久々に地上波の生放送で“本田節”が炸裂。短い時間ながら話題は多岐に及んだ。(C)Getty Images

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 前メルボルン・ヴィクトリーで元日本代表MFの本田圭佑が9月16日、日本テレビの報道番組『news zero』に生出演し、自身の現状や近未来ヘの青写真、ビジョンなどを熱く語った。
 
 やはりなにより気になるのは、フットボーラーとしてのこれからだろう。現在はフリーの身で、どのクラブにも所属していない。いかなる展望を抱いているのか。本田は東京五輪への意欲とともに、ざっくばらんに胸中を明かした。
 
「まあオファーはあるんです。オリンピックを目ざしてるんで引退はしないんですけど、来てほしいところからのオファーがない。片思いみたいになってるところがあるし、正直なところ、待ってる部分はあります。来年のオリンピックに出る、そしてそこで勝つと決めている。そのことを考えれば、ヨーロッパの納得がいくクラブでプレーするのが条件。そこでレギュラーとして活躍すれば、確実にオーバーエイジとして選んでもらえるようなクラブ、ということです」
 
 そこでタレントの櫻井翔さんに「森保(一)監督にはどのようにしてアピールしていくのか?」と問われると、「すべてですよね。本田を選べば勝てると思ってもらえるような活躍をしないといけないですし、若い選手も多いので、ピッチ外のマネジメントも意識していかないといけない」と答えた。

 
 さらに櫻井さんが「選手としてのその先、第2の人生をイメージしていますか?」と質問をぶつけると、持ち前の本田節を炸裂させた。
 
「ただなんか、周りのひととかアスリートが引退って言うけれども、そもそも引退ってなんなんだろうなって思うんです。ビジネスのところで『お前、本業やれ!』とかよく聞くんですけど、だいたいサッカーって本業と思ったことないしなと。もう人生が本業なんで、僕が引退するときは死ぬとき、みたいな。だから引退と死を一緒にしてもらえれば」
 
 そこに有働由美子アナウンサーが「じゃあ自分はなにで構成されてるんですか?」とかぶせる。「まずは生物。細胞レベルの話からなんで。そこに魂があるんで、夢があるんで、教育者とか。もっと言えばスポーツとか、男だとか、もうちょっとジェネラルなところですよね。サッカーは5番目とか6番目に来てる感じ」と、本田ワールドを全開させた。
 興味深かったのが、現在レアル・マドリーからマジョルカにレンタル移籍中の久保建英へのインプレッションだ。歯に衣着せぬストレートな物言いで、ずばりと私見を述べた。
 
「久保さんとは、彼が11歳くらいのときに一回フットサルをやってるんですよ。むちゃ巧くて、そのときから確実に将来は日本代表に選ばれるだろうなと思ってました。案の定、いまそういう感じになってて。今回マジョルカに移籍しましたけど、個人的にはレアルBだとしても、レアルに残ってほしかったなという思いがあるんですよね」
 
 なぜか? そこにアナウンサーが「マジョルカで、1部でプレーしたほうが良いという論調があるじゃないですか」と挟み込むと、「それはけっこう素人の意見」とばっさり。次のように続けたのだ。
 
「バルサとかレアルに行ってレンタルで出されると、なかなか戻ってこれないんですよ。しかも久保さんってむっちゃテクニックあるんで、巧いチームでやったほうが活きる。だから中位とか下位のチームでやっちゃうと、良さが消えてしまって、守備に追われたりしたら本末転倒だなって思うんです。そこで大活躍しないと、レアルに戻ることはできない。それは思ってる以上に難しいんですよ」

 
 加えて、実質的なカンボジア代表監督として、スクール経営者としての想いも明かした本田。有働アナに「こっからどういうひとになるんですか?」と尋ねられ、迷わずこう切り返した。
 
「世界中を意識しながら挑戦したい。76億人を意識しながらチャレンジを続けていきたい。小さいほう小さいほうに行きがちな自分を、ちゃんと律しながら、もっと攻めろと。守りに入らない姿勢だけは貫きたいですね」
 
 出演が終わったのはもう深夜で、いつもはすでに就寝している時間だという。本田は最後に「僕は夜が弱いので、このままベッドに直行します」と軽く笑いを誘って、スタジオを後にした。
 
構成●サッカーダイジェストWeb編集部