スタバでフラペチーノを飲むと節約できる理由
※本稿は、山崎俊輔『大人になったら知っておきたい マネーハック大全』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。
■「ひとめぼれ」で買った服ほど、すぐに飽きてしまうワケ
衝動買いはなぜいつも後々後悔するのでしょうか?
みなさんも経験があるかと思いますが、「お店で見かけてひとめぼれした!」というような形で買う服はたいてい失敗します。成功するものはすでに買い慣れている服の新作くらいで、「これはいけるでしょう」と根拠のない自信でチャレンジ気味の買い物をした場合、ほとんどは失敗します。
商品をみつけたときは、店員にも薦められるし、どう考えてもこれは外れじゃないと思っているのに、家に帰って着てみると違和感が出たりします。あるいは最初のお出かけに着てみると、微妙だなぁという感じがしてしまい、一度着たきりでもう着ないということもあります。
クローゼットの肥やしを増やすほど、もったいない買い物はありません。今ではメルカリなどですぐ売ってしまう方法があるといっても、買った値段より高くなることはまずありませんから、やっぱりマイナスはマイナスです。
こういう失敗は服に限りません。家電だったりアイデア商品だったり、私たちはその場では納得していたはずのものを衝動買いで決めてしまうと、後日失敗する体験を多くしています。
なぜ衝動買いは多くの場合失敗してしまうのでしょうか。
■浪費してしまう買い物、節約できる買い物
まず、お店の人が薦めてくれたかどうかはあまり意味がありません。なぜならお店の人は誰でも似合うと褒めるに決まっているからです(これは合わないがこちらは合うでしょう、と提案してくれるならそれはかなり優秀な売り子さんでしょう。しかしかなり勇気のいる売り方で、そういう販売員と出会うことはあまり期待しないほうがいいと思います)。
私は埼玉県の所沢市出身なので、ちょっとオシャレをしようと思えば池袋に出かけることになります(浦和や大宮は所沢からは遠い)。最近映画にもなった『翔んで埼玉』的にいえば、池袋はほとんど埼玉領といってもいいでしょう。
一方で、買い物を考えたとき、池袋は便利な街です。西武百貨店と東武百貨店に入店しているテナントをはしごすればあっという間に相当の数のお店を巡ることができます。また、西武百貨店とパルコが横長につながっていてとんでもなく横長のビルになっているため、東口(西武は東口、東武は西口にある)を回っているだけでも便利に回れます。
このとき、服の買い物の失敗を減らそうとしていた私が考え出したのは「できるだけたくさんのお店を見る」ことと「見るだけのターンと、買うターンは分ける」ということでした。
■セールストークの推しに負けない賢い買い物の方法
例えば、
A店「見る→気に入った→買う」
B店「見る→気に入った→買う」
C店「見る→気に入った→買う」
のように順番にお店を巡っていくのが買い物の普通だと思っている人が多いと思います。これはマネーハック的にはNGです。だんだん買い物袋が増えていくようなやり方です。
そうではなく、発想を変えて、
「見るターン」A店→B店→C店
「選ぶターン」スターバックスなどのカフェ
「買うターン」B店(B店に欲しい商品があった場合)
のようにプロセスを変更してみます。
このプロセスにしてよかったことは、その場その場でセールストークを聞かされて立ち止まったり、推しに負けて買ってしまう失敗が激減したことでした。
当時、30歳にもなっていなかった私の被服費はただでさえ少ないものでしたが、おかげでやりくりが可能となったのです。
■1万円の失敗を防ぐなら、スタバ代は惜しくない
このとき「選ぶターン」でいったん店を離れることが重要なポイントです。
店内で考えること自体が「買わない」という選択をしにくくなりますし、冷静さをなくした状態で判断をする状況に自分を設定してしまっているからです。
あなたの目の前に販売員がいるということはすぐに結論を出す必要がある状態です。これだけであなたの判断にはバイアス(偏り)が生じます。しかもその販売員にムダな時間を使わせては悪いなぁと意識した時点で、買わないという結論が出しにくくなり、「これは似合うと思うから買うことにしよう」のように自分を無理に納得させてしまうことになります。
そもそもC店で立ち止まって判断するときにA店の商品をフラットに比較することは難しいはずです。かくして私たちは選択を間違います。
■フラペチーノを飲みながら頭を冷やす
だとすれば、とにかく一度店を出ることが冷静な判断を行うための重要な手段です。「ちょっと考えますね」とか「他店もちょっと覗(のぞ)いて、また戻ってきます」のようにとりあえず言うべきです。
いっそのこと、「見るターン」では店員とは話さないほうがいいかもしれません。そのほうが予断を与えずにすみます(私はそうしています)。だとすると「選ぶターン」において500円のフラペチーノを飲みながら検討したとしても、コストとしてはまったくムダではありません。むしろ1万円以上の買い物の失敗を回避するコストだと思えば安いものです。
スタバのフラペチーノは高いので頼まないという人もいるでしょうが、むしろこういうときこそ頼んで、自分を冷静に戻す時間を作り、購入するものを吟味する時間を確保してみてください。
■「衝動買いしてもいいのはコンビニ」のワケ
時々、衝動買いをしたい瞬間というものは誰にでもあります。衝動買いというのはストレス解消には最高です。しかしその後すぐに後悔する衝動買いはあまりいいものではありません。
もしあなたが衝動買いをしたいという誘惑に駆られているのであれば、最近ではコンビニがオススメです。
まずコンビニの買い物については単価が小さいため、金額ではそれほど大きな失敗になりません。服なら3万円の失敗があってもコンビニなら300円の失敗ですみます。
また、コンビニは「新しいもの」の宝庫です。カップラーメンの新作などは数週間で消えるものもあるほどです。プチプラコスメも日々アップデートされ続けています。またその場で食べてしまうようなものは失敗のダメージも小さくなります。もともと300円くらいおやつを買おうと思っていたとき、外れクジを引いたとしても被害は300円ですみますし、満足度ゼロということはあまりありません。
また、結構侮れないクオリティであることもしばしばあります。コンビニスイーツが驚きの値段でも、デパ地下スイーツに負けず劣らずの味、ということがあったりするからです。
昔、衝動買いをしたくなったら、乾電池を買って衝動を収めるという笑い話を聞いたことがあります。予算は少ないし、いつかは確実に使うアイテムなのはうまいアイデアですが、買い物としての満足度があまりないのが難点です。
どうしてもストレス発散などで衝動買いしたいとき、コンビニに限っては衝動買いを許してみてはどうでしょうか。
----------
山崎 俊輔(やまさき・しゅんすけ)
ファイナンシャルプランナー
1972年生まれ。企業年金研究所、FP総研を経て独立。執筆活動、講演を多数行っている。著書に『スマホ1台で1000万円得する! マネーアプリ超活用術』(PHP研究所)など。
----------
(ファイナンシャルプランナー 山崎 俊輔)