NFCタグにアクションをひも付けておくと、iPhoneをかざすだけで、音楽を鳴らすなどの動作を自動で実行できるようになる(筆者撮影)

毎日繰り返すルーチンのような作業は、なるべく簡単に済ませたい。iPhoneの操作でもそれは同じだ。例えば、通勤電車で必ず開くサイトがあるとする。通常であれば、Safariを立ち上げ、ブックマークを開いてから目的のサイトを選択するはずだ。毎日やっていることで慣れてしまっているかもしれないが、目的のサイトにたどり着くまで、意外と時間がかかってしまっているものだ。会社と自宅など、シーンに合わせて設定を変更している人もいるだろう。

iOS 13.1では、時間や場所、設定、動作などをトリガーにして、このような操作を自動で実行する機能が追加された。「ショートカット」の「オートメーション」がそれだ。あらかじめ起点となる時間や場所などを指定し、それに対応するアクションを組み合わせておけば、自動でiPhoneを実行することができる。いわば「iPhoneの自動化」ともいえる機能で、活用の幅は広い。ここでは、このオートメーションを使った事例を、3つに絞って紹介していこう。

1.毎日見るニュースサイトを自動でチェック

通勤時間を有効活用するため、電車の中でニュースサイトをチェックしている人は多いはずだ。電子書籍を読み進めるといった人もいるだろう。とはいえ、必要なサイトを呼び出すだけでも、意外と操作の手順が多く、手間がかかる。

わずかな時間ではあるものの、自動化すれば、よりスムーズにサイトを呼び出すことができる。このようなときには、オートメーションを活用し、特定の時間になったら自動であらかじめ指定したサイトが開くようにするといい。ここでは、通勤時間に東洋経済オンラインを必ず読むという想定で、設定方法を紹介する。


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まず、iPhoneで「ショートカット」アプリを開き、「オートメーション」タブを選択する。「オートメーション」タブにはボタンが2つ表示されるが、ここでは「個人用オートメーションを作成」をタップすればよい。すると、新規オートメーションの画面が現れる。毎日同じ時間の電車に乗るという場合には、まずはここで、サイトを開きたい時間を選択しよう。時間の指定は、「イベント」欄にある「時刻」をタップして行う。

日時を指定する画面が現れたら、「時刻」をタップし、電車に乗る時間を決定する。毎朝8時の電車に乗っている場合、ホームでサイトが開くよう、7時55分あたりに設定しておくといい。土曜日、日曜日は休業というときは、繰り返しの欄で、「土曜」と「日曜」のチェックを外しておけばいい。サイトを開くための時間が決まったら、画面右上にある「次へ」をタップする。

続けて、その時間に実行する「アクション」を追加する。ここでは、サイトを開く動作を指定しよう。画面にある「アクションを追加」ボタンをタップしたあと、「Web」を選択。Safari欄にある「Webページを表示」をタップする。すると、「アクション」にSafariの「URLのWebページを表示」というアクションが追加された。このURLの部分をタップすると、実際のURLを書き込むことができる。ここでは、東洋経済オンラインのトップページを開くという設定にしたいため、「URL」を「https://toyokeizai.net」に書き換えた。「次へ」をタップしたあと、オートメーションの中身を確認したら、「完了」をタップする。


7時55分に、東洋経済オンラインが自動的に開く設定を行った(筆者撮影)

これで、オートメーションが完成した。7時55分になると、端末に通知が届くため、これをタップすると、Safariが立ち上がり、東洋経済オンラインのトップページが表示される。タップする一手間はかかるが、ロック画面から直接飛ぶこともできて便利だ。アクション追加の画面で、Safariをリーダーモードに切り替えるよう、指定することもできる。

帰宅時は、残業などもあって同じ時間の電車には乗れないかもしれない。このようなときは、場所をトリガーにして、アクションを起動するようにしておこう。先に時間を指定したページで、今度は「到着」をタップ。「場所」をタップし、Safariを開きたい駅を検索し、位置情報を設定する。外出時に駅を使うようなときは、帰宅の時間にだけ有効になるよう、時間範囲も同時に設定しておくとい。後の手順は、上記と同じ。これらの設定は、オートメーションの基本ともいえるため、練習感覚で試してみてもいいだろう。

2.アラームを止めたら予定や天気を表示

朝、iPhoneのアラームで目覚めた後、そのまま本体を手に取り、その日のスケジュールや天気予報をチェックするのは、自然な流れだ。このようなときにも、ショートカットのオートメーションを活用できる。毎朝必ず決まった時間に起きるという人なら、先に挙げたように「時刻」をトリガーにして、予定や天気予報を表示させればいいが、取引先に直行するような場合、必ずしも毎日同じ時間に起きるとは限らない。

