韓国のユニクロ不買運動はどれほどの痛手なのか?株価は意外にも…/馬渕磨理子

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―[あの企業の意外なミライ]―

 今、日韓関係は戦後最悪と言われています。徴用工判決や「和解・癒やし財団」の解散、日本政府による韓国への輸出規制、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄まで、対立は拡大の一途を辿っています。

 そんな緊張が続く日韓関係の最中、企業のリサーチャーを務める私馬渕磨理子は、8月半ばにソウルに行って来ました。

 ソウル滞在最終日は、奇しくも8月15日の終戦記念日を迎える前日である、8月14日。

 その日、シーラ免税店の近くである漢江鎮(ハンガンジン。各国の大使館が集まるエリア)の道路を通った時に、韓国国旗が大通りの両端に設置されていく様子をタクシーの中から見た時は、正直、複雑に感じるものはありました。しかし、その他は風景を見る限り、いつもの韓国と変わりない様子でした。

 そんな日韓関係悪化の影響をもっとも受けている日本企業の一つが、ファーストリテイリング<9983>(ユニクロ)です。同社は現在、不買運動の対象になり、株価にも影響を及ぼすのではないかとの見方が出ています。

 はたして、ユニクロはいま、本当に危機に陥っているのでしょうか。財務分析を通して5分程度で明らかにしていきましょう。答えを急げば、「ニュースに焦るな、チャートを見よ」です。

◆韓国のユニクロは人がまばら…

 今回は、時期が時期だけに、あまり日本人が足を運ばず、英語が通じにくいエリアにもあえて行ってみましたが、私自身は反日感情を感じることは少なかったです。ただ、確かに、明洞(日本でいう原宿のようなエリア)のユニクロは今年2月に行った時よりも人が少ないように感じました。

 日本製品の不買運動を勧める韓国のインターネットサイト「ノーノー・ジャパン」を覗いててみると、サイトには不買を呼びかける日本製品と、代替できる韓国製品が紹介されています。そこを見ると、ユニクロも不買運動の対象になっていることがわかります。

◆ユニクロ謝罪のワケ

 ユニクロは、韓国での日本製品不買運動に関する質問の受け答えにより、反日感情を高めてしまったこという指摘を受け、謝罪を行っています。

 ユニクロ広報部は、今回の事態に対し、<韓国についても、長年ご愛顧いただいていますので、その影響は長くは続かないであろうと思っています。ただ、足元は一定の影響が出ています>と回答。

 この<思っています>という表現が、「ユニクロは、不買運動を長く続かないと見ている」と受け取られてしまったようで、ユニクロが謝罪をする事態になりました。

 そんなユニクロの近年の財務諸表はどのようになっているでしょうか。

 ファーストリテイリングの7月11日の決算では、2019年8月期第三四半期の連結業績は、計画通りの増収増益、過去最高の業績を達成しています。

 累計営業利益は2477億円で前年同期比3.7%増益。

 国内ユニクロが想定よりも伸び悩みましたが、海外ユニクロやGU事業が想定以上との結果でした。ただ、ひとつ問題があります。この決算には韓国事業の売上高が7月で約4割近く減少したことは織り込まれていないのです。この不買運動がどこまで影響するのでしょうか?

◆無視できない韓国ユニクロの売上

 そこで、同社における韓国ユニクロの利益の割合を見てみましょう。

 ファーストリテイリング全体の売上は、2017年には、国内ユニクロが8100億円を売り上げ43%占めていましたが、高い成長率を続ける海外ユニクロが2018年には8900億円を売り上げ、国内ユニクロを追い抜いています。
 
 つまり、ファーストリテイリングの動向は、いまや日本国内ではなく海外ユニクロの成長がカギになっているのです。