iPhone 11 Pro Max(512GB)の製造原価は5万3000円?試算レポートが発表
TechInsights

iPhone 11 Pro Max(512GBモデル)を分解して各部品のコスト見積もりをした結果、製造原価は490.50ドル(約5万3000円)だったとの推計レポートが発表されています。分解および見積もりレポートを報告しているのは、昨年のiPhone XS Max(256GBモデル)でも同様の企画を行ったTechInsightsです。今回も各部品を特定した上で、組み立て費用も合わせて各コストの累計を算出しています。

最も高価に見積もられる部品は、やはりiPhone最新モデルの目玉ともいえるトリプルレンズカメラであり、73.50ドルとのこと。その次に高価なパーツが、タッチスクリーン付きの有機ELディスプレイ。TechInsightsの推定では66.50ドルとされ、それにiPhoneの中核であるA13プロセッサー(64ドル)が続くかっこうです。

そして不揮発性メモリ(東芝製512GBのSSD)の58.00ドルなど部品コストが積み上げられ、組み立て費用21.00ドルを足した合計が490.50ドル。米国での同モデル販売価格は1449ドルであり、原価率は約34%。こうしたTechInsightsの計算では、アップルは1台売るごとに958.5ドル(約10万3000円)の利益を得ることになります。

とはいえ、これが純粋な利益とはいえないはず。TechInsightsの示したBoM(部品表)ではアップル従業員の給与や広告、その他費用はカバーされておらず、ハードウェアの研究開発費も含まれていません。たとえばアップルが新規開発したU1チップは全容が分かっておらず、従ってどれだけのコストがかかっているかも今回の推計には反映されていないわけです。

さらに今回のBoMにはソフトウェアの項目もありませんが、iOS 13など最新システムソフトウェアの開発コストも織り込む必要があるでしょう。前年のiPhone XS Max報告と同じく、今年もTechInsightsは「ここで提供されるすべての原価見積は、最初の分解時に利用可能な情報を使用して累計されています。具体的なデータがまだ利用できない場合、いくつかの仮定が行われています」と但し書きが付けており、推計コストを額面通りには受け取れません。

その一方で、アップルはApple TV+やApple Arcadeなど新たなサービスを開始しており、2020年初頭に発売と噂のiPhone SE2(仮)も手頃な価格+高スペックにより普及台数を伸ばして「コンテンツおよびサービス市場の成長に貢献する」と予測されていました。iPhone 11 Proシリーズで得られた利潤を投入して、そうした普及モデルを安価に抑える戦略が採られることもあり得そうです。