このようなときは、アラームの停止を起点にして、必要な情報が表示されるようにするといい。手順は、次のとおり。まず、「ショートカット」アプリの「オートメーション」タブを開く。すでにほかのオートメーションが設定されている場合、画面右上の「+」ボタンをタップしてから、「個人用オートメーションを作成」を選択する。このまでの流れは、先に挙げた特定の時刻に特定のサイトを開く設定と同じだ。


アラーム停止後に、カレンダーからイベントを取得し、自動でそれを表示させるようにアクションを設定(筆者撮影)

次に、新規オートメーションの画面で選択するのが、「アラーム」だ。この項目を開くと、アラームがスヌーズされたとき、または停止されたときの動作を設定することができる。ここでは、アラーム停止後に予定を表示したいため、「停止された」をタップ。iPhoneに設定してある特定のアラームを起点にするため、「既存」をタップし、該当するアラームを選択し、画面右上の「次へ」をタップする。

アクションの画面が表示されたら、アラーム停止後に表示させたいものを設定していく。ここでは、その日の予定を画面に出してみよう。「アクションを追加」をタップし、「App」を選択。Appの中にある「カレンダー」をタップする。すると、カレンダーに該当するアクション一覧が表示される。ここでは、「もうすぐ行われるイベントを取得」を選択する。

すると、カレンダーのイベントを表示するアクションが画面に追加された。標準では、1件のイベントが表示されるようになっている。この件数は、カレンダーにどの程度予定を入力しているかで、変更しておくようにしたい。筆者の場合、1日に入れる予定は多くて7、8件程度。念のため、10件のイベントを表示するようにした。「1件のイベント」と書かれたリンクをタップし、「+」ボタンで件数を増やしていこう。

件数が多いと、次の日のイベントまで表示されてしまい、少々紛らわしい。そこで、表示されるイベントを、その日のものに限定しておくようにしたい。その設定は、「表示を増やす」をタップして行う。「表示を増やす」をタップすると、「曜日」が表示される。標準では「任意の日」になっているため、ここをタップし、「今日」に変更しておこう。

次に、ここで取得したイベントを画面に表示するアクションを追加する。今、設定したアクションの下にある「+」ボタンをタップし、同様に「App」から「カレンダー」を選択した後、「カレンダーに表示」をタップする。これで、アラームを止めた後、その日1日の予定が自動的にリスト形式で表示される。同じように、アラーム停止後に天気アプリを表示させたり、特定の音楽をかけたりといったことも可能。寝起きに自動的にしたいことを、設定しておくといい。

3.NFCタグをタップして、設定を一括で変更

オートメーションのトリガーには、先に挙げた時間や場所、アラーム以外にも、さまざまなものを設定することができる。面白いのが、NFCタグだ。あらかじめスキャンしたNFCタグにアクションをひも付けておくと、iPhoneをかざすだけで、さまざまな動作を自動で実行できるようになる。

例えば、会社にNFCタグを用意しておき、出社後、それにiPhoneをかざすとディスプレーを暗くしたうえで「おやすみモード」になるようにしておく。手動でも設定できるが、デスクの横にNFCタグを置いておけば、iPhoneをかざすだけと操作の手間がかからなくなる。自宅に別のNFCタグを置いておき、iPhoneをかざして、AirPlayでスピーカーから音楽を鳴らすよう、設定することも可能だ。


時間や場所などの代わりに、NFCタグの読み取りをアクションのトリガーにすることが可能だ(筆者撮影)

いずれの場合も、まずはオートメーションを発動させるためのNFCタグを登録する必要がある。新規オートメーションの画面を開いたら、設定欄にある「NFC」をタップしよう。次の画面で「スキャン」をタップすると、NFCの読み取りを行える。読み取ったNFCに名前を付けたら、その後のアクションを設定する。前者の場合、「アクションを追加」ボタンをタップしたあと、「スクリプティング」で「明るさを設定」を選択。明るさの設定がアクションに追加されるため、数値の部分を50%から変更しよう。同様の操作で、おやすみモードも設定できる。

AirPlayで外部スピーカーに接続してから音楽を鳴らす設定をする場合は、別のNFCタグを読み取ってからアクションを選択。「スクリプティング」の中にある「再生出力先を設定」をタップし、アクションに追加されたら、音楽を出力したい機器を選択する。「+」ボタンをタップしたら、「×」ボタンでスクリプティングを閉じ、「App」から「ミュージック」を選択し、「ミュージックを再生」を選べばいい。「表示を増やす」をタップすると、シャッフルやリピートの有無も設定できる。

NFCタグというと難しく聞こえるかもしれないが、Amazonなどでは10個1000円以下で販売されているほか、使わなくなったSuicaなどのFeliCaを内蔵したICカードでも代用できる。最近では、FeliCaやNFCを内蔵したクレジットカードが増えているが、これをNFCタグとして使うことも可能だ。iPhoneをかざすだけで、複数の設定をまとめて実行できて便利なため、まずは手持ちのICカードで試してみることをオススメしたい。