 中野 晴啓 写真=iStock.com)